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色の名前の魔法

先日のネイル部の記事にイラストで描きましたが、キャンメイクのネイル、N70番のピンク色は「ローズミルクティー」という名前だそうです。大人っぽいシアーなピンクブラウンの色味もいいのですが、名前も可憐でいいんですよね。

ローズにミルクティーを掛け合わせるなんてすてきなネーミング

そして、色の名前の魔法みたいな経験が身近にあったなぁと思い出しました。

いつも行く美容室で、二、三ヶ月に一度、根元だけリタッチをしてもらっています。年齢的に白いものもチラホラと顔を出しており、仕方なくという気持ちもあり、半ば機械的に”いつもの色で”カラーリングをお願いしているのですが。色の仕上がりはまあ、黒っぽい茶色といった感じ。ツヤがありほんのり奥行きもあり、色が抜けた後も赤みや黄色みが強くなる感じもなく程よいので、いつも同じ色でお願いしています。

ある日、ふと思い立って「この色は何色なんですか?」といつもお願いしている美容師さんに聞いてみました。

ラベンダーアッシュっていいますよ~」
ラベンダー、、アッシュ、、?

ラベンダーの花のようなほんのりとした紫カラー。
そして独特の青みを持つアッシュカラー。
ラベンダーアッシュは、このふたつを掛け合わせた青紫系のヘアカラーを指します。

出典:ホットペッパービューティー/【2023年最新】ラベンダーアッシュってどんな髪色?透明感が今っぽい旬色ガイド

ラベンダーアッシュ。ただの黒っぽい茶色じゃなかった。
え、なんか素敵な名前の色!

色の名前を耳にしたときにふわ~っとイメージが広がるような感じがしました。「私、髪の毛はいつもラベンダーアッシュにカラーリングしています」って思ったら、ちゃんと丁寧に手をかけておしゃれしているような気持ちになりません?気持ちがほんのり弾んで、帰路の足取りもなんだが軽やかになったものでした。

ただのピンクブラウンより、ローズミルクティー。
黒っぽい茶色より、ラベンダーアッシュ。
こころが勝手に踊り出す言葉の魔法が在るように感じます。

そうだ、色の名前にまつわる話がもう一つ。
いつも使っている透明水彩絵具で一番好きな色がホルベインのペインズグレイ。青みがかった黒でとても好きな色です。髪の毛や夜空、陰影、目元などを塗るときなど、あらゆるシーンで使っています。完全な黒という絵具は使ってなくて、黒に寄せるときはいつもこの色を使っています。(ペインズグレイに茶系を足して作ります。)

ペインズ。なんとなく、心の小さな痛みや哀しみ・寂しさを感じさせる。グレイ。絵具自体はほぼ黒なのに、灰色というネーミングにも、微かな寂寥を感じる。哀しみの灰色。鮮やかに暗いその色味にぴったりの名前だなあと感じていたのですが。

英語表記はPayne's grey。あれ?painsではないのか。
どうもこれはウィリアム・ペインさんというイギリスの水彩画家が開発した灰色ということらしい。そっかー、そっちかー!

それでもこの色が持つ密やかで力強い魔法は変わらないまま、使うたびにほんのりとした哀しみを想像してしまうのでした。一度かかった言葉の魔法はなかなか解けないようです。

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