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採用難・売り手市場・労働人口減少が続く中で事業成長するためには?!
「事業は人なり」という言葉は非常に有名なものですが、経営の神様と称される「松下幸之助(パナソニックの創業者)」が唱えたものです。
経営者の率先垂範の重要性について、「経営者は誰よりも早く起き、誰よりも遅くまで働く。経営者自身が身をもって示すことが第一」であると説いています。
会社や組織の内部資源(リソース)の中で、最も重要なリソースは、当然ですが「ヒト」でしょう。
というのは、その他のリソース(モノ・カネ・情報・ノウハウなど)を生み出すのはすべて「ヒト」であるためです。しかし、この「ヒト」の採用が非常に困難になってきており、弊社エックスラボも含めた中小企業やベンチャー企業などのスモールビジネスの現場においては特に顕著です。
今回は、このような現状の中で、どのように「事業成長」を見出していけばいいのか?について考えてみます。
採用難は今後も続く?!
厚生労働省が公表している最新データを確認すると、令和元年度の有効求人倍率は1.55となっています。この数値をどのように捉えるかですが、2008年のリーマンショック以来、右肩上がりで有効求人倍率は上昇しています。
図1:有効求人倍率の推移
なお、有効求人倍率は、有効求人数を有効求職者数で割って計算されます。
つまり、有効求人倍率は1を中間値として、1より小さい場合は求人数の方が少なく、1より大きい場合は求人数の方が多いことになります。
また、上記図1の数値は全業種、全都道府県での平均値となりますが、業種や都道府県によっても相当のバラツキがあります。
このような状況から見ても、採用難は深刻さを増し、特に中小企業にとっては今後もこの状況の中でいかに事業成長を見出していくかを常に考えていかなければなりません。
採用難な状況で事業成長するためには?
では、このような状況において、事業成長を見出すにはどのようなことがポイントになってくるのでしょうか?
この問いに対する答えは、永遠のテーマであり、何かウルトラC的なものがあるわけではないと思います。しかし、一つ断言できることは、「既存のメンバーのパフォーマンスをいかに最大化できるか」ということです。
これは当然ですが、新規採用が難しい状況であれば、現在いるメンバーや現在の組織体制でパフォーマンスの最大化を考えるしかありません。至ってシンプルなことです。
しかし、転職市場が「市場」として成り立っている(むしろ、市場規模は毎年拡大している)ことを考えれば、既存のメンバーが何らかの理由で離脱してしまったり、卒業してしまったりすることが実際に発生していることになります。
では、会社組織にとって最も重要なリソースの「人財」である既存のメンバーが離脱(退職)してしまう理由はどのようなものでしょうか?
この理由がしっかりと理解できなければ適切な対策は打てないため、ここを次に考えていきたいと思います。
エン・ジャパン株式会社が運営する人事担当者向け中途採用支援サイト『エン 人事のミカタ』( https://partners.en-japan.com/ )が、2016年1月に『エン転職』のサイトユーザーを対象に「退職理由のホンネとタテマエ」についてアンケート調査を行ないました。
この「退職理由のホンネとタテマエ」というデータが非常に興味深いため、下記をご覧いただきたいと思います。会社に伝えている退職理由(タテマエ)と、本当(ホンネ)の理由がここまで違うということになります。
図4:退職理由のホンネとタテマエ
(参考)転職理由(退職理由)のホンネとタテマエ
そしてさらに深掘りしていきますが、ホンネの理由の上位項目(下記)に注目してください。
・報酬を上げたい
・上司と合わない
・職場の人間関係が合わない
・評価に納得できない
では、このような理由を解決するための本質的なアプローチはどのようなことでしょうか?逆に言えば、これらの理由が発生してしまう、本質的な理由はどのようなことでしょうか?
・報酬を上げるための評価に納得できないのはなぜでしょうか?
・上司や職場の人間関係が合わないのはなぜでしょうか?
・入社前、つまり、採用段階から求職者へ「報酬を上げるための評価はどのように行われるか?」について説明ができていればどうであったのでしょうか?
・また、「会社が大切にしている価値基準や行動指針は何か?」であったり、これが創り出す「会社のカルチャー、雰囲気、そして、それに共感して集まっているメンバー(人間関係)はどういう関係性なのか?どういう環境や雰囲気なのか?」ということを入社前にしっかりと説明できていればどうであったのでしょうか?
さらに、これは入社前だけの話ではありません。
入社後も同じで、「日々の業務がどのように評価されるか?」「日々の行動や言動は何を基準に実行や判断をしていけばいいのか?」という、会社組織の「モノサシ(基準)」が明確であれば、メンバーはこれを基準に全ての事に向き合っていくことができます。
上司や管理者が、メンバーを指導したりする際も、個人的な感情や主観ではなく、モノサシに則って指導していくこともできます。上司と部下の人間関係や職場環境での人間関係のトラブルの多くは、感情と感情(主観と主観)のぶつかり合いがほとんどです。
しかし、明確なモノサシがあれば、このモノサシに対して行動できているのか、という議論ができるため、人間関係のトラブルも減らしていくことができます。
このようなことが正しく実行されていけば、メンバーの離脱や卒業は最小限に抑えられる可能性も高まり、既存のメンバーの成長を見出だせれば、当然ですが、事業の成長にも繋がってきます。
成長のモノサシはあるか?
先にご紹介したように、既存のメンバーのパフォーマンスを最大化するためには、成長に向けた「モノサシ」が明確であることが重要となります。
これは、「報酬や待遇」のモノサシ(=評価制度)だけでなく、「行動や風土」のモノサシ(=行動指針や社内ルールなど)も併せて明確化していくことが必要です。
これが明確でない場合、つまり、基準となるモノサシが曖昧な場合は、入社前にこれを求職者へ伝えることもできないし、入社後も成長を見出だせない組織となってしまいます。
そして、これが先にご紹介した「ホンネの退職理由」に繋がることは自明の理です。そのため、事業成長をしていくために、会社組織の「成長モノサシ」が明確化されているか、言語化されているかを、ぜひ今一度確認していただければと思います。
そして、もう一つ重要なことは、成長が必要なのはメンバー(個人)だけではありません。
「組織」も同じように(むしろメンバーの成長以上に)成長していかなければ、メンバーが組織へ所属する価値を感じなくなっていきます。
そのためには、組織のモノサシ(いろいろな制度や基準、ルールなど)や設備・環境に対しても、定期的なサーベイやアンケートを通じて一定の評価をして改善していく必要があります。
「売上や収益が伸びていればそれでいいのではないか?」と思われる方もいるかもしれませんが、これは、メンバーに対して「売上だけを上げてくれるといいから」と言っていることと同義です。
もちろん、これ以外は求めないというような組織があっても良いと思いますが、メンバーに対して、業績面(売上や収益)以外の行動面(行動指針やVALUE)も求めているのであれば、会社組織も、売上や収益だけでなく、組織環境やモノサシの改善を図っていくべきではないかと弊社エックスラボでは考えています。
まとめ
今回は少し長くなりましたが、採用難な状況での事業成長をどう実現するか、そのために必要となる「成長モノサシ」は明確化されているのか、そしてこれは、個人に対する成長だけでなく、組織も成長するための仕組みになっているのか、という部分について考えてみました。
あまり難しく考えすぎないで、「モノサシ」の明確化・言語化に着手いただければと思います!