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『サムライチャンプルー』のHIPHOPと和の文化

「HIPHOP」「和の文化」、そして「アニメーション」が見事にかみ合った作品が『サムライチャンプルー』である。

 最近では『鬼滅の刃』が大ヒットしている。日本人、さらには海外に人気のある作品というのは共通点があるように思える。
 それは、「刀」と「和の文化」である。例えば『ワンピース』ではゾロ、『ナルト』ではサスケが、『BLEACH』などはまさにこの二点に当てはまる。いつだって刀と和の文化は心惹かれる部分があるのだ。

 話を戻すと、『サムライチャンプルー』は、2004年の作品。マングローブ原作・制作による日本のオリジナルテレビアニメ作品。監督は渡辺信一郎監督である。

 渡辺信一郎監督の代表作としては海外人気の強い『カウボーイビバップ』、MAPPA初作品の『坂道のアポロン』や『残響のテロル』、最近では『キャロル&チューズデイ』が挙げられる。
 『キャロル&チューズデイ』はネットフリックスオリジナルアニメであり、フジテレビが今、力を注いでいる「+ultra」と呼ばれる深夜アニメ枠の作品である。ネットフリックスオリジナルであるゆえに海外にフォーカスした作品にもなっている。

 渡辺監督に共通する良さというのが『音楽センス』であろう。
 『キャロル&チューズデイ』では、OPやED、劇中歌はすべてオーディションで勝ち上がった海外シンガーソングライターが担当しており、楽曲提供も今人気を博している Nulbarich(第一期OP「Kiss me」)やその他海外アーティストが提供している。 邦楽、洋楽、ポップス、アシッドジャズ、ヒップホップなど多ジャンルを詰め込んだ「音楽を楽しむ」アニメになっている。
 また演奏シーンは、スタジオで歌手や演奏家・ダンサーのパフォーマンスをマルチカメラで撮影し、それをガイドにして、アニメーターが手描きで作画している。

  

そんな「音楽×アニメーション」の筆頭である渡辺信一郎監督の中でもおすすめしたいのが『サムライチャンプルー』

 ストーリーはwikipedeaを参照してほしい。今回書きたいのはこの作品のセンスと世界観である。

まずは何といっても「音楽センス」
 OPとEDは海外で最も人気のあった日本人DJ、ヒップホップのトラックメイカーであるnujabesが務めている。シンガーはnujabesの代表作「luv (sic)」シリーズでおなじみのshing02と、R&Bやレゲエジャンルで有名なMINMIが務めている。劇中歌もnujabesや海外で有名なトラックメーカーが提供している。わびさびを思い浮かべるメロウなHIPHOPが見事に作品にかみ合っているのだ。

『サムライチャンプルー』の音楽センスと演出は海外でかなり高い評価を受けており、ここ数年、人気ジャンルである「Lo-Fi HIPHOP」はこの作品の影響を受けている。youtubeでのアニメーションとビートをミックスさせた演出のルーツはこの作品だといわれている。
 そしてOPの演出を務めたのが『時をかける少女』や『サマーウォーズ』でおなじみの細田守監督なのである。


そして時代背景が江戸をベースにしている中で、所々に現れる現代カルチャー要素の面白さである。

 登場人物は現代風な顔立ちやスタイルでありながら和のテイストを守っている。そして各話に登場する個性豊かなキャラクターである。江戸時代なのに大食い選手権が行われたり、ラップを披露する武士が登場する。だが『銀魂』のようなぶち壊れた世界感ではないのだ。まるで江戸時代でもそのようなカルチャーがあったように錯覚させるような見せ方が素晴らしい。
  演出にも独特なセンスが現れていて、クラッチのような動画のトランジションや、刀で戦いあうシーンの作画は本当に2004年に制作されたのかと思うくらいなめらかである。

是非ともOP「battlecry」とED「四季の歌」だけでも観てください。かっこいい‥

『サムライチャンプルー』のレビューでした。

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