ハートフルな癒し満載！『五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました』の感想

基本は、定番中の定番
～ A boy meets a girl. （少年は少女と出会った）～ストーリー。
近年、異常に多く見られる転生ものですけど、前世の記憶持ちとはいえ、主人公のヒロインの年齢が若干5歳というのが一番びっくりするところですかね。
 
「わた婚」とは少し違うけど、二人共己れの異端さを自覚する故に孤独な魂を抱えた者同士。5歳を花嫁にした周囲の思惑もまた、けして良いものではありませんでした。
それでも、出会ったその日から互いに共鳴して恋に落ちてゆくという設定は、清霞と美世に通じるところがあり、それ故に惹かれたのだというのがだんだんわかってきました。
 
それから、二人とも真面目で謙虚で、とりたてて野心など‥あまり大それた望みは持たない、ある種のわきまえています感が半端ないところとか。
自分の大切な人の為には全力で立ち向かうけど、野心の類いは一切ないあたりも非常に好感持てます♪
 
全体的にハートフルでふんわり、ほっこりする場面が多いです。
どうかするとゆるふわ無限スパイラルって感じ。
同じようなテイストの描写、もしくは会話が幾度となく出てきては延々繰り返される印象ですかね。それもだんだん癖になってくるヤバさなのです。
 
なんといっても主人公が一応5歳児ですから、毎回同じ言葉、同じ主張の繰り返しでも、あまり変でもなければ嫌味にもならない感じ。
 
さらに、ヒロインのお相手の王子様がまた規格外すぎていて、先祖の竜王陛下そっくりの美貌に桁外れの魔力を持ち、天候を自在に操ったり、転移魔法やヒロインを抱きかかえたままドローンみたく空中散歩までしてのけるという、スーパーマンぶりなのです。
 
ヒロインはお子様だし、まるでムーミンのような童話みたいな印象が強いせいか、多少人間的な騒動は起こるものの、巻を重ね全体像が見えてくるほどに、さほど深刻さや悲壮感に打ちのめされることもありません。
 
例えるなら、自宅でペットの動物と戯れるひと時のように、読みながらハートフルな癒しを満喫したい読者の願望をいい感じに叶えてくれる作品です。

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