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「PR」のGOALはメディア露出ですか?効果指標は広告費換算ですか?

 株式会社秤の小川と申します。このnoteでは、PRの効果の明確化する方法を紹介します。PRの活用でビジネスをスケールするヒントとなれば幸いです。

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自己紹介

 私は、広告会社で消費者にまつわるデータ分析やそれを元にしたコミュニケーション戦略立案に注力してきました。その後、デジタルマーケティング会社、PR会社(株)カーツメディアワークスでの戦略立案に伴うリサーチやコンサルティングの経験を経て、2019年12月に株式会社秤という法人を設立し、アドバイザーやエバンジェリストなど複数の役割(業務委託)で活動しています。社名は、日本を代表するマーケター森岡毅氏が代表を務める株式会社刀から着想を得たものです。「刀」社に憧れて、意思決定をするために必要な知識を「秤」として浸透させていくための会社を立ち上げた次第です。2020年の感染症以降、オンライン研修に力を入れて、企業と個人向けでのべ1,200人に有料講義をしました。研修プラットフォームのストアカで新人先生賞を頂くこともできました。オンライン講義の内容を磨きながら、企業と個人に向き合ってきました。

本noteのテーマは「PR」

 PRの本来の意味はパブリックリレーションズです。メディアだけでなく顧客または顧客企業や国の機関など、企業が事業を推進するために関わる関係者(ステークホルダー)との信頼関係を築く活動です。

 しかし、日本での実際はPRは就職時に求められる自己PRにおけるPRがごとく、企業がメディアにPRする、働きかけることで、自社の商品やサービスを紹介してもらうことが主な目的として使われています。PR=(メディアに対する)アピールに聞こえます。広告より伝わり方が良い、あわよくば広告費を浮かすことができる、そんな期待値からPR会社には、多くの相談がもちかけられます。

 それが日本のPRの実情だと思いますが、どうせならば、もう少し踏み込んでビジネスへの貢献を明確化して活用してみませんか?というメッセージが本noteの要点です。

PRの役割をビジネス目標から逆算して明確化

 一方で、私はパブリックリレーションズがもたらす価値に対してリスペクトしています。たとえば、刀社の森岡氏が低迷していたUSJを再建する過程で、最大の投資(450億円)となったハリー・ポッターエリアのオープニングには当時の安倍首相がかけつけ、日本中にそのニュースが伝わりました。

 事前の需要予測と事業計画によるハリー・ポッターエリアで達成すべき追加集客は200万人。それに必要な認知レベルは全国90%。広告を投資できる限界まで割いてもそれだけでは75%が限界ととらえ、残り15%を埋めるためにネットを使ったデジタルマーケティングとPRに焦点を定めました。当時の状況ではメディアでUSJに関心を持つ人は非常に少なかったので、ゲリラ的な奇策が行われました。それが森岡氏の以下の書籍をベストセラーにすることでした。

 書籍が出版されたのは2014年2月、ベストセラーリストに入ったのが翌3月、メディア関係者も目を通し、USJが苦境から脱した物語とハリー・ポッターの壮大なプロジェクトへの意気込みを理解したタイミングの4月18日に当時の安倍晋三内閣総理大臣とキャロライン・ケネディ駐日米国大使が大阪のUSJに足を運び、ハリー・ポッター城の前で7月15日のグランドオープン日を発表しました。報道連鎖から7月18日のオープン時には多くのメディアが駆け付け(2001年のパークオープン時の10倍以上)結果としての認知度の計測上の数字は100%となったそうです。

 このセッティングの実現に至る要因として、インバウンド振興や日本の観光産業活性化の「大儀」に本気でコミットする方の賛同を得たことによるものがあったそうです。USJのみなさんと多くのステークホルダーとの折衝と調整があってこそだと思います。これこそ、まさにPR(パブリックリレーションズ)ではないでしょうか?

 私が特に注目したのはそのプロセスです。ビジネス目標に必要なメディア露出がどれだけ必要なのかをサイエンスしたプロセスがあったからこそ、本気でUSJ各位が動き、ステークホルダーも動いたのではないかと考えます。これこそが、これからのPRに必要ではないでしょうか?

 達成すべき事業数値目標に必要なコミュニケーション施策によるKPIを明確化する、戦略を導くプロセスにおけるサイエンスが起点となっています。

ハリー・ポッターエリアのPRにまつわる数字やシナリオは「確率思考の戦略論P47~P51記載内容を要約させていただいた次第です。

 私もマーケティングリサーチに伴う多変量解析や因果推論などの知識を持ち合わせています。(そのテーマで1冊書籍も出しました)
 森岡氏の足元には遠く及ばずですが、これを行うことを具体的に企業から求められた場合、かなりの工数をかけた業務設計が必要です。その価値を出せるかは、私の腕は勿論のこと、さまざま要因に依存します。こうしたプロジェクトはコンサルティングの中でも難易度が高い部類だと思います。

PRを含めたコミュニケーション施策を行った結果をサイエンスして、次の戦略を導く

 一方で、私が20〜30時間も稼働すれば貢献できるサイエンスがあります。それが、現在の弊社(秤)のメインのスコープとなっているもので、施策それぞれに対しての効果を定量化して把握するもので専門用語でマーケティング・ミックス・モデリングと言います。以下のnoteで詳しく解説しています。

 同時に複数実施されている広告やPRの施策やその他の要因を用いて(数式などの)モデルを作って売上などを説明し、施策毎の影響を定量化するアプローチです。

 2019年の大ヒット映画「天気の子」を例にしたデモ分析では、変数の関係を構造化してとらえるパス解析(構造方程式モデリング)という手法を用いて広告(広告T)PR(記事数)は直接は販売数に影響しないが、「天気の子」含む指名検索(Search)を介して、プラスの影響をもつことを捉えた上で、

パス図

※デモ分析としている通り、WEB上のオープンデータから推計し整形したデータテーブルを元にした分析です。(詳しくは前述のnoteに記載しています。) 

 残存効果や、投下量や露出量が増えると効果が減衰または増長する非線形な影響を加味して予測精度を上げる回帰分析によって、予測精度(≒Adjust R2)0.95弱のモデルから、販売数への影響が強い指名検索を構成している要因を定量化しました。

【モデルから導いた予測と実績のあてはまりを確認する折れ線グラフ】

予測精度UPした検索数説明モデル

【指名検索数を説明する各要因の数量を把握するためのウォーターフォールチャート】

ウォーターフォールグラフ 検索数2回目

【日別に分解した各要因の積み上げ時系列グラフ】

目的変数検索数2回目 積み上げ時系列グラフ


 これは、PRの必要性を明確に定義する戦略を策定するマーケティング戦略策定「プロセス」のサイエンスではなく、PRの効果を「結果」を定量化するサイエンスです。足掛け8年以上取り組んできた知見から、作業を体系化できたので、今では20~30時間の稼働で支援可能です。さらに体系化した分析ノウハウを研修を交えて共有するコンサルティングも行っています。それが弊社支援の特色です。

 これまで企業のPR活動における指標は、現状の広告金額の相場を目安に、メディア露出を広告として換算した金額だったと思います。定量化してお示ししたいのは、その先にある売上や指名検索などをPRや広告によっていくつ純増させていたかです。PRや広告だけでなく、SNSのアカウントによるリーチなども同じ様に評価することができます。PRや広告(マス&WEB双方)とソーシャルメディアマーケティング外注をしている多くの企業が、結果を検証するサイエンス、短期的な効果を定量化できていない現状があるかもしれません。もし、これを読んで頂いているみなさんがそうした状況であれば、まず我々と取り組んでみませんか?

カーツメディアワークスのフェローとして

 私は今は(株)秤の代表ですが、以前はPR会社(株)カーツメディアワークスのデジタルマーケティング責任者(社員)として同社にお世話になっていました。同社代表の村上氏、実績多数です。草食男子という言葉をある企業のPRのコンテクストにマッチさせて一般化させた方です。著書も多数です。同社関連著書は以下にて。ちゃっかり私の書籍もありますw

 現在は業務委託のフェローとして協業関係にあります。同社が契約しているツールと私が駆使するツールでPRや、検索、ツイートなどソーシャルメディアにまつわる指標はおおむね収集できますので、あとは高額なシンジケートデータ契約が必要なTVCMの視聴率や当該企業しか把握することができない自社メディア(オウンドやソーシャルメディア)にまつわる数値を当社指定のフォーマットに整形頂く前提です。これまでの経験から多くの業種においてモデル化して効果を定量化できる見込みはありますので、まずはお気軽にお問合せ頂けますと幸いです。

【株式会社秤 ホームページ】


追加情報(2023年12月18日更新)

クッキー規制で目減りする効果計測の課題を解決法をnoteにしました。無料で使えるMETA社の高機能なMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)ツール「Robyn」を徹底解説する2時間強のYouTube講義を公開しました。