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4つのアプローチ:手ごたえのある取り組みをする①

 写真は以前食事に連れて行ってもらったお米がテーマでのお店で、2種類のお米をいただきました。美味しいお米っていくらでも食べれそうなんだなと思いました。また付け合わせのちょっとした品々が美味しくてお米に合うこと!写真には載ってないのですが、後から出てきたお魚もとても美味しかったです。


 さて、上記とは全く関係なく今回のテーマです。前回までは「共感を示す」ことについて書いてきました。今回は「手ごたえのある取り組みをする」ことについて書いていきたいと思います。

 当事者でもご家族でも支援者でも、およそ相談に来ている、あるいはこちらからアプローチしているのであれば、良くしたい、解決したい何かがあるのだと思います。だとすればその良くしたい何かについてより詳しく知ることができたり、物事が良くなっていく方向に進んだり、停滞はしているけど悪化は防げたり、話を聴いてもらうことで気持ちが楽になったり…となんらかの良い変化がないと続ける意義がないのではないかと思います。

 もちろん良い変化が起こるのに時間がかかったり、中には相談に来ただけではどうにもならないこともあるかと思うのですが、少なくとも「相談に来てよかった」と思ってもらえるようにするのが僕の心理臨床にとっては大事だと思っています。

 さて、では「相談に来てよかった」と思ってもらうためにはどうしたら良いでしょうか。僕はひとつの指標として「手ごたえを感じてもらう」ということを大切にしています。手ごたえという表現も抽象的なので、もう少し説明すると「相手からの働きかけに対し、好ましい感触、ないし結果を与えること」ということです。

 例えば、ひきこもり当事者のご家族が相談に来られた際、すぐに当事者の方が外に出ることは難しいのがほとんどです。でも、だからと言って相談に来ることが無意味ということではなく、家の中でご家族が当事者の方とどう関わったら良いのか、これ以上悪い方向に行かないためにはどうしたら良いのか、他のひきこもりのご家族はどう関わっているのか、ひきこもりから回復した人はいるのかなどなど、そういったことをお伝えすると理解が進んだり、事態が好転する足掛かりになったりします。

 発達障害の当事者の方とであれば、就労や生活の見通しを立てること、そのために必要なことは何かを一緒に考えること、社会マナーや自分の学習スタイルなどを教わることなどが手ごたえとなるかと思います。

 子育て支援の分野では親御さんに子どもの発達について説明したり、良い関わり方を伝えることが手ごたえになるし、不登校の子どもだと、どこかに通えたり、一緒に何かを楽しめたりすることが手応えになるかもしれません。

 いわゆる「心理療法」をするのも手応えのひとつになるかと思います。以前書いたよいうに「精神分析」や「認知行動療法」、「来談者中心療法」「家族療法」などいろいろな「心理療法」がありますが、それぞれ相手によって使い分けていくことが手ごたえになるかと思います。僕は大学院の指導教官から病気や問題別に「心理療法」というのは使い分けていくのが良いと教わっていて、それが良いと思っているのですが、病状などがはっきりしない人も時々いるので、そういった場合にはその人の性格や考え方にフィットするような「心理療法」を提供していくのが良いかと思っています。その場合はそれぞれの「心理療法」の考え方や取り扱っていくことなどを説明して、相手の方に選んでもらうようにしています。

 またやりながら、いろいろと修正していくことも大切だし、変な先入観を持たないことも大切です。発達障害者支援センターで勤務していた際、成人の発達障害の方と面接をする際、「いろいろとわからないことが多そうだから話を聴くばかりでなく心理教育的に教えてあげなきゃ」と思って面接を一向に相手から良い反応が得られず、何か方向性が間違っている気がしてむしろ「来談者中心療法」的に相手からの話を聴くことに徹すると「今までこんなに話を聴いてもらったことはなかったし、理解してもらえることもなかった」と涙ながらに話されたということがありました。やはり相手のニーズありきだとその時学び、今その人が何を求めているのかという点を大事にしながら、進めていけるとよいのだと思います。

 手ごたえに関して言うと、低年齢の子どもや重度の知的障害の方だと言葉でどんなことをしたいのか、なかなか自分では伝えられないということがあります。その際はご家族からどんなことが好きか聞いたり、本人の表情をみながらちょっとずつ調整したりしています。トレーニングではないので、そういった関わりにならないようするのが何より大切だと思っています。

 ここまで読んでいただくと「当り前じゃないの?」と考える人もいるかと思います。僕も基本的には当たり前のことだと思っているのですが、案外それが難しい人もいます。なぜ難しいのか。ひとつは心理臨床の勉強をしている人は、自分のよって立つ理論とか技法とかがしっかりし過ぎている時があるからです。無理やり理論に人を当てはめようとしたり、自分のやり方が良くないのに「私の言う通りできないあなたが悪い」という風になってしまったりすることがあります。なので、そうならないようにするためには相手の反応を考えることが大切だと考えています。

#臨床心理学 #心理療法 #対人支援

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