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ランニングと人生
何事も長続きせず、無趣味な私が唯一続けていることがある。ランニングだ。
といってもたったの5㎞なのでランニングしてますと言えるほどの距離でもなく、ランニングサークルに入るほどの熱意もない。
45歳を過ぎた夫が何を思い立ったのかここ最近急に走り始めた。トラックを10㎞。走る度に新記録を更新することに味をしめ、ランニング熱は上がる一方だ。
ミッドライフクライシスと笑っていたが、負けず嫌いの私がむっくりと顔を出した。トラックで10㎞なら余裕だろと1月から走り始めた。
しかし、これがなんともきつい。。。加齢による肉体の衰えを感じ、頭の中には「きつい、きつい」が回り続けるのだ。
先を見ると、まだゴールは遠いと更なる疲労に襲われる。過去を振り返ると、まだこれだけしか走っていないと絶望の淵に沈められる。
それでも走り続けていると、スッと何かが抜ける瞬間が訪れる。
今に集中したその瞬間。
いつの間にか息が整い、永遠に走れるのではないかという錯覚をいだくほど安息の時間が訪れるのだ。
ところが、周りを見渡す余裕が出てきたその時、部活中の中学生たちがすごい勢いで走り去り、おじさんが平然と横を追い越していくのが目に入ってくる。
負けてはならぬとスピードを上げたその時から、再び苦しみは始まる。
このマインドゲームを繰り返しているうちにいつの間にか10㎞に達し、苦しさは充足感に変わる。
未来や過去を見た瞬間、苦しさが生まれる。今に集中していると、いつの間にかそこにたどり着いていることに気づく。その道には、追い越していく人がいるかもしれないが、決して焦る必要はない。それぞれスピードは異なるし、そもそも道が違うのだ。
この50分に人生の縮図を見た。だから私は走ることを止められない。
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