確率モデルでカテゴリーエントリーポイント(CEPs)ごとの需要を予測する
このnoteでは消費者行動の確率モデルやリサーチによって戦略を定めるマーケティング・アナリストとして活動している筆者が、元オリエンタルランドのリサーチャーの山本氏と共著で出版した書籍「『その決定に根拠はありますか?』確率思考でビジネスの成果を確実化するエビデンス・ベースド・マーケティング」より、マーケターが市場を拡大するために意識すべきカテゴリーエントリーポイント(CEPs)に対応する需要を推定し需要予測につなげる方法を紹介する。
エビデンス・ベースド・マーケティングの書籍「ブランディングの科学」や「確率思考の戦略論」を読んでも、実際に活用する方法が分からず、自身の実務で活用できている人を見たことがなかった※。
【エビデンス・ベースド・マーケティング】を実務に活かすための解説書
自らの業務に活用まではできなくても、知識を得たことで視野が広がったり疑問が解決したり、モチベーションが上がることはある。これは多くの方のビジネス書に対する期待値だと思う。
「確率思考の戦略論」「ブランディングの科学」で紹介されたマーケティングを科学するスキルを業務で役立つ実装方法に落とし込むのは至難の業であるため、これを咀嚼し、実装に向けた適切なアシストをする書籍が必要だと感じていた。使いこなせば多くの恩恵を受けられるスキルとなるため、知識だけにしておくのは非常に勿体ない。
たとえば私がアナリストとして活動する支援先の新規事業のD2Cブランドでは、エビデンス・ベースド・マーケティングの法則をヒントにした分析(競合他社のコミュニケ―ションの効果構造を丸裸にする分析)で戦略を仮説し、月商500万円から1年で1億円まで引き上げ、月商10億円規模の成長に向けた次のフェーズで戦っている。
私は、これらの書籍で紹介された数式や法則を2021年から2024年4月まで96.6万人に調査した内容を交えて、わかりやすく咀嚼した。研究用の調査のうち、17万人分のデータで演習する動画講義を読者特典として用意し、エビデンス・ベースド・マーケティングの知見をベースに、誰もが実務で使える方法に落とし込むことに徹底的にこだわった書籍が「その決定に根拠はありますか?」である。
ここで紹介する「カテゴリーエントリーポイント(CEPs)ごとの需要を予測する方法」も、拙書を手に入れて頂くことで再現可能となる。
【鉄板の関係】市場浸透率→M
「確率思考の戦略論」では、市場を拡大するための要諦は「水平拡大」にあるという説明があり、「ブランディングの科学」では重要な法則としてダブルジョパディの法則が再三にわたって言及されている。これらは同じことを言っていて、市場を拡大するためには、お客様の数を増やすことが重要であり、カギを握る指標が市場浸透率であることが骨格になっている。「戦略ごっこ」ではさらに網羅的に関連する論文などの知見を集約している。
市場浸透率は、ある一定期間における市場の人数のうち何%がそのブランドを利用したかの割合だ。ダブルジョパディの法則は市場浸透率が低いブランドやターゲットの購買頻度などのロイヤルティも低い2重苦(ダブルジョパディ)となる、すなわち市場浸透率を増やさないとロイヤルティも上げることができないことを確認した法則だ。
私はこれを96.6万人の調査で確認した中で鉄板の関係を見出した。
それは、ある一定期間に当該ブランドを利用している人の割合「市場浸透率」が増えると一定期間の一人あたりの購買アクションの発生回数の期待値の「M」が増える関係である。
Mは「確率思考の戦略論」で紹介された指標だ。同書では、ブランドの相対的な好意度となるプレファレンスを間接的に説明する(プレファレンスは直接観測はできない)重要な指標として説明されていた。1.2億人の市場で、ある一定期間(1年間)に購買された総回数が2400万回で購買した方の平均購買回数が2回の場合、市場浸透率とMと平均購買回数は以下のようになる。
・市場浸透率=10%(1200万人÷1.2億人)
・M=0.2(2400万回÷1.2億人)
・平均回数=2回(2400万回÷1200万人)
マーケティングの現場では平均回数は把握されているが確率的な期待値としてのMは浸透していない。まずは自社ブランドの浸透率とMを年代性別ごとに把握することからお勧めしたい。
以下の図は、書籍で紹介したマクドナルドとケンタッキーの2023年3月下旬の調査時点から遡った1か月の浸透率とMの関係だ(年代性別で分類)。回帰分析の予測精度の目安となる決定係数「R2」が0.977、0.989と非常に高くなっている。書籍ではエナジードリンクとテーマパークでも同様の結果となっていることを示した。
【鉄板の関係】は市場浸透率とMの関係であり、因果の向きとしては市場浸透率が増えることでMが増えると捉えて問題ないと考えている。では市場浸透率を増やす要因として何が必要なのか?
市場浸透率を拡大するためには?
市場浸透率を拡大する両輪は以下の2つである。
● フィジカルアベイラビリティ_ブランドが見つけやすく買いやすいこと
● メンタルアベイラビリティ_購買状況化でブランドが想起されやすいこと
フィジカルアベイラビリティ
買いやすいブランドになるか否かの鍵を握るのは、マクドナルドのような外食チェーンであれば店舗数やアクセスのよさなどの行き易さとデリバリーの利便性。消費財や食品などの日常品であれば、スーパーやドラッグストア、コンビ二といった小売店舗での配架率や店頭での視認性。昨今は、アプリやECサイトなどの利便性も重要だ。アプリやECサイトの利便性など、デジタルな顧客接点でのユーザー体験を向上させることはマーケティング担当の介入余地が大きい一方、リアルな顧客接点での買いやすさの強化は一筋縄にはいかず、小売店で販売するメーカーであれば、配架率を高めるための営業力も必要となるし、店舗を運営するブランドが店舗数を増やすのは予算または時間などの制約があるため、ブランドの成長とともに地道に積み上げる必要がある。
メンタルアベイラビリティ
フィジカルアベイラビリティを高めるのはマーケティングだけでは解決できない要素が多い。
マーケティングではまず、メンタルアベイラビリティを高める戦略を検討することだ。その鍵となるものがカテゴリーエントリーポイント(CEPs)である。英語では"Category Entry Points"と複数系で記載されるため、CEPsとしている。CEPsはひとつではない、特定のカテゴリーに対して複数あるものだ。
「ブランドイメージ」はブランドをきっかけにして消費者がなにを想起するかだが、CEPsはブランドの想起につながる可能性がある“きっかけ”のことである。このきっかけとブランドをリンクさせることがメンタルアベイラビリティの向上につながる。
以下の図はトルコのソフトドリンク市場の分析結果である。
「暖かい日に」「少し健康に良いもの」「子どもが楽しみそうなもの」「自分へのご褒美として」「食事に合う」など8つのCEPsを設定したインターネット調査を行い、市場浸透率が高い「コカコーラ」とローカルブランドの「コーラ・タルカ」のうち、これらのカテゴリー商品を購入する人(以降「カテゴリーバイヤー」)がブランドとリンクさせていた8種類のCEPsの割合を比較したものだ。カテゴリーバイヤーのうち、コカコーラとCEPsをリンクさせていた数が6種類という方が15%と最大で、1 種類もリンクしていない方は14%。対して、コーラ・タルカは1 種類もリンクしていない方が67%で最大で、6種類リンクしている方は3%。このように多くのCEPsとリンクすることで想起される機会が増えることからメンタルアベイラビリティが高まり、(フィジカルアベイラビリティもある程度担保されていれば)市場浸透率も拡大する。
日本のエナジードリンクで調査分析
CEPsは消費者の頭の中にあるものだ。当然ながら、直接観測できるものではない。
したがってマーケターは、商材カテゴリーによって、どんなものがあるかを個別に考え、消費者調査によって可視化する必要がある。
CEPs候補の検討法に王道はなく、カテゴリー商品またはサービスとカテゴリーバイヤーの特性を考えて仮説するしかない。筆者は実務ではChatGPTなどの生成AIに候補を30~50位、提示してもらい発想の幅を広げながら整理し、調査対象者の回答時の負荷を考慮して10~15個ほどの項目を設定して聴取している。
ここでは「その決定に根拠はありますか?」で紹介したうち、全国の20代の男女を対象として2024年1月中旬に行った5,682人(エラー判定後)の調査分析結果を紹介する。ここで設定したエナジードリンクのCEPsは以下12種類だ。
まずは「エナジードリンク」がどんなきっかけで飲まれているか?定量化する。CEPsの浸透率とMと平均回数を算出する。ここでは分析対象期間を1年間として、まずは20代女性の分析結果を掲載する。
・CEPs浸透率 対象がそのきっかけでエナジードリンクを飲む割合
・M 1年間のM(人口を掛け算すると1年間の飲まれる回数に)
・平均回数 対応するCEPsで飲んだ人の1年間の平均飲用回数
上記の表をバブルチャートにしたものを本noteのキービジュアルにしていた。
横軸がCEPsの浸透率、縦軸が平均回数でバブルの大きさをMとしている。直線は回帰式だ。ブランドの市場浸透率→Mは【鉄板の関係】であるが、カテゴリーエントリーポイントの浸透率とMはそうなるとは限らない。むしろ、浸透率は低くても平均回数が大きいCEPsの発見がヒントになる。20代女性の場合は、浸透率が最も高い「疲れている時に(緑色のバブル)」は平均回数もMも大きいが、赤いバブルの「音楽を聴いているときに」は浸透率は小さいが、平均回数は突出しており、このCEPsとブランドをリンクさせることができればロイヤルティを高めるのびしろになるかもしれない。
次は20代男性の分析結果を掲載する。
20代男性の場合は、浸透率が最も高い「疲れている時に(緑色のバブル)」は平均回数もMも大きいが、赤いバブルの「音楽を聴いているときに」紫色のバブルの「街を「夜」出歩く時に」オレンジ色のバブルの「仕事や家事や勉強をしながら」黄色のバブルの「運転や仕事で「気合いを入れたい」時に」などは、回帰直線の上に位置して(平均回数が大きくなって)おり、このCEPsとブランドをリンクさせることができればロイヤルティを高めるのびしろになるかもしれないなどと考察する。
ブランドのCEPs浸透率が商品の市場浸透率をリンクする
以下は別の調査で若い世代(15歳~39歳)の年代性別で6カテゴリーに分けて、energy1、energy2、energy3で、CEPsの浸透率と1年以内の各年代性別の(エナジードリンクの飲用の)市場浸透率を並べたものである。
CEPsとブランドのリンク(≒CEPs浸透率)が大きくなるほど当該年代性別ごとの市場浸透率も大きくなっている。
広告によるCEPsのリフトの傾向
以下はenergy1、energy2、energy3それぞれ、TVCMとYouTubeの広告と屋外交通広告、それぞれどのCEPsをリフトしているか分析したものだ。
TVCMは「疲れているときに」のリフト率が突出している一方で、YouTubeの広告ではenergy1は「疲れているときに」をリフトしておらず、energy2とenergy3の傾向は似ている。また、3ブランドすべて、屋外交通広告は男性のほうが各CEPsのリフト率が高くなっていることなどが分かる。
実は、売上金額をいくらリフトしているか?までわかる。これは「消費者調査MMM」といって(筆者が命名し商標出願)し、特許申請をしたうえで書籍「その決定に根拠はありますか?」の3章で詳しく解説した。書籍で紹介している分析結果でブランドをマスクしているのは1年間のTVCM効果が推計30億円などの生々しい数値を記載していることから各ブランドに対しての配慮からマスクした。以下のPowerBIでは、20代男女を対象として、TVCMなどの施策が各CEPsを介していくら売上につながったかを詳細に分析できる。分析法やアルゴリズムは無料で全文が読める「TVCM→店頭→売上貢献が圧倒的なのは不都合な真実か?」noteでも解説した。
施策→要因(CEPs)→売上リフト分析ダッシュボード(PowerBI)
【補足①】(実際のプロジェクトでは)「てこ」になるCEPsを探索する
ここで紹介したエナジードリンクのうち、需要がもっとも大きいCEPsは「疲れている時に」であった。では、各ブランドが注力すべきはこのCEPsでよいのだろうか?
このCEPs自体、エナジードリンクに限らず、栄養補助食品やビタミン剤など多くの対応する製品と対応するものだ。
これはすなわち、大きな差別化にはならないが、外してはいけない価値(Point of Parity)に対応するものと考えたほうが良い。
そこで、実際のプロジェクトではCEPs同士の関係を考え、因果構造を探索する本格的な分析も時として行う。データサイエンティストや学術研究論文で定量データを扱う方にはよく知られ、活用されているSEM(構造方程式モデリング、または共分散構造分析)という分析だ。専門性が高い分析ではあるが、無料のOnyxというソフトでグラフィックインターフェースで分析することができる。下記は、2024年1月中旬調査の5,682人のデータのうち男性のみで因果構造を仮定したものだ。Onyxでは複雑な因果構造を考え、矢印の関係を追加したり削除しながら探索的な分析を行うことが可能だ。
「疲れている時に」は、エナジードリンクに限らず、多くの商品とリンクしている外せないCEPsかもしれないが、エナジードリンクの場合は医薬的な効果効能を売りできるカテゴリーではないため、特別な差別化要因としては機能しないと考える。「てこ」の役割を果たしているCEPsはなんなのか?を明らかにするため、何パターンもの因果構造を仮説し、定量化することで探求していくプロセスで、ブランドが成長するための重要なドライバーとなるCEPsや、それを後押しするために必要なコミュニケーション施策を探索している。ブランド固有の「てこ」をみつけることは容易なことではないが、ここまで分析し整理すれば、重要なものが浮かび上がってくる。
ブランドが訴求すべき最も重要な価値(What/Who/Howのうち)Whatを何にすべきなのか?この問いに対する答えを模索したいという経営者からの相談に向かい、プロジェクトに取り組んだ経験が何度かある。
有名な成功例は刀社による丸亀製麺の支援だ。それまでブランド関係者が特に強みと思っていなかった「すべての店で粉から作る」店内製麺の魅力を伝え、シズル感のある映像でうどんの魅力を伝えるTVCMを展開し、業績をV字回復した。設定したWhatを象徴するブランドのタグラインは「ここのうどんは、生きている。」だ。
この手のプロジェクトに取り組んでみれば分かるが、これを決めること、実行に移すことは一筋縄でいかない。その分、取り組むべき意義も大きい。Whatを何に設定するかによってブランドの成長は大きく左右される。Whatの探索に有効な方法としてCEPs分析を体系化しているが、今後もプロジェクトで実際に使いながら「これだけやれば大丈夫」と言い切れる鉄板の分析法にすることを目指していく。
【補足②】推定に用いた確率モデルについて
Mと平均回数は「確率思考の戦略論」で紹介された「ガンマ・ポアソン・リーセンシー・モデル」という方法で推計している。エナジードリンクを飲むきっかけに「疲れているときに」と回答した方に、そのきっかけで最後に飲んだタイミングを聞く(1か月未満/1か月~6か月/6か月~1年未満/1年~2年未満/それ以前/飲んだことがないから選択)そのデータ「リーセンシーデータ」を用いて最適化計算ツールで、NBDモデルの係数のMとKを求めることで、ある一定期間(ここでは1年間)の回数別の市場浸透率を求める。過去データを数理モデルにあてはめることで、未来の需要予測にも活用することができる。詳しい実装方法は「その決定に根拠はありますか?」及び特典の動画講義で解説した。
Excelでどの様に分析するか?研修プラットフォームのストアカで開催している個人向けの講義の体験動画(5分)も参考にしていただけると思う。2020年から2024年7月までの累計受講者数は927名で「確率思考の戦略論」の数式の実践法の講義が1番人気だったため、今はその講義だけ不定期で開催している。
唯一の例外 JunKaji氏
冒頭でエビデンス・ベースド・マーケティングを実務に活かしている人を見たことがないと申し上げていたが、唯一の例外となる方が、音楽家で有名映画ブランドのグローバルCMOを務めるJunKaji氏だ。
氏とは前述したストアカの講義に参加頂いたことから、お会いすることができた。今も私にとってのメンター的な存在で、最も尊敬するマーケターだ。
氏は音楽の専門家でありながら、CMOの役割を全うするためにNBDモデルを最初にマーケティングに活用した書籍『Repeat Buying』をバイブルとおっしゃる位に学び、試行錯誤の末に成功されている。自分の専門外であることを理由とせず、必要だからと学び実装されていることに心から敬服する。
「『その決定に根拠はありますか?』本書の刊行によせて」より引用
私は16歳で単身渡米し、音大作曲科を卒業後、米国で映画のメジャースタジオの音楽部長を経てCCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)を務めました。一度自己破産した映画ブランドのCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)として、8年間をかけて世界でもっとも稼ぐ映画ブランドに成長させました。2015~2019年まで映画の全世界興行収入が10億ドルを超えた作品は27本。世界興行歴代1 位と4位の2作品(公開時)を含む7本は私が手掛けたものです。私がマーケターとして大事にしたのは、「ターゲットを絞らずにあらゆる人たちから愛される映画作りを行うこと」、「何度も劇場に足を運ぶヘビーユーザーよりも新規顧客やライトユーザーの獲得に力を入れること」(これは本書で紹介される「エビデンスド・ベースド・マーケティング」の考え方そのものです)、「競合をも巻き込んで『映画』というカテゴリーをほかの娯楽のカテゴリーよりも魅力にすること」、そして「直感だけに頼らず数学を正しく道具として使う仕組みを作ること」です。 NBDモデルを最初にマーケティングに活用した書籍『Repeat Buying』は私のバイブルです。本書でも分析の核になっているNBDモデルには「M(一定期間内の平均購入確率)」「1-P0(一定期間内の浸透率)」「K」という3つのパラメータがあり、私はグラフの形を決めるパラメータの理想的な値「K」をシミュレーションして、その値に寄せていく手法を多用することで短期間で急成長させました。NBDモデルは、直近の需要やもっとも売上が伸びるタイミングについても教えてくれます。また、限られた予算を上手に使うためにMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)という手法を用いました。世間の「TVCMよりWeb広告の方が効果的」という意見に惑わされず、MMMで分析を進めるなかでもっとも効果が高かったTVCMに自信を持って予算を投入した経験がありますが、これらの分析を実行する方法が具体的に説明されているのは小川さんのこの本以外にないはずです。日本に帰国してから、中小企業基盤整備機構の経営支援アドバイザーとして企業支援をしたことがありますが、日本の企業ではインテリジェンスがまったく機能していないと感じました。「商品企画の売上予測は担当者の願望を書いただけ」「ある施策を行った四半期に売上が伸びたら、施策が上手くいったと判断して継続する(施策が売上アップの直接の原因かどうかを分析していない)」など驚きの連続でした。そのときに困ったのが、中小企業に勧められる数学マーケティングの教科書が1 冊もなかったことです。小川貴史さんは1人でも数学マーケティングを取り入れる方法論を確立しており、また自費で何度も調査を行うことでデータの裏付けを取っています。出版前の原稿を読ませていただきましたが、この本こそ今の日本にインテリジェンスを根付かせるために必要な教科書だと確信しています。
2024年5月
JunKaji
JunKaji氏プロフィール
ハート音楽院音楽学部作曲科 音楽理論科卒業後、カリフォルニア大学ロサンゼルス校エンターテイメント学部映画音楽作曲科を修了。ハリウッドメジャースタジオの法務部からキャリアをスタートし、作曲家、オーケストレイター、脚本家としてさまざまな作品に関わる。またマーケティングでは独自の統計モデルよる予測・分析とアーティスト思考の掛け合わせで成果を出していく手法を得意とし、某映画ブランドのブランドマネジャーとしてブランド価値を7 倍にし、それまで2 本しかなかった全世界興行収入20 億ドルを突破した映画を2 本制作した。2024 年4 月、高松から世界水準で仕事ができる作編曲家とマーケターの後進を育てるためのプロジェクト「Stories」を立ち上げる。
【告知等】※適宜更新
エビデンス・ベースド・マーケティングの実践書
筆者が実践と研究を行き来して完成させた定量分析を安価または無料のツールを用いて行う方法や、身近に消費者インタビューが行えるツールを用いた定性調査など、TVCM投下など大規模なマーケティング予算を前提としない小規模な事業社が使うことができるリサーチや分析の活用例と活用法を解説した書籍が「その決定に根拠はありますか?」です。ご興味いただける方はお手にとっていただければ幸いです。
MarkeZine記事『その決定に根拠はありますか?』データに基づいたマーケティングの第一歩を踏み出すなら【お薦めの書籍】
マーケティング効果予測構築のモデルケースPDF
確率モデルや時系列データ解析を用いて、確かな効果予測モデルを作る方法をまとめたPDFです。1クリックでダウンロード可能です(個人情報入力は必要ありません)。
X投稿(その決定に根拠はありますか?関連)※適宜更新
マーケターの方を中心に多くの方に拙書をご紹介を頂き、大変感謝しております。いくつか参照させていただきます。