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全力最推しは「女子」

HPV、ヒトパピローマウイルス、子宮頸がんの起因などの発生に関わっているとされるウイルスです。なお、HPVのHは「ヒト」じゃなくて「ヒューマン」です。ここ試験にでます(注:出ません)。


HPV定期接種の機会を逃した方へ、接種機会を提供しています

↓ 是非、厚労省のページを参照していただきたく ↓

過去に色々ございまして、10年近く接種がぽっかり抜けた時期がありました。でもそれまでの懸念も色々払拭ができ、昨年度からその「空白の10年くらい」をどうにかしないとということで、「追いつこうぜ!」と意味するキャッチアップを頑張りたいのが今の日本です。


対象となる方は、17歳〜27歳くらいのH9〜H18年度生まれの女子。昨年度からHPVワクチンの積極的接種勧奨が再開しまして、今色々なところで「急ごう!」となってます。そういう情報をお見かけしたこと、ひょっとしたらありますかね。あったら嬉しい。


その理由がですね、公費で無料で接種できるのがあと1年で終了するからです。しかもですね、定められた回数を接種するには6ヶ月ほどかかります(間を空ける必要あり)ので、お忘れなくね!という呼びかけを色々なところでしているのです。


接種率が低い

国立がん研究センターHPより

HPVワクチンは年齢によってなんですが、2回〜3回接種です。15歳のお誕生日前までなら2回でよし、それ以降なら3回です。日本では12歳〜16歳の小学校6年相当〜高校1年相当の女子が定期接種の対象です。「空白の10年くらい」の間にこの年齢だった女子に接種機会をどうぞ、というのがキャッチアップ接種。


ま、とにかく国内のHPVワクチン接種率はあまり高くなく、そこを何とかしたいというのが国の方針。ワクチンで防げる病気があるのであれば是非とも、と。子宮頸がんもそのひとつとされています。



国立がん研究センターHPより

「子宮頸がんを撲滅しよう!」と頑張る国がある一方、正直なところアジア圏はまだまだな感じです。欧米に追いつけ追い越せではないんですが、防げるものなら防ぎたいし、その手段が予防接種ですよという情報周知の差かとも思います。



国立がん研究センターHPより

海外と日本の接種機会の差というものなんですが、これはHPVに限らずなんですけれども、学校で接種が可能ということが接種率高い国の共通事項かと思われます。日本のメインは医療機関ですよね、でもこれって医療保険とかそういう制度のこともあったり、国によっては定期接種受けないと公立の学校に通えなかったりとか、色々あります。


海外留学するとして、その時大抵「予防接種の記録を出せ」はセットです。むしろ「来る前にあれとこれをそれを必ず打ってくるように」くらいついてきます、当たり前のように。それが学校入学で当たり前というか、そうじゃない国の人からするとびっくりするのかもしれないけれども。


予防接種の情報って実は母子手帳頼りなんですよね。「自分、打ってたっけ?」と覚えてないケースが正直ほとんどかと。母子手帳も紙手帳じゃなくて電子化とか求められてるわけですけれども、一番確実なのは個人に紐づけるのが一番なのかなって。コロナのワクチンみたいにマイナンバー的なアレでピッとパッとわかるのが一番いい。



接種率、本当に低い

↓動画の中でも説明してるけど

港区民のキャッチアップ接種数、こんなもんであります。17歳〜27歳くらいの対象女性が約12,000〜13,000人くらいいます。なお、港区の人口は26万人台です。そのうちの約12,000人〜13,000人くらいが昨年度と今年度の途中まで、400人500人くらいしか1回目キャッチアップに辿り着いてない。


分母は「500%」であること、ここ大切です

予防接種実施率というのがあります。パーセンテージで出てるのが非常にトリッキー。『ふーん、東京で46%かあ。キャッチアップは人数が多いからもうちょっと高いパーセンテージなのね?」と、46/100で46%とお思いで大体半分じゃん?とお思いのアナタ、大間違い。ブッブー。


46%/500%なのです。HPVの実施率は分母が500%なのです。簡単に言うと、5学年/1学年、対象者が全員打ったら500%(max値)とするのが予防接種実施率の考え方。国内の女子で接種しているの、2割程度でなかろうかというのが日本のHPVワクチン接種なのであります。低い。


予防接種というものは何でもそうですが、ぶっちゃけ言いますと「母親の考え方に左右されるケース多し」です。これふと思うんですけど、選挙も一緒かなって思っちゃったりすることある。予防接種とか選挙行く親を見て育つ子供は、大人になっても同じような行動を取る傾向あるんじゃないかな。いいことです。


そんなこんなで低い接種率だからこそ、予防接種へのアクセスをよくしたくて集団接種会場を設けようよと提案した次第。16歳未満は予防接種は保護者の同意が必要だけれども(ここも接種率低い理由のひとつかと)、キャッチアップ年齢は保護者同意が不要だし。


集団接種を設けることのメリット、あります絶対

↑色んなこと喋ってます。是非一度ご覧になっていただけると嬉しいです。


キャッチアップ対象の17歳〜27歳くらいの女子です。想像してみましょう、自分がその年代だったらと。

・かかりつけドクターいないからどこで打てるのか病院調べるところからまずめんどくさい

・婦人科なの?それとも別のところでも大丈夫なの?そういうの含めて調べるのめんどくさい

・いざ調べ始めたら口コミとかそういうの気になっちゃう、いつまでたっても調べ終わらない

・スケジュール立てるのがめんどくさい、予約もめんどくさい、

絶対いる、こういう女子は


コロナの集団接種もそうでした。めんどくさがる人もいるからそれもまるっと引き受けようよと。予約もできるけど予約不要にも門戸を開き、きたら打てると。実際たくさんの方にご利用いただいたわけです。でもHPVはコロナと違って「接種券入りの封筒届いたから、じゃあ行くか」というパターンでは恐らくない。けども、受け入れ態勢があれば「じゃあ行こうかな」がひとりでもふたりでも増えればいい。



オススメは「夏休みシーズンに1回目」

と思っております。集団接種会場設けることも含めて、積極的に検討してくれるようなのでどうなるか楽しみにしたいと思います。


港区が集団会場を設けたら、港区民だけじゃなくて23区の区民が利用できるんです。これも接種率を上げるためのメリットかな。予防接種の定期接種、23区は相互に乗り入れが可能ということですので(ごめん市民)、都心自治体が公衆衛生に貢献できる最大限。がんばろう港区。他の22区もやってくれ。



男子向けHPV接種について思うこと

東京都保健医療局HPより

HPVはわかりやすいようでややこしくもある。ワクチンも2価4価9価の3種類ある。一番新しいワクチンが9価(適応は国内では女子のみ)で多くをカバーできるわけだからそれをオススメしているのが今。


男子向けのHPVワクチン接種に助成費用を、という流れになっているのも知ってますしわかってます。ただ、私はそっちより女子を最優先にするべきだという考えです。本音としては、9価ワクチンが男子に適応拡大されるのが先だと思ってます。今4価だけですし。


来年度の東京都予算で男子向けHPV接種をする自治体に1/2助成しますという発表がありました。それに対応する自治体もチラホラでています。正直に申し上げまして、ほんとにいいのかって。正直に申し上げまして、選挙直前にやった感を出してくるの、ほんとにいいのかって。


今男子HPVは任意接種です。定期ではありません。今、国の方でも定期にするか否かを検討をする前段階で、これまでの安全性とかの情報を集めています。いるはずです。どこか近い未来(来年度中ででるかどうかはわからないけど)、検討資料の叩き台が作られるはずですので、それが国の厚生科学審議会で出されてから各自治体が検討してもよいのかと思ってます。


「どこどこがやってるから」という理由とか「助成半分だすから」とか、予防接種は人の命にも関わるものですから、そんな安全性データのないものを簡単に採用してよいものだろうかと、前職医薬品の臨床研究開発してた身としてはちょっとどうも。感覚としては、そのうち民間療法にも助成出せという人でてくるのではとすら思います。そのくらいの感覚ね。なんせ、何らかの助成というものは議員とか首長とかの「実績」としてわかりやすいものでありますから、なおさら。


が、しかしですよ、全否定しているわけではないんです。厚生科学審議会の資料次第で、港区の「任意予防接種に対する助成基準」に当てはまればそれでよいんです。


“男性へのHPVワクチン接種は任意接種。健康被害が生じた場合の給付額が低い。死亡した場合、定期接種が4,530万円に対し、任意接種は754万2,000円”

“国において男性への接種に関する専門の相談支援や医療体制が整ってないなど、制度として十分ではない”

“国の動向を注視するとともに、国に対しては(厚生科学審議会等の)検討を早めるよう機会を捉えて働きかける"

予算特別委員会の自民党総括質問答弁より

私は港区のこの考え方に同意するし、正しい見解だと思ってます。自治体はこういうスタンスを忘れちゃいけない。ただ、区民のみなさんからすると「お堅い!」と思うんだろうけれど。女子が最優先。


なので、厚生科学審議会の結果待ちで全然遅くないと思うし、近い未来でファクトシートがきちんと公表されることを期待します。東京都は「対象男子の5%くらいでしょ?いたとしても?女子の接種率はほっといていいわよ?」というような予算ですから、本気でどうにかしようとは思ってない。「やらないよりやるだけいいでしょ?お金だけ半分出して責任とかは一切取らないけど?」「国を出し抜いた東京都いいでしょ?だって都知事選挙前だし?」と、5%も期待してないような事業の考え方、そこが一番腹立ちます。


予算特別委員会の衛生費、以上。


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