57.リモートワーク
最近の若い方は、リモートワークが出来るということで、IT業界を志望する方が多いと聞きましたので、そのことについて書きたいと思います。
IT業界にも様々ある
長年エンジニアをしてきましたが、私が20代の頃はそもそもIT業界という呼び名すらありませんでした。
それが、いつの間にかそのように呼ばれることになり、自身の仕事がIT業界の仕事として認知されるようになりました。
しかし、当時のIT業界が指すところはWeb系のシステムが主だったと感じます。HPの作成や、ブラウザを使ったソフトウェア開発を指していました。
現在では多岐の業種に分かれますが、主だった所としては以下だと思います。
Web系システム(HP作成やWebサーバー上で動作するソフト開発)
社内基幹システム(経理、管理システム等)
オンラインシステム(銀行、決済システム等)
AI関連(言語、画像、制御等)
インフラ関連(サーバー、ストレージ、ネットワーク機器等)
デバイス開発(スマートフォン、IoT機器等)
サービス(SaaS、PaaS、IaaS等)
自動化システム(企業の工場等)
コンサルティング(IT特化型)
これらの中で、物理的にハードウェアやデバイスを扱う場合、その場所でないと出来ない場合があるので、それにかかわる業務だとリモートのみは難しくなります。
やろうとおもえばできるけど
確かに、全てをリモートで業務をされている方もおられるので、内容によっては出来る業種もあります。また、様々なデバイスが発達していますので、それらを駆使すれば、出来ることも多いです。
ただ、忘れてはいけないことは
「仕事は人と人とのつながりによって行われる」
これが重要です。例えば、営業をする場合にリモートばかりの営業と実際に足を運んで行う営業では、相手に対しての請求力に差が出ると感じます。
少なくとも、私の場合はリモートだけの営業で実際に契約するか、と言われるとまずしません。
もちろん、リモートだと効率化出来ますので、数うち当たる方法もあるのですが、そうしたやり方というのは、企業価値を下げるリスクを伴います。
IT業界は営業とは異なると考える方もおられると思いますが、最終的には人との関りによって、仕事が生まれ、行われることになります。
問題が発生しやすい
どのような仕事でも必ずリモートが難しい業務が存在します。リモートだけの業務で完結する人と、それが出来ない人が同じ職場にいる場合、問題が発生する場合があります。
まず、双方の待遇を一緒にすることが難しくなります。また、リモートが出来ない業務に携わる方は、リモートが可能な業務の方に対して、ネガティブな印象を抱く恐れがあります。
このような状況では、企業活動として重要な一体感を作り出すことは難しいと感じます。
教育面では
人が人を理解する場合に、直接会話するのがベストだと思っておられる方は多いと思います。しかし、今までの指導経験から感じることは
「対面だと相手に合わせてしまうために、本来の姿が見えない」
もちろん、何を考えていたかは、会話の中で理解できると思いますが、その人本来の姿は、対面では理解できない部分が多くあります。
では、どうするのか
「人を知るには、普段の行動を注意深く観察すること」
これは、普段の行動がその人本来の姿であるためです。
例えば、指導する側の目線に立つと、代表的な点では以下があります。
質問をどのようなタイミングでしてくるのか
集中して仕事に取り組めているのか
悩んでいないだろうか
声掛けやサポートが必要だろうか
周囲への気遣いは出来ているだろうか
この、「観察」をリモートで行うことは難しいです。
もちろん、カメラを設置して部屋の様子が見える状況にすることも出来ますが、それはそれで、監視されているようで受け入れられない方が多いと思います。
リモートに適した人
ネガティブなことを多く書きましたが、それに適した人も存在します。
「専門的な知識と経験を高いレベルで持った人」
このような人の場合、その専門性に価値があることから、その知識を生かして特化した業務を行うことが出来ます。
しかし、そのレベルに到達するには一般的なレベルでは難しく、多くの知識と経験、そして信頼が求められます。そのようなことから
「リモートが出来るからIT企業に」
というのは、若い方の就職先を選ぶ基準としては違和感を感じます。
若い方こそ実際に経験ある方の近くで学びながら業務を行うことで、より自身の成長につながるのではと感じます。
私の感触では以下ですね。
経験の浅い方 → 対面推奨
実務を十分にこなす能力のある方 → リモートでもOK
責任ある立場の方 → 対面推奨
自身がやってみて
私も自宅からリモートで業務を行うことはあります。平日であれば、帰宅後にVPNで接続してメール処理を行う場合や、社内のサーバーでシミュレーション環境を動作させて監視することも多いです。
週末はしばらくの間、リモートで行っていたのですが最近は出社するようになりました。
プログラムを作る事だけを考えると自宅でも出来るのですが、出社した方が身が引き締まる感じがします。
人にもよると思いますが、私の場合は会社が最も集中して作業が出来ると感じましたので、現在では可能な限り出社するようにしています。
通勤時間が無駄と考える方もおられると思いますが、私の場合は通勤時間にひらめいたりすることが多く、自宅で籠って考えていると「思考のループ」に陥ってしまうことがあります。
そのような事から、気分転換も兼ねて出社したほうが結果的に良いパフォーマンスが出せると感じます。
まとめ
最近ビッグテック等は、出社を義務付ける方向に動いています。これは、人とのつながりや一体感をリモートでは構築が難しいことに気づき始めたからではないでしょうか。
何よりも
「同じ目的を持った人たちが、同じ空間で作業する事」
これが、リモートでは薄くなるのだと感じます。職場というのは一つのチームと考えられますので、そうした中で一体感やコミュニケーションが生まれるのではないでしょうか。
是非若い方こそ、リモートではなく実際に人との関りの中で、学んでほしいと願っております。
お気持ち感謝に尽きません🙇♂️