【保存版】ゼロからわかるWeb3とブロックチェーン
こんにちは!株式会社FinTのおぐりん(@ogurin__)です。最近Web3の領域にどハマりしていて、日々情報収集をして過ごしています。
私がWeb3領域のインプットを始めたばかりのころ、特に感じていたのが「難しい用語が多い!」という点です。
たぶん皆さんの中でもWeb3について勉強していきたいけど、よく分からない英単語やカタカナが多くて抵抗感を感じるという方も多いのではないでしょうか?
そんな方のためにも、難しい用語を噛み砕いて解説し、前提知識のない方でもWeb3とブロックチェーンについて短時間で概要が理解できるように解説していければと思います。
<こんな人におすすめ>
・「Web3って何ですか?」「ブロックチェーンって何ですか?」という人
・Web3やブロックチェーンに興味はあるけど、一つ一つの用語がよく分からなくて手が出せていない人
・Web3もブロックチェーンもふわっとだけ知っているけど、具体的に何がすごいのかわからない人
本記事をきっかけに、自分と同じようにWeb3の領域って楽しいな!もう少し深ぼって勉強したい!と思ってくださる方がいたら嬉しく思います!
また、少しでも参考になったと思っていただけたら、SNSなどでシェアしていただけますととても嬉しいです。
1. Webの変遷(Web1.0〜Web3へ)
まずは、Web3に至るまで、どのようなWebの流れがあったのか振り返っていきたいと思います。
Web1.0とWeb2.0
1990〜2004年ごろの時代を「Web1.0」と呼んでいて、デバイスは今のようにスマホはなく、「PC」がメインでした。画像や動画などのコンテンツは少なく、コミュニケーションツールは「テキスト」がベースのメールが主流でした。
Web1.0の特徴として、企業側からユーザーへ一方的にコンテンツが提供され、ユーザーはそのコンテンツを閲覧するだけの人がほとんどでした。そのため、Web1.0は「Readの時代」とも呼ばれたりします。
次に、2005年以降の時代を「Web2.0」と呼んでいて、デバイスはPCから「スマホ」がメインになりました。
Web2.0の時代は、テキストベースのコンテンツからブログやSNSが普及し、画像や動画でのコンテンツも増えていきました。
特にSNSの台頭により、企業側からの一方的な情報発信を閲覧するだけだったユーザーが、発信する側へと変化していきました。そのため、Web2.0は「Read・Writeの時代」とも呼ばれたりします。
ユーザー側の変化だけでなく企業側も「コンテンツの提供者」から「プラットフォーマー」へと変化しました。その代表格として、GAFAMと呼ばれるGoogle、Amazon、Facebook、Apple、Microsoftなどの巨大IT企業が挙げられます。
Web2.0の課題
企業がプラットフォーマーになると、どのような課題が起きてしまうのでしょうか。
プラットフォームを利用するユーザーが増えると、ユーザーに関するデータがプラットフォームへ溜まっていきます。プラットフォームはそのデータを元に、ユーザーが更に利用したくなるようなサービスを提供していきます。
この連鎖で、GAFAMは莫大な収益を上げ、私たちのデータが一部の巨大IT企業に集約される形となりました。
私たちは日々ソーシャルメディアなどでコンテンツを発信し続けています。では、その発信したコンテンツは私たちが所有しているのでしょうか?
答えはNoで、これまでコンテンツを発信したデータは、全てプラットフォームを運営している企業にあります。そのため、プラットフォーマーの一存で投稿したコンテンツの削除やアカウントの凍結などのリスクがつきまといます。
データの所有権はプラットフォーム側にあり、私たちユーザーには所有権がない状態なのです。
また、私たちは日々ソーシャルメディアでコンテンツを発信し続けていますが、プラットフォーマー側から金銭的な見返りをもらったことのある方は多くないと思います。
私たちユーザーのコンテンツ発信があることでプラットフォームが成り立っているわけで、プラットフォームの運営の一部を担っているといっても過言ではありません。
プラットフォームに貢献しているにも関わらず、金銭的な見返りはほぼなくて、金銭的に潤うのはプラットフォーム側のみです。
このように、Web2.0には「ユーザーが自身の発信したデータを所有できていない」「コンテンツ提供者なのに金銭的な見返りがほぼない」などの課題があります。これらのWeb2.0の課題を解決するために生まれたのが『Web3』です。
Web3へ
Web2.0はスマホがメインのデバイスだと思うのですが、Web3はXRが主流になると言われています。
XRは簡単にいうと、現実世界には存在しない「仮想世界」を体験できる技術です。VRはご存知の方も多いと思いますが、VRもXRに含まれています。
先ほどご説明した通り、Web2.0は富が一部の巨大IT企業に集中してしまう仕組みになっていました。
Web3は、貢献者全員への富の分配を前提とした仕組みになっています。また、データに関してもブロックチェーンの技術を使って、一部の企業に集約しないような仕組みになっています。
これらの仕組みや技術がどのように行われているのか。Web3はブロックチェーンの技術でできているため、Web3を学ぶには、まずブロックチェーンを知る必要があります。
次章では、ブロックチェーンとは何か、どのような技術でWeb3が作られているのかを徹底解説いたします。
2. ブロックチェーン徹底解説
ブロックチェーンとは
ブロックチェーンについては昨今の仮想通貨ブームで、名前だけ知っている方も多いのではないでしょうか?
「ブロックチェーン = 仮想通貨」だと認識されることがありますが、ブロックチェーンは仮想通貨だけではありません。
ブロックチェーンの名前の由来となった「ブロック管理」という手法を知ることで、ブロックチェーンについての理解が早くなると思います。
ブロック管理とは、ブロック(暗号化されたデータを貯める箱)に取引データを貯めていって、いっぱいになったら封をして次の箱を用意し、箱と箱の順番が後から誰が見てもわかるように、チェーンのように繋ぐ仕組みです。
分かりやすく「引越し」に例えると、コップやお皿が割れないように梱包(暗号化された取引データ)し、段ボール(ブロック)に詰めていって、いっぱいになったら封をして、次の箱を用意し、また詰めていくイメージです。
引越しだと、箱の外側に「コップ・お皿」などと書いて、封をしていても箱の中身が分かるようにすると思います。同じように、ブロックチェーンも番号で分かるようにし、箱の順番が後から誰が見ても分かるようにチェーンで順に繋いでいきます。
ブロックチェーンを構成する4つの技術
次は、ブロックチェーンを構成する4つの技術について解説します。
それぞれ言葉だけ見ると「?」だと思うので、スライドも交えながら噛み砕いて説明ができればと思います。
①暗号化技術:セキュリティ対策のために暗号化する
暗号化技術とは、1回の取引ごとに、その取引の記録が暗号化されることです。「暗号化技術」と言葉だけ見るとイメージが湧きにくいかもしれませんが、みなさんも普段使っている「メール」でも同じ技術が使われています。
暗号化技術がどのようにメールで活用されているかというと、メールにて文章を作成し送信を押すと、情報漏洩などのリスクを防ぐために、文章を暗号化してインターネットの世界へ送り出し、受信者に届くような流れになっています。
ブロックチェーンも同様に、そのまま取引データがインターネットに出ると情報漏洩などのリスクがあるので、セキュリティ対策のために暗号化技術が組み込まれています。
②コンセンサスアルゴリズム:意見を一致させるための方法
コンセンサスアルゴリズムは「コンセンサス = 合意形成」のアルゴリズムのことですが、これも言葉だけ見るとよく分からないですし、とっつきにくいですよね、、!
ブロックチェーンには中央集権的な管理者がいないため、どのようにブロックを生成するのか、予めルールを決めておかないといけません。
この、ブロック生成を誰がするのか、管理者がいなくても「意見を一致(コンセンサス)させるための方法(アルゴリズム)」がコンセンサスアルゴリズムです。
コンセンサスアルゴリズムには様々な手法があるのですが、ビットコインとイーサリアムに使われている「PoW(プルーフ・オブ・ワーク)」というベーシックなアルゴリズムをご紹介します。
PoWは、非常に複雑な計算処理に最も早く正解した人に、ブロック生成の権利が与えられる仕組みとなっています。
ビットコインを例に挙げると、最も早く正しい答えを導き出した人にブロック生成の権利が与えられ、インセンティブとしてビットコインが付与されます。
マイナーと呼ばれる人たちが計算処理を競っていて、誰かに雇われて作業しているわけではなく、インセンティブを目的に自律的に計算処理を行っています。
ビットコインやイーサリアムに使われているPoWがベーシックなアルゴリズムといえますが、PoWには後述する「スケーラビリティ問題」などの課題があります。
その課題を解決するために、イーサリアムが今後移行予定であるPoS(プルーフ・オブ・ステーク)などの様々なアルゴリズムが登場しました。
③P2P(ピア・トゥ・ピア):みんなで通信を行う
従来のソーシャルメディアなどのプラットフォームであれば、中央サーバーを介して通信を行うのが主流だと思います。例えば、SNSで投稿をすると、SNSを運営している企業のサーバーを介して投稿がタイムラインに表示されますよね!
P2P(ピア・トゥ・ピア)は、中央にサーバーを置かず、参加者同士で通信を行う技術です。
従来のような中央にサーバーを置く仕組みであれば、その中央サーバーがダウンしてしまうと通信ができなくなり、プラットフォームの利用ができなくなってしまいます。
P2Pであれば、参加者同士で通信をしているため、仮に誰かのサーバーがダウンしてもその他の参加者のサーバーが問題なければ、ダウンせずにそのまま利用を続けることが可能となります。
④DLT(分散型台帳技術):みんなでデータを持ち合う
P2Pでもお話した通り、現在は中央にサーバーを置くのが主流です。データに関しても、例えばSNSを利用する際は、SNSを運営している企業のサーバーに全てのデータが保管されています。
これだと、プラットフォーム側が意図せず流出してしまうことも可能性としてはあり得ますし、プラットフォーム側の一存でデータの削除もできる状態にあります。
DLT(分散型台帳技術)は、参加者同士のサーバーで分散してデータ管理を行う技術です。
みんなでデータを持ち合うことで、例えば1参加者のサーバーが故障したり誤って消したりしても、その他大勢の参加者のサーバーで同じデータを管理しているため、データが永続的に保管されるような仕組みになっています。
また、データを改ざんしようとしてもその他大勢のデータと照合すればすぐにおかしいことに気づくため、改ざんが難しくセキュリティ対策にも繋がっています。
4つの技術をビットコインに置き換えると?
4つの技術について解説しましたが、具体例がないとイメージが湧きにくいですよね!
そこで、ブロックチェーンの代表例である「ビットコイン」を例に挙げて、ブロックチェーンの4つの技術がどのように活用されているのかを解説いたします。
まずビットコインの取引を行うためにはウォレット(ビットコインウォレット)と呼ばれるものが必要となります。ウォレットは日本語だと「財布」ですが、このウォレットの中に仮想通貨が保管されるのではなく、「秘密鍵」と「公開鍵」のみ保管されます。
この2種類の鍵は、ビットコインの注文(取引)を暗号化する際に必要なもので、ここで4つの技術の1つ「①暗号化技術」が使われています。
ウォレット内にて注文を暗号化する作業は、個人のデバイス上で行われていて、現時点ではインターネット上に注文情報は送り出されていません。メールに例えると、文章作成し、送信ボタンを押していない状態です。
暗号化技術で注文情報(ビットコインアドレス)が無事暗号化されると、注文情報がインターネットの世界へ送り出されます。
この、ビットコインアドレスが個人のデバイス上からインターネットの世界に送り出されて参加者に届けられることを「ブロードキャスト」と呼びます。
次は、全ノード(ブロックチェーンの参加者を「ノード」と呼びます)で送られてきたビットコインアドレスが正しいものか、何か不正がないか確認するフェーズです。
ビットコインの取引が成立するためには、全てのノードの承認を得なければいけません。これを「ルーティング」と呼びます。
ブロードキャストされたビットコインアドレスは、自分から一番近いノードへ送られて、承認されるとまた近いノードへと伝搬される仕組みになっています。
この伝搬は中央サーバーを介さず、4つの技術の一つ「③P2P(ピア・トゥ・ピア)」の技術で行われています。
全ノードから有効と確認された後、ビットコインアドレスは「トランザクションプール」という場所に溜められていきます。
これも分かりにくい言葉ですが、「取引(トランザクション)を溜める(プール)」と日本語読みにすると理解しやすいと思います!
このフェーズでは、まだビットコインの注文は承認されておらず、最終的な決済は完了していません。
この後は、トランザクションプールに溜まっているビットコインアドレスをブロック詰めする作業(マイニング)を行っていきます。
マイニングは、「トランザクションプールに溜まっているビットコインアドレスをブロック詰めする作業」のことで、これらの作業をする人たちのことをマイナー(もしくはマイニングノード)と呼ばれています。
トランザクションプールは参加者であれば誰でも見ることができますし、マイナーになるために試験や資格等も特にないため、誰でもマイナーになることが可能です。そのため、数多くのマイナーが活動しています。
ただ、数多くのマイナーが自由にブロックを作っていたらブロックの内容が被ってしまったり、不正なブロックを大量に作って悪用されてしまう可能性も出てきますよね、、!
そこで、ビットコインでは、最も早く計算処理に正解した人にブロック生成の権利を与え、報酬としてビットコインを付与する仕組みになっています。
なので、それ以降に同じ種類のブロックを作成することができません。1つのブロックが完成したら、新しいブロックの生成を行い、それを繰り返し行っていきます。
ブロック生成の権利を得るためには、非常に複雑な計算クイズのようなものに正答しなければいけません。マイナーたちはこの計算クイズをいち早く正答し、報酬を得る競争を日々行っています。
この、競争で最も早く正解し、ブロック生成の権利を得る仕組みが「PoW(プルーフ・オブ・ワーク)」と呼ばれているもので、ブロックチェーンの4つの技術「②コンセンサスアルゴリズム」の一種です。
クイズを解いてブロック詰めしたマイナーは「1番にできました!」と宣言して、競争に参加している全マイナー(全マイニングノード)にブロードキャストします。
ブロードキャストは、個人のデバイスからインターネットの世界に送り出されることでしたね!
全マイナーによって完成したブロックに不正がないか確認を行い、問題なければ最終的にブロックとして確定します。ブロックが確定すると、1番最初にブロックを完成させたマイナーに、報酬としてビットコインが与えられます。
確定されたブロックとビットコインアドレスは台帳に記録されます。ここで4つの技術の1つ「④DLT(分散型台帳技術)」が組み込まれています。
ビットコインとイーサリアムの違い
ここからは、Web3を語る上で欠かせない「イーサリアム」についてビットコインとの比較で解説していきます。
イーサリアムは、ビットコインと同じくブロックチェーンの技術によって成り立っています。イーサリアム内で使用される「イーサ(ETH)」という仮想通貨は、ビットコインに次ぐ人気の仮想通貨です。
1つ決定的な違いがあって、ビットコインにはなくてイーサリアムにはある「スマートコントラクト」と呼ばれている技術です。
スマートコントラクトも長いカタカナで分かりにくい用語ですよね、、!ただ、言葉を分解すると、とても分かりやすくなります。
「スマート = 自動的に実行される」「コントラクト = 契約」なので、『契約を自動的に実行する仕組み』だと理解しておくと良いでしょう。
より詳しくご説明すると、『予め定められた契約に従って、ブロックチェーン上のトランザクション(取引)、もしくはブロックチェーン外から取り込まれた情報をトリガーにして実行されるプログラム』がスマートコントラクトです。
スマートコントラクトは、よく自動販売機を例に説明されることが多いためご紹介します。
自動販売機は、「お金を入れて商品を選択すると、自動的に商品を払い出す」というルール(契約)が決まっています。
トリガーは商品を選択するボタンで、トリガーをきっかけに契約が自動的に実行される仕組みになっています。この仕組みが「スマートコントラクト」なのです。
ブロックチェーンで初めてスマートコントラクトを実装したのがイーサリアムです。イーサリアムは、考案者であるヴィタリック・ブテリン氏の「あらゆる目的のために使えるブロックチェーンの"プラットフォーム"を創り出す」というビジョンを元に誕生しました。
ビットコインのように仮想通貨として決済目的や価値保存が目的ではなく、「プラットフォーム」として利用されることを目的としてイーサリアムができました。
スマートコントラクトが内蔵されたイーサリアムというプラットフォームができたことにより、何ができるようになったのか。Web3領域でよく話題に上がるNFTやDAOなどが、イーサリアム上で動くアプリケーションとして生まれました。NFTやDAOの説明は第3章で行いますね!
ここまでの重要なポイントとして、イーサリアムはただの「仮想通貨」ではなく「プラットフォーム」であるといった点を理解していただけると良いかなと思います!
では、イーサリアムというプラットフォームの上で、どのような構造でサービスやアプリケーションが機能しているのか。ブロックチェーンを語る上で理解しておくべき「レイヤー構造」について解説していきます。
ブロックチェーンのレイヤー構造
ブロックチェーンは「レイヤーモデル」という構造を採用しています。レイヤー構造については、以下のスライドをご覧ください。
このように、L1(レイヤー1)を基盤に、レイヤー(階層)になっているのが分かるかと思います。ここからは、各レイヤーについて具体的なブロックチェーンの事例も踏まえながら解説していきます。
L1(レイヤー1):インフラ
L1は基盤となるブロックチェーンのことで、「インフラ」をイメージすると分かりやすいと思います。現在はイーサリアムを筆頭に、様々なブロックチェーンが一つのインフラとして機能しています。
L1は例えると「大陸」のようになっていて、現状だとイーサリアムが全体の7〜8割を占めるほどの巨大な大陸となっています。
巨大な大陸として勢力を上げているイーサリアムにも、「スケーラビリティ問題」と呼ばれる課題があります。
スケーラビリティ問題とは、取引データを入れるブロックの容量がいっぱいになって処理が追いつかなくなってしまい、取引を行う手数料が高くなってしまったり、取引の速度が遅くなってしまう問題を指します。
このスケーラビリティ問題を解決するために、イーサリアムのライバルとなる別の大陸(L1のブロックチェーン)が登場しました。
具体名を挙げると、Solana(ソラナ)・Avalanche(アバランチ)・NEAR(ニア)などがライバルのブロックチェーンとして君臨していて、共通の特徴として「低コストかつ高速な取引」が可能となります。
L2(レイヤー2):インフラの課題を解決するためのオフチェーン
巨大な大陸であるイーサリアムに立ち向かう形で、ライバルとして大陸(L1のブロックチェーン)を0から作り上げるのは、時間とお金、労力もかかって大変です。
そこで、元々存在しているイーサリアム大陸(L1のブロックチェーン)の上に乗っかる形で、スケーラビリティ問題を解決するための技術がL2(レイヤー2)です。
前述した通り、ビットコインのマイニングには非常に複雑な計算を行う必要があります。L2はL1のブロックチェーンの外で一旦途中まで計算し、最終的な取引結果だけをブロックチェーンに戻すことで、処理能力の負担を軽減・取引の高速化と低コストを可能にしています。
この、ブロックチェーンの外で処理が行われる技術は「オフチェーン」と呼ばれています。
L3とL4(レイヤー3とレイヤー4):アプリケーション
L1がインフラ、L2がL1の課題を解決するためのオフチェーンでした。
L3は、L1・L2を土台として存在するアプリケーションの基盤となるレイヤーです。
L4は、L3の基盤の上でできている、サービスとしてユーザーが実際に使うことができるアプリケーションのことを指しています。先ほどの大陸の例だと、インフラとなる大陸の上で様々なアプリケーションが存在しているようなイメージですね!
イーサリアムのように、ブロックチェーン上でスマートコントラクトを利用することで実現できるアプリケーションを「DApps(ダップス)」と呼びます。Web3関連の記事によく出てくる用語なので、併せて覚えておくと良いでしょう。
L0:インフラ同士を繋ぐ
L1〜L4だけでなく、LayerZeroといったプロジェクトも登場しました。先ほどの大陸を例に挙げると、L1の大陸の下に位置し、大陸同士をチェーンで繋ぐような技術がLayerZeroです。
(※L1、L2のようにチェーンの総称ではなく、LayerZeroは具体的な一つのプロジェクト名です。スライドは分かりやすくL0と総称しています)
L1同士は相互運用性がなく、例えば、ビットコインとイーサリアム同士で連携して、通信や仮想通貨のやり取りができないような状態になっています。
ブロックチェーンごとに使える仮想通貨が変わってしまうと、ユーザーとしては不便ですよね、、!
今後も様々なブロックチェーンが登場していくため、点在しているチェーンを一つに繋ぐ仕組みが必要だよね!といった思想で、L0が誕生しました。
その他にも似たような仕組みとして「Polkadot(ポルカドット)」があります。PolkadotもLayerZeroと同じく相互運用性が特徴で、イーサリアムを共同で創設したギャビン・ウッド氏らによって考案されました。
Polkadotもすごく面白い仕組みでご説明したいのですが、それだけでかなりのボリュームになりそうなので、また別のnoteで書きます!
興味のある方は以下の記事を読むと、Polkadotの仕組みや、Polkadotと接続している日本生まれのブロックチェーン「Astar Network」についても理解が深まると思います。
2章のサマリー
第2章の「ブロックチェーン徹底解説」のポイントは以下の3点です。
特に、ブロックチェーンとスマートコントラクトの仕組みは、Web3を理解する上で重要な技術となります。
第3章では、Web2.0の時代からWeb3で何が変わるのかを解説いたします。
まずはWeb3とは何かを改めてお話し、Web3に関する話題のワード「仮想通貨・NFT・DAO」は何なのか、何ができて、何が今後変わっていくのか、初めて理解する方でも腹落ちしやすいように噛み砕いて説明ができればと思います!
3. Web3で何が変わるのか
Web3とは
改めて、Web3とは何か。
少しおさらいをすると、Web1.0の時代は、企業がユーザーへ一方的にコンテンツを提供し、ユーザーはそれを閲覧するだけでした。
Web2.0の時代では、ユーザーが閲覧だけでなくコンテンツの提供者として変化し、企業はプラットフォームなりました。
Web3の時代では、ユーザーがプラットフォームを利用する存在から、運営する側へと変化していくと言われています。
前述の通り、Web3はブロックチェーンの技術でできているため、管理者がいなくても判断できるようなルールを作ったり(コンセンサスアルゴリズム)、中央サーバーを介さず参加者同士で通信をしたり(P2P)、データを保有(DLT)し合っています。
これって、プラットフォームが従来行っていた運営をユーザーだけで担っている状態ですよね!なので今後は、ブロックチェーンが普及すると、ユーザーはプラットフォームを利用するだけでなく、運営を担うような立場へと変化していきます。
Web3は「分散型インターネット」とも呼ばれています。
GAFAMなどの一部の企業にデータが集約してしまう従来の中央集権的なインターネットの課題を解決するために、参加者同士でデータを分散して管理していくのがWeb3の概念としてあります。
Web3と関連性の高いメタバースについて
メタバースについても簡単に説明します。このあとお話する仮想通貨やNFTとも関連性が高い内容となるため、ぜひ読み進めていただければと思います。
メタバースとは、「meta(超越)」と「universe(宇宙)」を組み合わせた造語で、インターネット上の仮想空間のことを指します。
VRゴーグルを使った3Dゲームのように、自分が電源を切ることでその空間が一旦終了し、電源をオンにすることで、またその世界が動き出すような空間は、メタバースの概念とは相違があります。
メタバースは、自分の参加の有無に関係なく、仮想世界が永続的に続いていて、いつでも誰でもその世界に同期できる空間を指します。先ほどの3Dゲームの例だと、自分がゲームの電源を切っても、その仮想世界が永遠に続いているような状態ですね!
ゲームだけでなく、お金のやり取りをしたり、仕事や生活をしたり、ほぼ現実社会と同じことが仮想世界でもできるようになることがメタバースの目指しているところです。
メタバースの仮想世界では、自分の分身となる「アバター」で活動を行うため、「人が生まれ持った見た目で判断されなくなる」といった点もメタバースの特徴として挙げられています。
ここまでで、Web3とメタバースの概要をお話しました。では、具体的にWeb3時代になって何が変わるのか。
これからお話する3つのワード「①仮想通貨・②NFT・③DAO」を理解することで、Web3への解像度が一層高まるでしょう。
仮想通貨:仮想世界のお金
仮想通貨持っているよ!という方に質問です。仮想通貨はどのような目的で購入されましたか?
現在、仮想通貨は投機目的で購入される方が多いと思います。ただ、今後はメタバースの世界が実現していくにつれて、仮想世界内のモノの売買に仮想通貨が一般的にも使用されるようになるでしょう。
現状でもWeb3のゲーム内のアイテム購入に仮想通貨が使用されていますが、今後は現実世界で起きている経済活動が、仮想世界でも同じように起こると言われています。
例えば、現実世界と同じような世界が仮想世界にできてきたら、自分の分身であるアバターでもお洒落を楽しむために、デジタルの洋服を購入する人が一般的にも増えてくると思います。
仮想世界で過ごす時間が現実世界と同じくらい長くなれば、普段着・仕事用の服・遊びに行くための服など、現実世界と同じように所有する洋服のバリエーションも多くなっていくでしょう。
現時点でもデジタルファッションの売買だけでなく、仮想世界内に土地を買ったり、建物を建てたりといったことが起きています。
ただ、ここで疑問なのが、なぜ円やドルなど法定通貨と呼ばれるものではなく、仮想通貨での売買じゃないといけないのでしょうか?
仮想世界でも円やドルなど法定通貨でやりとりができれば、仮想通貨を購入することに抵抗のある人も手軽に参加でき、もっとWeb3が広まっていきそうですよね!
法定通貨ではなく仮想通貨じゃないといけない理由は、「NFT」と深い関係があります。
NFT:デジタルデータに価値を付与する技術
NFTとは
『NFTとは、「Non-Fungible Token」の略で、日本語で「非代替性トークン」という意味です。』
NFTとは何か?といった説明を行う際に、このような説明が様々な記事で見受けられます。言葉だけ見ると本当に分かりにくいですよね、、自分も最初は全く分かりませんでした。w
NFTは「デジタル所有物」であり「デジタルデータに価値を付与できる技術」だと覚えておくと分かりやすいと思います。
コピーがいくらでも可能だったデジタルデータが、NFTによって個数を限定したり、自分のデジタルデータだと証明できるようになったり、誰のデジタルデータなのか購入履歴を誰でも閲覧可能になりました。
デジタルデータに価値が付けられるようになったことで、デジタルのアートや音楽、ファッションなど、多くのデジタルデータがNFT化して売買されるようになりました。
NFTの何がすごいのか
「NFTアートが◯億円で売れた!」などの投機的な側面で話題になることが多いですが、メタバースの世界(仮想世界)を実現する上でNFTがとても重要な存在になります。
NFTの何がすごいのかというと、NFTによって「デジタルデータに価値を付与できるようになった」ことにより、仮想世界内での経済活動を可能にしたことです。
Web2.0の時代は、デジタルデータは簡単にコピーが可能で、金銭的な価値はありませんでした。
NFTが登場したことによりデジタルデータに価値を付与でき、価値の生まれたデジタルデータを「所有する」という概念が生まれました。
デジタルデータを所有するといった考えはこれまであまりなかったですよね!それは、簡単にコピーが可能でデジタルデータに価値がないと思われていたからです。
デジタルデータも「所有する」という概念が生まれたことによって、現実世界と同じく仮想世界でも「モノを買う・売る・所有する」といった経済活動が可能になったのです。
そのため、仮想世界で経済活動を行うためには、NFTが必要不可欠なのです。
法定通貨ではなく仮想通貨じゃないといけない理由
ここで、仮想通貨のパートで話していた『法定通貨ではなく仮想通貨じゃないといけない理由』に話を戻します。
仮想世界のモノ(デジタルデータ)を売買するためには、NFTである必要があります。
NFTはイーサリアムなどのインフラの上で成り立っているアプリケーションで、インフラ同士は基本的に相互運用性がないため、そのインフラが発行している仮想通貨でないと取引ができないのです。
第2章のおさらいを踏まえながら、もう少し噛み砕いて説明をしていきます。
「ブロックチェーンのレイヤー構造」で、イーサリアムはL1で例えると「大陸」のようだとお話しました。「大陸」と「大陸」同士は繋がっていないため、LayerZeroのような技術はあるものの、基本的に大陸同士はお互いの仮想通貨でのやり取りができません。
NFTは大陸の上に存在するアプリケーションでしたね!そのため、イーサリアム大陸の上でNFTを作成すると、インフラであるイーサリアムの通貨「ETH(イーサ)」を使用する必要があります。
NFTについて要点をまとめると、以下の2点が重要となります。
DAO:貢献者に金銭的メリットが渡る仕組み
Web3のトレンドについてお話すると、2020年はDeFi(分散型金融)、2021年はNFTが注目され、2022年はDAOの年になると言われています。
今年に入って「DAO」という言葉だけは、最近よく耳にするようになったという方も多いのではないでしょうか?
DAOとは
DAOとは、「Decentralized Autonomous Organization」の略で、日本語だと「自律分散型組織」と訳されます。NFTと同じくこの説明だけだとよく分からないと思います。
簡単にいうと「社長のいない株式会社」のようなものだと理解しておくと良いでしょう。
DAOは、社長がいなくてどうやって事業を推し進めていくのでしょうか?
先ほどから何度も話に上がっているビットコインやイーサリアムも「DAO」の有名な例で、ビットコインであれば、創始者とされるサトシ・ナカモトがいなくても各メンバーが自律的に動いて、現在も成長を続けています。
社長がいなくて誰が意思決定を行っているのでしょうか。DAOは「意思決定の民主化」と言われていて、基本的にはトークン(仮想通貨)のホルダー(保持者)による投票によって決裁がなされています。
また、DAOもNFTと同じくブロックチェーンの技術によって作られているため、意思決定の結果は全てブロックチェーン上に永続的に記録され、透明性が高いことも特徴として挙げられます。
DAOは社長がいないのに、各メンバーがなぜ自律的に動いていけるのでしょうか。管理者がいないとモチベーションが続かない人が出てきたり、サボってしまう人も増えてしまうのでは?といった懸念もありますよね、、!
各メンバーが自律的に動ける理由としては、事業に貢献することで金銭的なメリットを得ることができるからです。
ビットコインのマイナーが良い例で、マイナーがマイニングに1番に成功すると、ビットコインがマイナーに付与される仕組みになっています。マイナーは誰かに指示されているわけではなく、金銭的メリットに魅力を感じ自律的に動いているのです。
マイナー以外のメンバーも、自分が保有している仮想通貨の価値が上がれば金銭的メリットがあり、それがモチベーションとなって事業を推進していく力となります。
各メンバーに金銭的メリットを与えて、自律的に各メンバーが動いていく組織が「DAO」です。「やりがい」や「ボランティア」などで動いていく組織ではありません。
DAOの何がすごいのか?
DAOの何がすごいかというと、プロジェクトに関わる全ての人たちが金銭的なメリットを得られることです。
例えばWeb2.0の時代だと、SNSに日々投稿し続け、SNSを盛り上げてきたユーザーには、金銭的な見返りはほぼありませんでした。(見返りとしてあるのは「いいね」くらいでした)
Web3の時代では、好きなDAOに参加してトークンを保有し、自分が盛り上げてDAOやトークンの価値が上がれば、金銭的にも報われることになります。
Web2.0の企業を例にDAOに置き換えると、Twitter開始初期にTwitterの発行するトークン(仮想通貨)を保有し、ツイートをして盛り上げることで、結果ユーザー数も増えてトークンの価値が上がり、金銭的にも利益を得ることができるようなイメージです。
仕事上の組織でも同じことが言えます。組織が発行しているトークンの一部をプロジェクトに参加しているメンバーが保有し、スマートコントラクト上のルールとして、貢献しているメンバーには追加でトークンを付与する仕組みにするとします。
それがモチベーションとなって組織に貢献し、成果が出てトークンの価値が上がることで、貢献したメンバーが金銭的にも報われるようになります。
貢献した人が金銭的にも報われる世界が「DAO」です。
ここまではDAOの良いところばかりをお伝えし、これだと「会社よりもDAOの方が絶対良いじゃん!」となってしまうと思うのですが、現時点でDAOにも課題は多く存在します。
ただ、今後Web3時代の働き方として、株式会社だけでなくDAOも選択肢として当たり前になっていくでしょう。
3章のサマリー
第3章の「Web3で何が変わるのか」のポイントは、以下の3点です。
4. Web3の時代に何をすれば成功するのか
1〜3章で、ブロックチェーンやWeb3の概要と「Web3で何が変わるのか」をお話しました。第4章ではWeb3の時代に何をすれば成功するのかを話していきたいと思います。
「メタバースとWeb3」の著者である國光 宏尚氏は、インタビュー記事で以下のように述べています。
Web1.0からWeb2.0に移り変わるとき、ゲームを例に挙げると、多くの企業が家庭用ゲームやガラケーのゲームをスマホに移植しようとしていました。
結果上手くいかず、成功した企業は、スマホの機能を最大限に活用した「パズドラ」や「モンスターストライク」のようなスマホじゃないとできないゲームでした。
Web2.0からWeb3に移り変わる場合も、同様の現象が起こり得ます。
多くの企業がスマホゲームをVRに移植しようとして上手くいかず、VRの機能を最大限に活用したゲームが成功する可能性があります。
ブロックチェーンも同じです。SNSをブロックチェーンに移植するのではなく、ブロックチェーンじゃないとできないプロジェクトが成功すると考えられます。
ブロックチェーンファースト・メタバースファースト・AIファーストを実行できた企業が、Web3の勝者になるのではないでしょうか。
さいごに
今回は、前提知識のない方でもWeb3とブロックチェーンについて短時間で概要が理解できるように徹底解説しました。
概念や「何ができるのか」は、ある程度理解ができたと思うので、次のステップとしては「どうすれば実現できるのか」を考えることだと思います。
概念や何ができるかを理解しても、どう実現させるのかが分かっていないと実務に活かすことはできないでしょう。「How」に関しても、またnoteにまとめようと思います。
本noteをきっかけにWeb3の領域って楽しいな!もう少し深ぼって勉強したいなと思ってくださる方が1人でもいたらとても嬉しいです!今後も一緒に学んでいきましょう!
また、Web3やブロックチェーンについて詳しい方で、自分の理解が間違っている部分があれば、ぜひ教えて欲しいです!
Web3についていろんな方とディスカッションしていきたいので、情報交換してくださる方がいましたら気軽にTwitterにてご連絡ください!これからもWeb3の情報を発信していくのでTwitterとnoteのフォローもお願いします!
参考文献
本noteは、基本的に以下の本をベースに、様々な記事の情報を踏まえながら自分の言葉でまとめたものになります。どれもわかりやすく解説されていて読みやすいので、ぜひ併せて読んでみてください!
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