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新卒採用で「面談」する全ての人へ

NewsPicksにて尊敬する山口周さんとの対談記事を作っていただいた。これまで8年間に及ぶirootsへの関わり思いを山口さんに共感していただいたことはとてもありがたいことだった。

折角でもあるので、新卒採用の面談をする全ての方へ、なぜ「本音採用」なのかという点について面談の観点でもう少し掘り下げてお伝えしたいと思います。

私が人材業界に関わる20年の中で新卒学生の面談に向き合ってきた年数は10年弱。多くの学生と向き合い、共に悩み、喜ぶ中で、得た面談のやり方があった。

幼少期から現在に至るまでの相手の人生に全集中する

たった、これだけ。

最初は構造化面接など定番手法も試してみた。なるほどと思うがピンとは来なかった。何よりも聞いてる私の心にグッとこなかった。

こんなことを言っては怒られるだろうが、構造化させて枠にはめて質問したあとで、相手を親身になってサポートできなかったのだ。どことなくひとごと。ひとごとと書いて人事(じんじ)と読むが、これではいけないと思った。

当然良いメンターになどなれるわけがなかった。同時にもう一つのネガティブな感情が生まれてきた。

「ひとの人生にああだこうだ質問したり意見したりしている自分が嘘くさい。」

果たして俺は人にとやかく言えるような人生を送っているのか、が怪しく思えた。

転機は学生に私自身の自己開示をするようにしてから

それも一番惨めで辛い体験を話すようにした。

「いじめられた体験」だ。それなりに壮絶だったし長い期間にわたる経験だったので、最初は話すことは憚られたが、学生に伝えているうちにだんだんと「いじめられた体験」が今にどう生きているのかが分かってきた。箇条書きにするといくつかある。

・我慢強くなった。

・集中力がついた。

・人の痛みが鮮明にわかるようになった。

まだある。最後はいじめられた経験をプラスに昇華できた自分に自信ができたことだった。いじめられた体験があったからこそ今の私がいるということに気づけた、そんな人生に感動できるようになった。

自分の人生の感動ポイントが一般的には大したことない体験だったので、他の人にもきっと気づいてない体験が実は感動ポイントになるのではないかと考えた。相手自身が気づいてない相手の人生の感動ポイントを見つけるのは難しい。

だから幼少期から今に至るまでの経験を心を研ぎ澄まして全部聞いた。

丁寧に聞くと出てくるのです。「アレ、ここってすっごい転機じゃない?」

幼少期からの経験を丁寧に集中して聞いているとわかることがある。言葉では説明が難しいのだが、急にふっと風向きが変わるような、瞬間・時の繋がり。流れがフッと軽くなるような良い意味でただよう違和感。本当はこの繋がりが素敵な変化を目の前の学生にプレゼントしてくれてるんじゃないか。

瞬間を切り取ったPRではわからない、進化の歴史。

時の流れに寄り添って、集中して聞いてるとそれがわかることがある。「この学生の明るさや優しさってどこから来てるんだろう、もしかして数年前イジメられた経験がなにか影響してるのかもしれない」など。

そんなこと自分でもわからないし、ましてや学生面談で見つけることなんて無理だと感じる人事採用の方はまず、自分自身のそれを見つけることからはじめてほしいと思う。

自分の人生を幼少期から一つ一つ思い出す

その時あったことをまとめず、端折らず、その時の気持ちを理解し、書き出す。書き出したら、何度も読み返してみる。そこに書かれた経験談を面接の候補者だと思って、客観的に読んでみてほしい。

そこに書いてある人生の中でたった一つでも時とともに何かが動いた感じ、つまり感動ポイントを見つけられるかが決め手だ。いくつかの感動ポイントが見つかったら、そんな体験をしている素晴らしい候補者(自分)にはどんな人生を歩ませたいだろうかと考えてみてほしい。

それが今の自分の場所(会社・仕事)であるという納得感があって本当に採用業務はできるんだと思う。いまここにいる自分自身とそのルーツに理解や共感を示して初めて本当の本音採用はできるのだと思っています。

本音採用ができるようになると何が変わるか

採用に自信がつきます。他の面接官の目を必要以上に気にせず、自信を持ってこの人と働きたい(逆もまた然り)と面接官として言い切れる。そんな確信を持った採用をできたらお互いが幸せだと思いませんか。「僕はいいと思うけど、あの人はどう思うかな?」よくありがちなシチュエーションです。人事業務の特性上ある程度はやむを得ないものでもあります。ただし人の目を気にしすぎていたら真の採用なんて絶対できない。

究極の話にはなりますが「本音採用」は人事の心眼を開くと思っています。

自信満々で採用した結果、失敗したらどうする?

採用しても寄り添いましょう。大量採用していて一人一人寄り添えなくても思いを馳せることを忘れなければ良いと思います。その人が会社で失敗しても寄り添いましょう。結果は所詮結果と言ったらまた怒られるかもしれませんが、未来のことは誰にもわからない。適材適所はもちろん重要ですが、採用人事であるならば結果以上に今目の前にいる人への向き合い方を大事にする必要があります。

組織は結局一人一人の思いのつながりから成立しています。愛を込めて組織をつなげていきましょう。

それがirootsというサービスを通して私が伝えたい本音採用です。

今回のNewsPicks記事を読んだ方が一人でもこの事に共感していただけることを願っています。






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