火と血

背の低い藤棚を掻き分けて行く人殺しの汗纏わりつく

躊躇い傷の副作用なのか真剣なとき月がふたつ見える

思い出に塗り潰されて散々で散々で咳込んでばかりで

長く生き火で遊べるようになった燃やされる前の演習

入園料を払いわすれて入る病棟 僕の影は白いメスに揺れて

コンコースの人それぞれ割れ損ねた水風船たまたまだろう

燃やし尽くさないことを弔いと呼ぶ畦道に髪の燃えるにおい

自罰としてのマクドナルド夢見てるみたい夢見てたいおねがい

可食部の少なさ故に褒められて浮き出たあばらバチュンいかれて

「血管が逃げてく」と笑われた不思議だったやけに黒い血がでる

いつまでも水底にある町があり引き揚げられない図書室の僕

幸福のため植えられた街路樹に殺意を捨てた幸福のため

また今度、今日は悲鳴が多くて君の声が聴きとれないごめん

ホットケーキってナイフで切るのに許され過ぎていて怖い

重すぎる荷物抱えて玄関でバグと気づく命の水っぽさ

生、充分な休養そして水分馬鹿らしい引き摺るものだ


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