見出し画像

No.550 小黒恵子氏の詩-17 (鳩よ)

 こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。

 今回は、童謡を歌おう~神奈川の童謡33選~に紹介された小黒恵子氏作の詩 をご紹介します。

鳩よ
                 小黒恵子 作詞
                 高木東六 作曲

鳩よ 鳩よ あなたは美しい
翼やさしい 光りをのせて
はばたくよ風のなか 流れる雲よ
生きてる悦び 空に描いて

  飛ぶよ飛ぶ飛ぶ 飛ぶよ飛ぶ飛ぶ
  天使のように
  飛ぶよ飛ぶ飛ぶ 飛ぶよ飛ぶ飛ぶ
  美しい鳩

鳩よ 鳩よ あなたは美しい
胸に溢れる 炎を燃やし
きらめくよ大空に 飛び交う友よ
昨日の苦しみ 風にあずけて

  飛ぶよ呼ぶ呼ぶ 飛ぶよ飛ぶ飛ぶ
  天使のように
  飛ぶよ飛ぶ飛ぶ 飛ぶよ飛ぶ飛ぶ
  美しい鳩

鳩よ 鳩よ あなたは美しい
翼みなぎる 希望をのせて
拡がるよ愛の輪が 世界の友に
平和の幸せ 未来に伝えて

  飛ぶよ飛ぶ飛ぶ 飛ぶよ飛ぶ飛ぶ
  天使のように
  飛ぶよ飛ぶ飛ぶ 飛ぶよ飛ぶ飛ぶ
  美しい鳩

1996年(平成8年)4月15日発行 童謡を歌おう~神奈川の童謡33選~ 株式会社センチュリー

  下記のコメントが記載されています。

  「あしがら童謡の会はとぽっぽ」では、『第3回あしがら童謡祭』(平成7(1995)年4月16日)で歌うための曲、会のイメージソングになるような鳩の歌はないものかと探していました。有名は『鳩』「ぽっぽっぽ 鳩ぽっぽ~」ではステージで歌うには、ものたりなかったからです。鳩の歌は、ありそうでなかなか思うような曲がありませんでした。
  ある日『新しい童謡集』を見ていたら、小黒恵子作詞、高木東六作曲の『鳩よ』が出ていました。
  横浜市鶴見区在住の高木東六氏は、現在91歳。『水色のワルツ』の作曲者で知られています。年配女性のコーラス『ザ・シワクチャーズ横浜』を指導しています。この合唱団を率いてイタリアを訪問したり、毎年新曲の発表も行っています。
  作詞の小黒恵子さんは、川崎市高津区にある小黒恵子童謡記念館の館長です。館内には、童謡に関係する資料が展示されアンチック大型オルゴールや手巻蓄音機による演奏、専属ピアニストによる童謡の演奏などが楽しめます。『かわさき博物館まっぷ』にも紹介されています。
  『鳩よ』がどのようにしてできたか。小黒恵子さんは、電話で次のように話してくださいました。
  「東京都中野区に戦時中、中野通信学校があり、鳩も、通信隊として活躍していました。馬も、鳩までもが「お国の為」に働いた時代でした。そのため、たくさんの鳩が死んで行ったので、中野通信学校の中に鳩の鳩魂塔きゅうこんとうを建てました。終戦で学校が無くなったため、上野動物園に移築されました。しばらくは、他の動物の慰霊塔と同じに並べられ、建っていましたが、嵐で倒れて壊れてしまいました。そこで、戦争で活躍した馬の愛馬塔は、靖国神社にあるので、鳩魂塔も同じ場所に建てようと言う事になりました。
  昭和57年9月15日鳩魂塔除幕式の祝いの式典で鳩を讃える歌を歌おうとしましたが、適当な曲がなかったので、急きょ頼まれて詩を作りました。当日、みずうみ少年少女合唱団の歌声で披露されました。
  この曲は、タイトルが『鳩よ』サブタイトルが『平和の祈り』となっています。平和を祈る曲として作りました。どうぞ、みなさんで歌って下さい。」
  曲中に戦争の暗い面影は一つもありません。青い空に、美しく舞う鳩に、明るく平和な日々を託して「飛ぶよ 飛ぶ飛ぶ」の部分は、はっきりと力強く歌いたいものです。

1996年(平成8年)4月15日発行 童謡を歌おう~神奈川の童謡33選~ 株式会社センチュリー

参考文献:『新しい童謡集』昭和58(1983)年第6回童謡祭作品 日本童謡協会(全音楽譜)
参考文献:『かわさき博物館まっぷ』川崎市域博物館等連絡会発行
調査協力: 川崎市高津区 小黒恵子童謡記念館
調査協力:東京都 靖国神社

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 次回は、「こどものうた」(日本童謡協会年刊童謡集)から、「詩」をご紹介します。(S)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?