見出し画像

書籍【この国の同調圧力】読了

https://booklog.jp/users/ogawakoichi/archives/1/B0C73NK1VY

◎タイトル:この国の同調圧力
◎著者:山崎雅弘
◎出版社:SB新書


色々と思い返すと、自分自身「同調圧力」に屈せず抗ってきたような気がするが、実際どうだったのだろうか?
今となっては検証のしようがないが、この「見えない力」は本当にやっかいだと思う。
そもそも「同調圧力って何?」と思ってしまう。
集団としての無言の圧力が、個人に伸し掛かるわけであるが、我々はその状況を「忖度」して、立ち振る舞う。
この行動こそ、今の日本の低迷を象徴しているようにすら感じるのだ。
「同調圧力」とは、つまり支配者が支配される側を都合よく従わせ、支配者側の権力を保ち続けるための方策と言える。
確かに第2次大戦時の日本では、究極の同調圧力状態にあったと思う。
戦時下という極限の状態だったがゆえに、その「同調圧力」が日常の状態になっていた。
全体の統制を取るために、ここまで個人を犠牲にできるというのは、本当に恐ろしいことだ。
圧力に抗う気持ちすらも奪い、支配を強めていく。
現在近隣の某国も、独裁者による国家支配をしているが、きっとものすごい同調圧力の重圧なのだろうと思う。
どうやれば、それから解放されるか。
結局、同調圧力を解決する唯一の方法はない。
圧力をかけてくるのは、あくまで権力を保持する者だ。
圧力をかけられる側は、結局従うしかない。従わなければ生きていけないのだ。
それでは、何も考えずに従順に従えばよいのだろうか?
狭くて閉じられた世界の中で、我々は逃げることもできず、言うことを聞けばよいのか。
結局人間は社会的な生き物であるから、その世界から逃げて、人との接点を避けることは難しいのだろう。
さらに、権力に対して正面から衝突することは、社会的な死を想像できるからこそ、そんなことをやらずに、黙って言うことを聞く訳である。
もし、勝てる算段があれば、抵抗することもあるだろう。正面衝突も恐れないかもしれない。
しかし、現実的にそれは相当に難しい。
本書ではもっと賢く、従っているように見せて、実は裏側で上手にかわすということを推奨しているが、そんな簡単にいくだろうか。
要領良く振る舞えということかと思うが、それが出来れば苦労はしない。
さらに、いくらかわし方を学んでも、実際どんな場面でも通用するかと言えば、ケースバイケースだろうと思う。
同調圧力には、盲目的に従うのではなく、一旦立ち止まってきちんと考えるということか。
批判的思考で物事を多面的に見ることは確かに大事。
従わないで、上手に逃げられればそれでいい。
「あいつはそういう奴だから」と言われて許されるキャラもいるが、このポジションを獲得するのも相当なスキルが必要だ。
いずれにしてもこの国から同調圧力を失くすことは難しいだろう。
そういう文化であるし、その同調は、良い面としても働くことがありえる。
チームプレーが得意なのは、もしかすると同調圧力の裏返しかもしれない。
やはり結論にはなっていないが、上手にやるしかない。
それが簡単にできなくて、心を疲弊している人が多いのであるが、自分なりの居心地のよい場所を見つけていくしかないようである。
良い答えが得られずモヤモヤはしているが、なかなか解決できない課題だろうと思う。
(2024/4/7日)


この記事が参加している募集

ビジネス書が好き

仕事のコツ

with 日本経済新聞

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?