だれでもすごく早く成長できる時代になったけど
こんにちは。Voicy代表の緒方です。
この「声の履歴書」という連載は、Voicyがこれまで歩んできた道のりについて創業者の私があれこれ語っていこうというシリーズです。よかったらマガジンをフォローしてくれると嬉しいです。
最近思うのですが、いまは、だれでもすごく早く成長できる時代になりましたよね。
僕は大学のときにテニスをしていました。長いこと遠ざかっていたんですが、じつは1年くらい前からまた趣味として再開しました。
で、しばらくやってみて気づいたのが、四六時中テニスをやっていた大学時代の4年間よりも、いまのほうが成長を感じられるんです。
今日は学習のプロセスについて思ったことを書いていきます。
みんなの学びが蓄積され、進化している
僕らが学生の頃は『スマッシュ』というテニス雑誌に4コマの写真で、「ラケットはこうやって振ります」みたいな解説が載っていただけ。
それを見て、真似してみるものの、それだけだと体重移動やタイミングの取り方とかもわからないし、僕みたいな普通の学生にとってはわからないことばかりでした。
それがいまは情報がすごく増えました。あらゆることが動画で事細かにわかります。
一流のプロの情報だけでなく、自分みたいな「筋トレもしていない人に合ったプレイスタイル」なんていう情報も無限にあって、スローモーションもいくらでも見られます。
スクールに行かなくてもコツが全部わかるようになっているんです。
しかも、その教え方も違う。昔は「とりあえず100回素振りしろ」みたいなことが言われていましたが、いまは「素振りをするときはここに注意して、100回の適当な素振りよりも60回の効率的な素振りのほうが良い」なんて言われているわけです。
オリンピックやスポーツの世界大会でも毎年のように世界記録が更新されていますよね。
フィジカルが明確に上がっているのもあるでしょうが、「こういう練習方法なら上手くいった」「こういう練習法は怪我をする」という学びがどんどん蓄積され、進化しているからこそだと思います。
人が成長するための情報がすごく出てきて、だれもがすぐに成長できる社会になったと痛感しています。これはもちろん良いことです。
問題解決と学習プロセスを持っているか
ただ、その一方で、あまりにも情報が出揃ってアクセスが簡単になってきているので、インプットしてその通りにやればうまくいくことに慣れてしまい、自分で考えるより、正解の情報がどこかにあるのでそれを見つけたほうがいいというのが主流になり、逆に自分で考えてどうしたらいいのかわからないという人もすごく増えたな、とも思います。
つまり、自分で正解を導く能力が身についてなくても、どこかで正解を入手すればそれを提出するだけで解決したと思ってしまう。その正解を自ら生み出すまで身につけようとしなくなっているようです。
たとえば仕事をしていても、途中まで作業をして資料をつくって、それを上司に見せて、上司が一部を直してくれたら「ありがとうございました」で終わり、という仕事をする人も増えたと思います。
でも、そのやり方だと問題を解けたことにはならないんですよね。
これは受験勉強では当たり前だったと思います。解答を見ながら解いても力は付かない。何回も見て理解した後に、自分で1回やってみて、それでもできなかったらもう1回お手本を見て、ということを繰り返して、やっと自力で解決できるようになる。
そういう成長のプロセスを日本人は勉強で散々やってきたはずなのに、それを活かせていない人も多い。
見本の量は圧倒的に増えたけれど、ちゃんと学習するプロセスを自分のなかに持っていないのが課題なのかもしれません。
僕に質問に来る人も「どうやったらこうなれますか?」「そうなれる手段ははどこで手に入りますか?」「何をやったら一発でここまでいけますか?」「一番のポイントはどこですか?」という感じの問いが年々増えている感じもあって。
「コツコツ努力する、みたいなことは教えてもらうのやめてもらってもいいですか?」という空気をすごく感じます。
でも成長というのは「良い見本を見ること」と、「見本を見て自分がやってみること」と、「コツコツそこの差分を埋めていくこと」。その積み重ねでしかありません。
つまりは「自分なりの成長をする方法やプロセスを知る」ということなんです。そしてしっかりと伸びる人は、それを理解したうえで毎日コツコツやる癖を上手くつけていたり、すごく努力ができる土壌があるようです。
人間の身体的なポテンシャルなんてたかが知れてるのに、なぜ人の成長速度に差があるのか。結局のところ、成長のプロセスを知っているか、それとも知っていないか、ということがとても大きいと思います。
いまは他の人がどういうふうに学習して、成長しているのかも気軽に覗きにいけます。それを参考に理解を深めることも非常に大事だと思います。
自分のプレーを自分で説明できるように
テニスを数十年ぶりに学んでみて思うことがあります。
自分が学生だった頃はそんなことはまったくなかったんですけれど、いまスポーツをしている若い子たちって、「一つひとつのプレーをちゃんと説明できるようにしよう」と教わっているので、自分のプレーをちゃんと覚えているんです。
「なんでこういうことをしたのかわからない」「そんなことしてたっけ?」と言っているようでは改善できないし、伸びません。それは仕事でも一緒ですよね。
じゃあいまからどうすればいいのか、という問題ですが、僕はまずは「自分がどんな方法だったら気持ちよく学べるか」を知るのが大事だと思います。
自分にとって最も良い成長方法を考えるわけです。
たとえば、ご褒美があるほうがいいとか、何度も教えてくれるパートナーが必要だとか、スポーツジムのような場所が必要だとか。そういうふうに「自分はどういう人間なのか」を知ることが第一歩です。
たとえば僕自身はというと、見てくれる人が近くにいる状況にするとがんばれるタイプです。喜んでくれたり、怒ってくれたり、評価をしてくれたりする仲間や先生がいて。1人でひっそり頑張るのは全然できません
あとは発表する日やデッドラインを決めるとさらにスイッチが入ります。ってかお尻を叩かれないとずるずる行っちゃいます。
これって要は、壁打ち相手がいて、ちゃんと評価してくれる人が周りにいて、そして自分の能力を発揮できる場所があるということです。
考えてみるとスポーツや学習のプロセスと、ふだんの仕事には似ている部分がたくさんありますね。
声の編集後記
記事の執筆後に、あらためて音声でも話しています。よかったらこちらもお聞きください。
https://r.voicy.jp/Gw9rwBOwVj3
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