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島薗家住宅(紀行編)――アベンジャーズを見る前に

アベンジャーズ展

2022年4月16日から六本木の森アーツセンターギャラリーでアベンジャーズ展が開催されている。アベンジャーズとは言うまでもなく、マーベル・スタジオが製作する映画のスーパーヒーローたち(アイアンマン、ハルク、キャプテンアメリカなど)が集結したチームのことであり、マーベル映画をこよなく愛する私たちにとってこの展覧会は、必ず行かなければならないものなのであった。しかも、その時はちょうど最新作『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の公開前かつDisney+ではドラマ『ムーンナイト』の配信が真っ只中ということで、私たちはいつもにもまして熱が入っているタイミングでもあった。ここでひとつ、こんな私であるが実はちゃんと最新作まで追いついたのはつい最近のことで、恥ずかしながら一時期マーベル作品から遠ざかっていた時期がある。それはさかのぼること2018年、宇宙に散らばる6つのインフィニティ・ストーンを求め、ついに最強ヴィラン、サノスが動き始めていた頃である。ご存知の通りサノスの目的は、インフィニティ・ストーンをすべて集め、全宇宙に存在する生命の半数を消滅させること。この常軌を逸した目論見を阻止するため、アベンジャーズが必死に闘う映画こそが『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』であった。初期のアベンジャーズに加え、スパイダーマン、ドクター・ストレンジ、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの面々、そしてブラックパンサーといった豪華なメンバーが共闘したオールスター映画。しかし、そんなヒーローたちが負け続ける物語だった。最後にどう逆転するのかという期待は見事に裏切られ、サノスの「指パッチン」によって全宇宙の生命の半数が消滅し、物語は終わった。そしてこの映画が、私がマーベル映画から一時期遠ざかる前の最後の映画となった。「いや、続き気になるだろ!」「どこでやめてんだよ!」と周りからは強く突っ込まれた。おっしゃる通りである。私自身もこの結末に納得できたはずはなく、当然次の映画も見るつもりでいた。しかし、なぜか劇場に行くタイミングを逃した。そしてその後もことごとくタイミングを逃し続けた。気づけば完結編の『アベンジャーズ/エンドゲーム』の上映期間は終了しており、フェイズ4に突入し、Disney+でのドラマ配信が本格化、次々と新しいヒーローたちが誕生していた。今振り返ると、マーベル映画自体がどんどん面白くなりファンを熱狂させていたからこそ余計に、自分が追い付けてない気後れ感が増し、自然とマーベルと距離を置くようになっていたと考えられる。事実、ある時久々に『インフィニティ・ウォー』を見直してみたところ、再びまんまとハマってしまい、結果的に最新作まで一気に追いつくといった始末なのであった。さらに一度距離を置いたことで、また新鮮な気持ちで、マーベルを見ることができたので、マーベル作品はやっぱりおもしろいと再確認することもできた。マーベル作品のことがより好きになった。だから私は今後も、仮に再び一時離脱するようなことがあっても、最終的には全作品を網羅したいと強く心に決めている。これは余談だが、お笑い芸人の博多大吉も自身が濃厚接触者となった時、3、4日で30作品近いアベンジャーズシリーズを一気に見たとラジオで語っている。これは、その気にさえなればマーベル作品はいつでも誰でも追いつけるということの証明であろう。まだまだ続々と公開が予定されているマーベル作品。今後の展開がますます楽しみである。肝心のアベンジャーズ展はというと、懐かしいキャラがたくさん展示されていてとてもおもしろかった。

ハルク
ハルクバスター

島薗家住宅

さて、アベンジャーズの話は一旦置いておき、次に島薗家住宅の話をしたい。というのもこの日、15時からのアベンジャーズ展の前に私たちが訪れた場所こそが島薗家住宅だったのだ。私たちは庭園仲間で休みが合う日はなるべくどこかしらの庭園に行くよう努めているのだが、今回もせっかく夕方に会うのであれば、その前についでにどこか行ってしまおうかという話になったわけである。そこで選ばれたのが島薗家住宅だった。理由はただひとつ、その日が現在の姿である和洋並置式住宅としての最後の公開日であり、この機会を逃すと住宅のうち和館、そして肝心の庭園が解体され一生見られなくなってしまうからであった。島薗家住宅は簡単に説明すると、島薗順雄という人物の結婚を機に建てられた千駄木にある住宅である。順雄の父、順次郎は脚気とビタミン不足との関係を発見したことで知られる医者で、順雄自身も医者として戦前に活躍した。要はこの場所は島薗順雄が新婚生活、そして子供たちとの大切な時間を過ごした家なのであり、中にある展示物からもたしかにここで過ごした家族の歴史を垣間見ることができた。建物自体も立派で見応えがあり、洋館と和館、そして庭園がある。時代が戦前とはいえ、現代と変わらない家族の姿がそこにあったわけで、すべての部屋、庭が様々な思い出が生まれた場所なのだろうなと想像した。私たちは微笑ましいような切ないような、得も言われぬ感情になった。そのような感情になるのはやはり、ここが取り壊され、今日を最後に見られなくなるからだと思われた。これまでに数々の庭園を鑑賞してきた私たちであるが、もう二度と見られなくなるとわかった庭園に触れるのは初めてであった。勝手に、現在残っている庭園は、どれもこの先も存続するものだと思い込んでいた。しかし、現実的にはそうはいかないこともある。諸行無常とはいえ、やっぱり寂しさを抑えられない私たちであった。私たちはその最後の庭園と島薗家住宅をしっかりと目に焼き付けてきた。洋館については今後も存続するとのことである。工事が終わったらもう一度この場所を訪れてみたいと思う。

屋内①
屋内②
外観

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