新作ボードゲーム「タイムトランクマン」製作日誌 その2
こんにちは。オグランドです。
足し算と引き算、重要なのは”引き算”
「タイムトランクマン」の初期のゲームシステムは、うまくいきませんでした。
振り返ってみると・・・「時間旅行」×「宝探し」というテーマに対して、「時間旅行」は3つのボードを移動することで表現できたのですが、「宝探し」が、宝を探すものの、その宝の相場を読みながらお金を儲ける「商人」的なテーマの表現になってしまっていました。
写真の右下にあるのがテストプレイ時の相場表です。相場は、捜索によって金銀銅が出現した時代や、売却によって金銀銅が売られた時代の対象となった金銀銅の相場が下がります。
タイムトラベルのエネルギーによって消費された金銀銅は、タイムトラベル元となった時代で相場が上がるといった内容でした。
宝=金銀銅などの財宝として捉え、それを探す。そして、見つけた宝を相場を見ながらより高く売却する といった考えからの脱却が必要でした。
もともと相場のシステムは、ゲームを自分でコントロールしている感覚をもってもらうのと、他の人との兼ね合いが発生すること、そして前回ご紹介したジレンマの要素も加わり、ゲーム性を出すには最適なシステムだと感じていました。
ジレンマの要素は相場の操作の部分に入れていました。他の人が多く持っている宝は、タイムトラベルのエネルギーとして使用すると、相場が上がってしまいます。でも、自分にとっては不必要だったりします。
ところが、実際にテストプレイしてみると変動する相場が分かりにくかったり、相場表の操作がプレイの流れを止めてしまっていました…
そのために相場のワクワクがプレイの中では感じられない状態でした。
ゲームシステムを構築するために足し算で積み上げてきたものを、引き算するタイミングです。ゲームをエンターテイメントとして昇華させていくために、この”引き算”もキーワードです。
ゲームだけでなく、世の中のヒットしているモノのなかには、この引き算が上手なもの、つまり、「洗練されたもの」「特徴が際立っているもの」「訴求したいポイントが明確なもの」が多いと思います。
ワクワク と ワクワク を掛け合わせるに立ち返る
引き算をして、ブラッシュアップしたものの、「宝探し」のワクワクをゲームシステムに落とし込めていません。再度何がワクワクかを考えます。ここでメンバーからその時代にある宝を金銀銅で交換するというのはどうか?というアイディアが出ました。
「あっ!!!」
それを聞いたとたんにシステムとしての閃きとワクワクが同時にが生まれました。交換対象となる宝には価値があって、金銀銅をどれくらい渡せば交換出来るかが異なる。これって、まさにショッピング。
❝ショッピングは、ワクワクする❞
そして、交換を重ねて宝を集める。これはコレクション。
❝コレクションも、ワクワクする❞
ショッピングとコレクションを実際にテストプレイしてみます。ゲームシステムは、素材を集めてその組み合わせで勝利点を獲得するというセットコレクションがベースです。
実際に遊んでみると、相場という考え方を無くしたことで、3つの時代ボードに集中できるようになり「時間旅行」している感覚が強くなりました。更に、勝利点を獲得していく方がお金を儲けるよりも「宝探し」に向いていました。
あとは、実際に交換対象となる宝の種類や価値など内容などのバランス調整をします。私は、このあたりのバランスを考えるときはエクセルに一覧表を作り、出現率や勝利点毎の枚数シェアなど数値を見ながら調整しています。
そして、重要なのが宝の設定を何にするのか?そもそも、遊ぶ人たちは何者で、どうしてタイムトラベルしながら宝を探すのか?そう、テーマ設定です。
最終的に「宝」の設定は、ロストトレジャー(遺物)になりました。
天叢雲剣、源義経の具足、服部半蔵の手裏剣・・・ワクワクしませんか?
このテーマ設定や宝の設定については、メンバーから別の機会でご紹介します!
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