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なまはげとランボー

ウチには子供がいませんが、幸いなことに「子供を育てたこともないクセに、ネット教育とか語ってんじゃねえ」というおバカさんには、過去一度もお会いしたことがありません。春の夜明けのように穏やかな私の人柄と、人徳によるものでしょう、有り難いことです。

実は「子育て経験もないのに、なんだか申し訳ないなあ」と思いながら講演していた時期もあったんですが、全国の中高生からの相談を聞いていると「もし親の立場だったら冷静に回答できないな…」という内容も多く、やがて気にならなくなりました。

例えば「バカ男子の彼氏が、ワタシの裸の画像を拡散させてしまった」という女子からの相談。こういうのは皆さんの想像以上に頻繁に起きていて、裁判になるケースも珍しくないんですが、もし私がその女子の父親だったら、すぐに斧を握って飛び出して、なまはげみたいに怒り狂うと思うんですよね。

ですが、お面かぶって暴れたところで、拡散した画像は絶対に回収できませんから(詳しくはこちらで)、やるべきことは、起きてしまった事態を冷静に客観的に分析して、それに向き合って生きていくことなんですね。

本人に主たる責任はなく(厳密には児童ポルノ製造に該当する可能性がありますが)、毎日「数件」では済まないレベルで、全国各地で、今日も明日も起きている話です。いつまでもヒソヒソと噂されるような地域なら、そんな土地はさっさと捨てて、新しい世界に飛び出した方が良いし、そもそもマスコミに追われる著名人でもなければ、ネット炎上ですらないんですから、何年も影響が残るような話ではありません。

重要なのは、本人が「ああ、あれは合成、ねつ造だよ。バカ男子にやられたの。忘れてね」と開き直れるようサポートすること。何も言わずに「そうだね」と頷いてくれる人たちを大切にすること。なんですが……私が親の立場だったら、まあ無理なんですよ。ランボーになってM16撃ちながら相手の家に飛び込んじゃう。

幸い今の私は「なまはげ」にも「ランボー」にもならずに相談を聞き、アドバイスできる立場にあり、それはそれで有り難いことだし、それはきっと、何か意味のあることなんだろうな、と思えるようになりました。

どうして急にこんな話を書いたのかと言えば、この投稿は、子供とネットを考える Advent Calendar 2020 - Adventar の19日目の投稿だからですね!

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