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詩のご紹介250 白馬の海(小黒恵子作)

 こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。

 今日は、児童合唱とピアノのための組曲「白馬の海」という合唱曲集の中から、第2作目の「白馬の海」をご紹介します。

 この曲集は、昭和61年9月に行われた熱海少年少女合唱団創立20周年コンサートのために作られた曲集です。この初演に至るまでの経緯について、小黒恵子氏が前書きに記されているので、下記に掲載したいと思います。(原文のまま)

合唱組曲「白馬の海」が、熱海少年少女合唱団によって初演され、出版にいたるまで、大変不思議なたのしい経過がありました。
 先ずその発端となりましたのは、NHKの「みんなのうた」で放送された、小黒恵子作詞 小六禮次郎作曲による「モンキーパズル」のうたでした。
 アンデスのふもとの村で出逢った、大変珍奇はモンキーパズルの大木が、強く印象にのこり、メルヘン風のうたを作りました。
 その珍らしい木が日本にあることを、私は全く知りませんでした。ところが熱海の伊豆山に、その希少的な木があるのを知って驚いたのでした。
 そしてモンキーパズルの土地の所有者である牛島祐基氏が、思いもかけずそのモンキーパズルの木の下に、歌碑を建立して下さったのです。
 昭和59年11月、その除幕式典のときに、熱海少年少女合唱団が、「モンキーパズル」のうたを演奏して下さいました。
 それが縁となり、昭和61年9月の、合唱団創立20周年のための、合唱組曲のお話を戴きました。
幸い私は熱海に家がありますので、土地になじんで居ります。
 現実の熱海と歴史の中の熱海と、私の大好きな熱海とを重ね合せて作詞しました。
 1本の木、1曲のうたから出発して、全く未知であった熱海少年少女合唱団とその関係の方々に出逢い、こうして大きな拡がりの輪で結ばれた奇蹟的な幸せを、とても嬉しく思います。
 拡がりの輪の要(かなめ)となったモンキーパズルの牛島祐基氏ご夫妻に改めて感謝いたします。そして小林秀雄先生のすばらしい作曲が、私の詩にいきいきとした美しい生命を吹込んで下さいました。
 また合唱団の感激的な見事な演奏を指揮指導された松下隆二先生、そして「白馬の海」実現に、限りないお力を戴いた鈴木規雄先生と、熱海市の関係者の皆さま方に深く感謝致します。
 出版にあたり大変お世話になりました、音楽之友社の教育編集部の皆さま方、そして美しいすてきな装幀で飾って戴きました菊池信義氏に、心よりの感謝の花束を捧げます。
白馬の海
小黒恵子作詞/小林秀雄作曲

風の吹く日は 海原(うなばら)を
白馬の群が かけめぐる

風の吹く日は 海原を
白馬の群が かけめぐる
岸に向かって
走る走る走る走る 走る走る走る走る
背(せな)に乗るのは 幻の
白旗なびかす 源氏の武将

箱根路を わが越えくれば
伊豆の海や
沖の小島に 波のよる見ゆ

遠い昔の 実朝(さねとも)の
りりしい姿 よみがえる
風にむかって
走る走る走る走る 走る走る走る走る
夢か現実(うつつ)か いななきが
怒涛(どとう)の波間に ひびいて消える

風の吹く日は 海原を
白馬の群が かけめぐる

風の吹く日は 初島を
白馬の群が かけめぐる

 最後まで、お読みいただき、ありがとうございます。
 次回は、「白馬の海」~児童合唱とピアノのための組曲~ の中より「淡雪の町」をご紹介いたします。(S)

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