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詩のご紹介259 多摩川幻想(小黒恵子作)

 こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。

 今日は、小黒恵子の詩による歌曲集「うぬぼれ鏡」の中から、第8作目の「多摩川幻想」(嵐野英彦作曲)をご紹介します。

 この歌曲集は、詩と音楽の会の「新しい日本の歌」で演奏された中から、9曲を選びました。これ等はNHKラジオの、新春番組にて放送されました。
 うたにはそれぞれの、その時どきの背景にある思い出があります。今あらためて遠い日を、なつかしく振りかえっています。
   寒椿の美しい季節に。
                          小黒恵子

 「多摩川幻想」をご紹介する前に、第6作目「アンデルセンの旅」(有馬礼子作曲)と第7作目「ユトリロの絵のなかで」(渡辺浦人作曲)をご紹介します。

多摩川幻想
小黒恵子作詞/嵐野英彦作曲

多麻がわに 晒(さら)すてづくり
さらさらに
なにぞこのこの ここだかなしき

真冬の 多摩川は
目にしみる 藍いろ

かもめの群が
舞い下りて 舞いあがる

わたしは 遠(とお)つ祖先(みおや)の
萬葉の むかしをしのぶ

凍てつく 流れのなかに
ひざまでつかり 布を晒す
白いうなじの 娘たち

布の端を持ちあって 流れに浸す
さらさらと さらさらと さらさらと

しびれる冷たさ 頬を刺す風
けれど心に 炎を燃やして
娘たちは 唄う 唄う
恋男(わかもの)に捧げる 想いのたけを

かもめ飛び交(か)う 流れをみつめて
遥かな 昔をえがく
うつくしき多麻川 多摩川

                ※ 多麻川・・・楽譜の記載通り

 最後まで、お読みいただき、ありがとうございます。
 次回は、小黒恵子の詩による歌曲集「うぬぼれ鏡」 の中より「鮭のうた」をご紹介いたします。(S)

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