外へ


みなしごの桑をはむ音が重なってはじめて繭は地球を覆う

死ぬことの痛みを知らないひとを死なす時間が恋しい角部屋

言の葉の端くれに切れる指先と、窓辺にひかる資源ゴミだろう

どこまでなら大事にできただろうか、踏み抜けなかった雪道の轍

コンビニに行った帰りに襲われて消えてたはずで家はここです

タクシーを待つ間だけ待っている待っていたんだ救いの道を

夕立に似た表情の車内からその先の街を心中させる

心臓が窮屈だから心とか痛みなんか存在すること

親愛を燃やした土地に芽吹くろう種は喉から痛みを連れて

先走る瞳孔だけが見つめてたこの店を出たあと出てすぐの消失

祭壇は薄荷のにおいで手招きし僕は白くなっていった

葉物はすべてくたくたに煮る ままならずにしか居れないならば


訂正:10首目「出たあと」はいらないです

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