漁火ペンギン

 次々に灯り始めるそして猛火へ魅かれる命はひとつのこらず

海の中喘ぎつつ進む、親火に君が微笑むのをみた

漁火をかざして魂を呼ぶ企鵝になって還ってくるはず

杞憂を気泡に返してどれだけ経つのだろう真珠なるなんて

太陽を望む人魚であるならばどんな願いも叶うしかない

水中でかなしみを抱くのはむずかしいかなしみは液体だから

不知火に紛れて燃えている 空にだけ ほらあれが月だよ

大切にしたとて沈む街があるのだから皮膚と水と間を

企鵝が騒めいている大群を連れてくる忌火のうねりに

波に不知火が先立つ、立ち上がり見紛うて空、企鵝が飛ぶ


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