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マーケティングも二刀流!?

こんにちは。エネルギー・文化研究所(CEL)の鈴木隆です。今回は、マーケティングへの取り組み方についての話です。

二刀流といえば、最初に名前があがるのは、大谷翔平選手でしょうか。ピッチャーとバッター両方で活躍、いまや大リーグを代表する選手ですね。とはいえ、そもそも二刀流を生み出したのは、宮本武蔵です。利き手に大太刀、反対の手に小太刀を持つ二天一流(二刀一流)の開祖です。生涯で60回以上戦って負けなし、最強の剣豪と呼ばれるゆえんです。

マーケティングも、大谷選手や武蔵のように二刀流で取り組めば、これまでにない成果をあげることができます。


1.マーケティング・マネジメント

旧来のマーケティングでは、多くの教科書のタイトルにも使われている「マーケティング・マネジメント」(管理マーケティング)の一本鎗でした。R→STP→4P→I→Cとされる枠組みです。すなわち、市場を調査(Research)し、市場を細分化(Segmentation)して重点化(Targeting)、競合とも差別化(Positioning)し、4つの打ち手である商品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、販促(Promotion)について整合性のある計画を立てれば、あとは粛々と実行(Implementation)させ、きちんと統制(Control)すればうまくいく、というものです。既存の商品など予測しやすい単純な場合には有効です。

2.マーケティング・プラクティス

新規の商品など予測の難しい複雑な場合には、もうひとつのマーケティングである「マーケティング・プラクティス」(実践マーケティング)の出番です。無機質な市場に対処するのではなく、生身の人間に対し適切な手を打たなくてはなりません。わたしたちは、コンピュータのように完全に合理的ではありません。あらゆる情報を考慮し、すべてを見通すこともできません。現場で顧客の反応を確かめながら試行錯誤を繰り返し、有効な計画を創り出していくことが必要なのです。
生身の人間の捉え方については、以前のコラム「マーケティングはこころ!?」で取り上げました。

「マーケティング・プラクティス」(実践マーケティング)の詳しい内容は、以下の拙著を参照ください。

3.両者の関係と使い分け

「マーケティング・マネジメント」(管理マーケティング)と「マーケティング・プラクティス」(実践マーケティング)は互いに補完する関係にあります。どちらか一方だけではなく、状況に応じて使い分けます。
こうした関係は、物理学では古典力学と量子力学・相対性理論、仏教では顕教と密教の関係と同じです。ヒューマンスケールでは古典力学は今なお近似的に使われていますが、原子レベルでは量子力学、宇宙レベルでは相対性理論のほうが正しいことが証明されています。顕教は衆生向けにやさしく言葉で説かれますが、密教は奥義を身に着けるには修行しなければならないとします。
「マーケティング・マネジメント」(管理マーケティング)が古典力学や顕教に、「マーケティング・プラクティス」(実践マーケティング)が量子力学・相対性理論や密教にあてはまります。前者で単純に捉えきれない複雑な事象に対処する際は、後者の出番となります。

ぜひマーケティングも二刀流の「デュアル・マーケティング」で、成果をあげてください。

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