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電動キックボードやブロックチェーンコンソーシアムにみるモビリティの未来

2019年、SXSWで、街中で見るBirdというキックボードが非常に楽しくて、かなり遠くまで、このキックボードに乗って、出かけていったことを覚えています。SXSWはオースティンは、町中で様々なカンファレンスが行われていて、Uberを呼ぶほどではないけど、歩いていくには少し遠いなというくらいの距離感にキックボードは非常に便利でしたが、電動キックボードが、いよいよ渋谷でも乗ることができるようになりました。

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電動マイクロモビリティのLUUPが都内の一部でサービスを開始、さらに、電動キックボードの公道上の取り扱いについての特例措置によって、都内など一部の地域でヘルメット着用なしでの電動キックボードの公道走行が認められるようになりました。この辺り、岩盤規制とも言われていた道路交通法が緩和されたことは、ゼロエミッション化が注目される中でのモビリティの位置付けが、非常に重要なテーマになっていることを改めて感じさせられます。

人の移動を変えるMaaSの取り組み

MaaSという言葉の起源はフィンランドで、同国にあるMaaS Global社のサンポ・ヒータネンCEOが提唱しているもので、Mobility as a Serviceの頭文字を取ったものです。MaaS先進国であるフィンランドでは、首都ヘルシンキにおいて世界初のMaaSプラットフォーム「Whim(ウィム)」を提供しており、サブスクリプションモデルによって、ヘルシンキ内の鉄道やバス、タクシーやレンタカー、シェアサイクルといったサービスが利用し放題になります。このように、MaaSとは、様々な種類の公共交通機関を、ITを用いてシームレスに結びつけ、人々が効率よく、かつ便利に使えるようにするシステムのことで、大都市の交通渋滞や、温室効果ガス、駐車場不足、過疎化する街での交通の問題などを解決する次世代交通システムとして、いま世界中で注目を浴びています。日本でも、トヨタ自動車のe-Paletteや小田急電鉄のEMotなど、新たなサービスが発表されています。これまで個別で管理されていたデータを横並びに利用して利便性を図ると同時に、データの二次利用などへの用途は、まさにブロックチェーンのコンセプトと一致する概念と言えます。

身近になるモビリティのプログラミング

さて、MaaSでは自動運転も一つの分野となっています。過疎化した土地で、ドライバーのコストを下げることで、路線バスの維持や買い物などの日常生活に役立てることができるからです。このような自動運転は、もはや自動車関連企業だけのものではありません。誰もが、モビリティをプログラミングすることができる時代になりました。天才プログラマーと言われる、ジョージ・ホッツ氏が、1カ月で市販車を改造し、自動運転車を作った事例や、アメリカのネブラスカ大学のブレイバン・ヨルゲンソン氏が、ホンダのシビックを改造し、1月下旬に一般道路上でブレーキやアクセル、ステアリングを制御する自動走行に成功した事例があります。


スタートアップ企業comma.aiがオープンソースで公開しているの「自動運転キット」が有名ですが、誰でも、ハードウェアの設計図やソフトウェアを利用することが可能となります。

openpilotと、neoというアプリケーションも提供しており、このようなオープンソースを利用することで、誰もがモビリティをプログラミングすることができるようになります。もちろん、安全面などを考慮した場合、ラジコンカーと全く同じというわけにはいきませんが、まずは誰もが触れるという状態に持っていくことが重要なポイントです。

Openpilot self-driving tech:https://github.com/commaai/openpilot
NEO robotics platform:https://github.com/commaai/neo


難しいMaasの持続可能性を解決するためのCo-Creationとブロックチェーン


良いことづくめのように思いますが、世界や日本でこのようなMassの実証実験は行われては都度、無くなっており、その持続可能性が度々問題となっています。法整備などのハードルが高いことは当然のことですが、マネタイズが非常に難しいという側面があります。例えば、自動運転や自動配送などは地方の交通機関で求められる一方、地方では都市部と比べると利用者が少なく、その維持コストを考えると持続的にサービスを提供することが難しいという矛盾があります。そういう中で、Co-Creationという考えのもとにブロックチェーンの利活用が非常に重要となってきます。以前、キッチンOSという記事の中で、レシピ情報とつながる家電製品の話題を書きましたが、各企業が得意とする専門技術を持ち寄り、共創でモビリティ業界のDXを実現することによって、様々な技術や資本が集約され、イノベーションを起こすことが可能となってきます。

巨大コンソーシアム「MOBI」

MOBIは、自動車メーカー、非営利団体、政府機関、テクノロジー企業などっで構成されている、モビリティ分野でブロックチェーン・DLTの標準化と採用を促進するイニシアチブです。BMWやフォード、GM、ルノーといった大手自動車メーカーや、日本からもホンダやデンソーなどが参画しており、世界の自動車生産量の70%以上を占めている巨大コンソーシアムと言われています。MOBIの活動は様々ですが、中でもMOBIの最初の標準規格であるVID Standardは非常に注目を集めています。VIDは自動車を判別するためIDとしてブロックチェーン・DLT上に存在し続け、所有者や保証、走行距離や製造証明書などの重要な情報を管理することで、一貫した車の購買やメンテナンスなどのサービスなどと紐づけられることが期待されています。

また、VIDの規格には、V2Xのペイメントトランザクションが備わっており高速道路の支払いや、保険料の支払いなどに加えて、カーボンフットプリント管理(環境負荷に応じた課金など)など将来的には様々なマネタイズとの連携も期待されています。

(引用)https://dlt.mobi/wp-content/uploads/2019/09/MOBI-Vehicle-Identity-Standard-v1.0-Preview.pdf

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Conclusion

早速、LUUP乗ってみました。SXSWでUber、Bird、Limeなどの電動キックボードを利用した時には、街中のかなり広い範囲で乗車、停車できたため、自由度を感じましたが、LUUPは現時点では、乗り始める時に、目的地をあらかじめ指定する必要があることや、目的地に選べる箇所が少ない、さらに停車が民家の玄関などに指定されているケースもあるため、目的地を探すことが非常に大変など、街ブラには向いていないかなと思いましたが、駅から病院、学校、スーパーなど、大きな目的があって、その間の交通を繋ぐというケースでは非常に使い勝手が良いのではないかと思いました。

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