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2022年1月~8月までに観たアート

今年は観たい美術展や演劇も多く、加えてあまり人と会う雰囲気でもなかったので時間ができたらサーッとひとりで美術館へ行ってました。精神が欲しているんでしょうね。というわけで、ざざっと行った美術展をご紹介します。


まぼろし博覧会(静岡県・伊東市)

美術館ではなく「博覧会」ですが、庶民のB級なものがたくさん詰まった場所です。
昭和の遺物(異物?)がたっぷり観れますが、その面白さはぜひ現地で体感してね。なんだか霊的なものを拾ってきた気がしますw

岡本太郎賞(川崎市岡本太郎美術館)2022年2月

これを観ないと私の中では春が来ない!若いアーティストのほとばしる情熱を感じる展覧会です。
これ全部刺繍です。太郎展で賞を取る人たちはどれも本気度が人生捧げているレベルですごいです。創造するものはそこまで自分と戦わなくてはいけないと、覚悟を見せつけられます。

Chin↑Pom 展ハッピースプリングス(森美術館)2022年3月と5月

表現のギリギリをアートで挑戦しているChin↑Pom。陰キャな私が、陽キャな彼らの部室へそーっと覗きにいく感じで会場へ。
「道を育てる」アートが2月(平日)はこんな雰囲気でしたが
5月(日曜日)に行ったら育ってた!
学園祭のような陽キャな雰囲気に、道の端っこで体育座りしてしまう私。若きハッピースプリングスなエナジーを遠い目でそっと見守る40代・・・私もそんな時があったかな?無かったな・・・
なんで2回行ってしまったかというと、こちらの裏サイトも観たかったから。
公共の場(森美術館)で展示できなかった作品を隣町のスペースでこっそり展示するという試み。これを観るためには一度、森美術館へ入場し予約しないといけないのです。
著作権にひっかかるスーパーラットがいました。

楳図かずお大美術展(森ビル展望台キャラリー)3月

同時期にやっていた楳図かずお展。
森ビルの展望台から見える東京の街並みと連動した漫画が、輝ける都市の裏面を物語り、怖さが増します。これまた作品数とパワーに押されて体力を持っていかれました・・・。
漫画と連動した現代アートの展示もあり、ちょっとホラーな雰囲気のある冨安由真氏の展示も漫画の下書きと一緒にありました。薄ら暗い部屋でしたので写真は撮りませんでした。

森村泰昌 ワタシの迷宮劇場(京セラ美術館・京都)4月

京セラ美術館は建物も素敵です。重厚な扉やライトなど、カフェやのんびりスペースもあり。
現代芸術家の笹岡由梨子さんと一緒に行っていただきました~!迷宮のような展示方法の面白さや額縁の秘密、アーティストならではの視点の感想を聞けて貴重でした。ありがとう!
変身も本気でずーっと続ければこんなに大きな展示になるのかと、続ける熱意の素晴らしさを受け取りました。巨匠の道もシャッターひとつから・・・。光と音声、香りで体感するインスタレーションも艶めかしくて、想像力を刺激されました。
同じ時期に京都ゆかりの作家さんを展示するスペースで展示されていた川人綾氏の作品。作家さんが丁度作業されていたのですが、ひとつひとつ数字を言って(テープを貼る色や場所?を)チェックしていて…ものすごい緻密なことをしているのでは!?と驚愕しました。

ミロ展(渋谷BUNKAMURAザ・ミュージアム)4月

日本に影響を受けたミロは墨を使った作品を発表する。日本の民芸にも興味を持ち、来日もしていたんだな。描き方も年代ごとに変わり、色んな材質を試してみたり試行錯誤や挑戦をしている姿を感じました。

岡本太郎記念館(青山)4月

岡本太郎が住んでいた青山のアトリエが美術館に。太郎の部屋もダイナミック!庭にいる植木鉢の犬が好きでたまに会いにいくのだけど、今回はお気に入りの子がお散歩中(?)でショボン。
今年は「タローマン」もあって大注目の岡本太郎。「うまくあるな、うつくしくあるな、ここちよくあるな」10月の東京巡回が楽しみだ~!タローマ~ン♫

瀬戸内国際芸術祭2022春会期(沙弥島・大島・女木島・男木島)5月

ハンセン病患者を隔離する島だった大島での作品。かつてこの島であった悲しい実話が作品になっていて、これは軽度の患者さんが重度の方の看病をしていた時代を表現したもの。真ん中の椅子は木製便器。患者自ら手作りしていたとか。カラフルな色ながらショッキングな話が続く。アートを通して語ることで重くならず、しかし激しく心に刻まれるものがありました。
男木島の作品は、鑑賞しつつ町をめぐり、島の日常も垣間見れるところが好き
町を歩きつつ海を見ながら高松名物「おいりさん」というアラレが乗ったアイスを食べました
今回初めて春会期で訪れた沙弥島の「幻海をのぞく」昔この地は海だったという景色を
古い海辺の一軒家をダイナミックに使って表現
もともとあった古い家具や家に新しい映像技術や仕掛けを組み込んで、
今と過去が幻想的につながるアトラクションのような展示でした。

ガブリエル・シャネル展(三菱一号美術館・有楽町)7月

めちゃくちゃメンタル強そう。女性ならではの苦労もありつつ「だから何!?」と女性が動きやすいスーツや素材をガンガン生み出し挑戦し破壊する。今でこそ普通な「黒い服」を喪服ではなくエレガントな大人の服にしたのも彼女!限界突破しまくる、その鋼のメンタルが欲しい・・・。

ライアン・ガンダー展(オペラシティアートギャラリー・初台)7月

アート友だちである息子に誘われて行きました。
前知識なく行きましたが、鑑賞者を惑わす仕掛けがいっぱい!
見かけと違う材質や発見。ものごとを見かけや外側、人の意見で短絡的に判断せず、何が本質か考えろと言われているみたい。鑑賞者が体験できる作品も多く、小さなところも見逃すな!
端っこで息も絶え絶えなネズミさん、ちゃんと小さく呼吸していたよ!

瀬戸内国際芸術祭2022夏会期(直島・豊島・犬島)8月

犬島の「犬島精錬所美術館」廃墟好きにはオススメ。力強いレンガと煙突の建物からは想像できないような美術館の中に現実感が飛んでいく。実は建物の中は歴史資料館かと思っていたんですよね…そしたら思考が煙突を抜けて行きました。激しさと静寂と強さに圧倒される美術館です。
三島由紀夫を題材とした作品の間では変身ポーズをして「とうっ!」と遊びまくり。

見る誕生 鴻池朋子展(高松市美術館)8月

絵本ありオブジェあり、獣の糞あり首が飛んできたりで、表現することなんでも自由にやっている感じがすき。もっとじっくり背景も知って観たかったけど、時間に追われていてゆっくりできなかったのが残念。

ゲルハルト・リヒター展(東京国立近代美術館)8月

交通の便の悪い場所なのに人が多くてびっくり。絵の具が塗りたくられたキャンバスが削られて、もとの姿をこれでもかと破壊している巨匠の絵。破壊されたもののあはれを理解しようとするが難解です。「この展示を2000字で述べよ」と言われたらどうしようと戸惑った(言われないけど)。結構みんな真剣に凝視していて「みんな理解しているのか」と思うと「裸の王様」の物語の中にいるようでした。「頭が良くないとわからないのかもしれない」と不安になり、観終わった後になぜか非常に脳が疲労しました。なんでそんなに絵に押されてしまったのか謎。それが巨匠たるゆえん?

「地球がまわる音を聴く(森美術館)8月

コロナ禍後の世界をどういきるか?表現した現代アート展。オノ・ヨーコ氏を筆頭に多くの作家さんの作品が一同に観れてお得な感じでした。
これなんだと思います?花粉だそうです。本物なのかな?劣化して茶色くなったり、花が痒くなったりしないのかなあ?コロナの自粛生活中にがんばればこういうこともできたのか。もくもく作業をすると不安が軽減されるというし、こういう過ごし方もあったかも?と思いました。
それにしても凄まじい労力です。
精密を通り越してスーパーリアリズムも通り越して、気迫を感じる細かい絵。人生をひとつのことに集中できるという命を本気で燃やしている感じがうらやましい。好きじゃないとここまで描けないと思うし、それが天職で生きていける幸せ(と苦労)を感じる絵でした。

まずは美術展はここまで。

コロナ禍になり、もう海外には気軽に行けない失望感、特にアメリカには物価が高すぎて2度と行けないだろうなという諦め。2019年を境に希望の色が褪せてしまった世界から、現実を塗り替えたくなって目につくアートに手を伸ばしまくったようです。この思考の塞がりをアートで破壊して欲しい!
作家が七転八倒して部屋を這いずり回り苦悶し絶望し、吐き気の中から光をたぐって作品を作るように、観る私も光を探しているかのようです。同じ光を観たくて、希望を感じたくて魂がアートを求めているのです。
そして私もその魂と一緒になれる瞬間が感動というのでしょう。

皆さんもなんだか思考が凝り固まったときには、アートで破壊してみてください。新しい何かが芽生えるかもしれません!?