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MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)Robyn ▷無料ビデオ講義

マーケティングの意思決定に役立つ、高機能なMMM※ツール Robynが無料で提供され、アップデートされています。提供元はMETA社です。

※MMM(マーケティング・ミックス・モデリング):商品購買などへの影響を、同時に複数実施されているマーケティング施策やその他の要因を用いて(数式などの)モデルを作り説明することで、施策毎の影響を推定し、最適化試算まで落とし込む科学的アプローチ。

マーケターに、とっての価値は高級外車1台以上だと思います。

高機能 MMMツール「Robyn」

株式会社秤、代表の小川と申します。かつて広告会社で1ユーザーの年間ライセンス料が高級外車を買えるくらいの海外製MMMソフトを使っていたこともあります。2018年にMMMの分析を体系化し「Excelでできるデータドリブン・マーケティングという書籍を出版。2019年末から担当した宣伝会議の講師を機に講師業を本格して、2020年5月から2年間で個人向け700人、企業向け800人、のべ1,500人にMMMや確率モデルなどのマーケティング分析のオンライン講義を行ってきました。Robynはかつて使用していた高価なMMMソフトの機能を凌駕しており、オープンソースで機能アップデートが続けられています。無料でこんな高機能なツールがあるのを使わない手はないです。Robynを研究していたときに、マーケティング業界媒体のMarkeZine(マーケジン)編集部よりオファーを頂き、Robynを紹介しました。(※同媒体の会員向けの記事となります)

追加情報(2023年12月18日更新)

クッキー規制で目減りする効果計測の課題を解決法をnoteにしました。無料で使えるMETA社の高機能なMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)ツール「Robyn」を徹底解説する2時間強のYouTube講義を公開しました。


Robynとは?

RobynはMETA社が開発しオープンソースとして公開されている高機能なMMMツールです。MMMで享受できる恩恵は、当該ブランドや商品のマーケティング投資の最適化による売り上げやコンバージョンの最大化や、それらKPIの過去実績を維持した状態で費用を最小化する試算ができることです。

以下画像はテクニカルガイドから引用した、分析結果のひとつです。各チャネル(tv、search、print、search、facebook)が売り上げにどれだけ影響しているか効果を把握することで、費用(Spend)のシェアと効果(Effect)シェアと、ROI(効果÷費用)をプロットしたものです。

「各チャネルごとの投資と効果のシェア」 チャネルごとの適切な効果推定モデルを探索した上で計算※テクニカルガイドより引用

各チャネルごとに、投下量が増えるほど効果が減衰する非線形な影響となっていることや、一定の投下量までは指数関数的に効果が増大し、ある段階から減衰するS字カーブがあてはまる場合があります。これら、非線形な影響を考慮した各チャネルごとのレスポンスカーブの把握が必要です。

Robynでは、各チャネルにおけるレスポンスカーブがアウトプットされ、効果の減衰や投資対効果が最大になる投下量を把握することが可能です。さらにこれらの効果量から最適な予算配分プランを算出するため、迅速にメディアプランニングに反映させることが可能です。

レスポンスカーブ(投資額Xに対応する効果Y) チャネルごとの適切なパラメーターを探索した結果に対応※テクニカルガイドより引用

Robynは残存効果(AdStock)も考慮し、分析者が指定したアルゴリズムとパラメーターの範囲でチャネルごとの残存効果を自動で探索してくれます。

Adstock効果の例(3種類のアルゴリズムを選択)※テクニカルガイドより引用

残存効果(AdStock)と非線形な影響の適切なパラメーターを探索する複雑な計算を、FacebookのAIライブラリ「Nevergrad」による進化的アルゴリズムで短時間で何千回も繰り返してモデルを進化させます。MMMで用いられることが多い回帰分析は、相関が強い説明変数を複数入れると推定結果の信頼度が下がる多重共線性というエラーを考慮する必要がありますが、Robynはリッジ回帰という手法を用いてそのエラーを回避します。また過去データに極端にあてはまることで未知のデータの説明(または予測)精度を下げてしまうオーバーフィッティングを回避する処理も行います。非常に高度なモデリングを短時間で行うことができます。

高機能なツールが無料でRパッケージで公開されてアップデートされています。ご自身で触ってみたい、詳しく機能を知りたいと思って頂いた方はYouTube解説をご覧ください。

YouTube解説

オンライン講義

YouTubeで解説した内容はRobynのMMM分析の基礎です。より実践的な機能として、MMMのモデルを確かなものにするため、因果推論など、他の分析による効果の推定結果をRobynに入力することで、MMMのモデルを補正してくれるキャリブレーション機能など秀逸な機能があります。

META社のソリューションでは、因果推論の差分の差分法(Difference-in-Differences(DID))を高度にしたGeoLiftというRパッケージを提供しています。研修プラットフォームのストアカの研修では、Causal ImpactというGoogle社が提供するRパッケージを使用して演習を行います。これは、マーケティング先進企業と実践している、本格的な分析です。

マーケティング投資最適化の教科書(分析実践編)7,800円

私はMMMにおいては、時系列データは週次で少なくとも2年以上を推奨しています。META社も同様のスタンスです。

とはいえ、実務では、数か月のキャンペーン単位でMMMのモデリングを行うケースも多いので、現実を踏まえた日別のデモデータを用意しました。

META社のデモデータはアパレルを想定したと思われる5年間の週別データでした。私が用意したデモデータはアパレル店舗の売上を想定した日別データです。2020年、2021年の分析では、covid-19がいくらリアル店舗の売り上げを減らしていたのか?(covid-19がもしなかったら売上はいくらだったか?の予測値との差分を取る)を考慮したモデルを作ってきました。そうした知見を共有するリアルな演習を作成しました。

ストアカ講義で弊社が用意した演習データより 時系列での要因分解(TVCMのみ後半に実施)
Robynのキャリブレーションを行うためのTVCMの効果分析(Causal Impact)


「MMMが特別なものだった」時代は過去のもの

10年前(2012年)の施策でロッテコアラのマーチのLINEスタンプが593万人にダウンロードされ、前年対比で店舗売上が増加しました。はじめて、デジタルなコミュニケーションでリアル店舗の売上が動くことを実感しました。以下のマーケジン記事をきっかけにビジネス誌や新聞など多くのメディアで紹介されました。

コンビニが前年比16%でスーパーは43%アップです。しかし、後者は特売などの影響を含んでいたかもしれません(ロッテのご担当者のインタビューコメントより)。RobynのMMMとCausal Impactの併用で、こうしたケースで確かな売上増加数を定量化できます。当時の私にこのスキルがあれば、確かな効果数値を提示できたのに、と思ってしまいます。この施策の翌年から、私はMMMを学びました。

知人のグローバルブランドのCMOは自らRobynを使いこなし、年数10億ドル規模のビジネスの意思決定に活用し成功しています。欧米ではこうした取り組みは珍しくありません。私はかつて、高級外車を買えるくらいの使用料の高価なソフトを使っていましたが、今は、それ以上に高機能なRobynやCausal Impactなどのツールが無料で使えます。

今、MMMは特別なものではありません。どなたにでも活用できる環境があるのです。意思決定に用いる企業が急速に増えています。

MMMの活用をサポートしています。

マーケターが投資判断をするためのMMMなどの知識が浸透していないため、TV担当、デジタル担当などのセクションごとに違う効果検証法を採用し、それぞれの成果を主張するようなことが行われています。

そんな状態では、適切な意思決定はできません。弊社では、MMM、因果推論、確率モデルなど、マーケティング戦略意思決定に有用なノウハウを共有する支援を行っています。

市場を構造的に把握する、マーケティング投資の根拠を明確にするために適切な因果効果を推定する、そうしたスキルを理解し、マーケティングをサイエンスにして、成功の確率をコントロールしませんか?

弊社は、MMMとは?を本質的に理解して活用できる環境を提供しています。YouTube講義などの無料コンテンツも充実しています。以下のMMM紹介ページもご覧いただけますと幸いです。

株式会社秤 MMM紹介ページ

マーケティング意思決定に役立つ因果推論(傾向スコア)と確率モデル(NBDモデル)活用を詳しく解説したYouTube動画や、その2つを併用して、競合他社のTVCMやアプリなどの施策による売上貢献を推定するプレファレンス・アナライザー(R)のホワイトペーパーなど、分析を学ぶことができるコンテンツを充実させています。

追加情報(2023年12月18日更新)

クッキー規制で目減りする効果計測の課題を解決法をnoteにしました。「Robyn」v3.10.4を徹底解説する2時間強のYouTube講義を公開しました。

追加情報(2023年12月23日更新)

マーケティング・アナリストとして、どんな価値を提供しているのか?紹介しております。