詩のご紹介248 風が薫る日(小黒恵子作)
こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。
今日は、合唱組曲「草笛のうた」~ふるさとは多摩川~ という合唱曲集の中から、第5作目の「風が薫る日」をご紹介します。
小黒さんは、今までの詩からもわかるように大の動物好きとして知られています。また、自宅(小黒恵子童謡記念館)が多摩川のすぐそばにある、ということもあり、多摩川の自然をこよなく愛されていました。「東京の多摩川に鮭よ帰れ」という願いをこめて、「ふるさとは多摩川」という副題をつけられています。
組曲の副題でもある“ふるさとは多摩川”--その多摩川の辺りで、クラウンの少女たちがこの歌を高らかに歌ったあの雪降りしきる日を、私はこれからも忘れないでしょう。1984年2月26日、“東京にサケを呼ぶ会”が鮭の稚魚30万匹を多摩川に放流して、自然への回帰を願ったあの日の思い出は、凍(い)てつく寒さとはうらはらに、心暖まるかけがえのない思い出として、私の心のなかにこれからもずっと生きつづけていくにちがいありません。
と、作曲者の湯山昭さんは、書かれています。
風が薫る日
小黒恵子作詞/湯山 昭作曲
風が薫(かお)る日 蝶が飛ぶ
梨の畠(はたけ)に 季節はめぐり
いま 蝶が飛ぶ
小さな花びら 白い蝶
飛ぶ飛ぶ飛ぶよ 飛ぶ飛ぶ飛ぶよ
幻(まぼろし)の蝶の踊りか 淡雪(あわゆき)か
風に舞い散る 梨の花
実を結ぶ その日のために
自然のきびしさ 静かに秘めて
未来(あす)にむかって たくましく
いのちを受けつぐ 梨の木よ
風のやさしさ 羽にのせ
梨の畠に 季節はめぐり
いま 蝶が飛ぶ
あかるい光を 浴(あ)びながら
飛ぶ飛ぶ飛ぶよ 飛ぶ飛ぶ飛ぶよ
ふるさとの野辺(のべ)の祭りか 花吹雪(はなふぶき)
風に舞い舞う 梨の花
金色の光の中に 消えていく
白くまぶしい ふるさとの花びら
今日も息づく ふるさとの日日(ひび)よ
最後まで、お読みいただき、ありがとうございます。
次回は、「白馬の海」~児童合唱とピアノのための組曲~ の中より「梅の花」をご紹介いたします。(S)