スタートアップの社長がラジオ局で1年間ラジオ番組をやってみた結果【声の履歴書 Vol.96】
こんにちは。Voicy代表の緒方です。
この「声の履歴書」という連載は、Voicyがこれまで歩んできた道のりや、いま考えていることについて創業者の私があれこれ語っていこうというシリーズです。よかったらマガジンをフォローしてくれると嬉しいです。
突然ですが、ABCラジオで毎週やっている僕のラジオ番組「緒方憲太郎の道に迷えばオモロい方へ」がもうすぐ1年経ちます。4月でまる1年なんです。以前、ここでも書きましたね。
というわけで今日は、「スタートアップの社長が、いわゆる大手ラジオ局のラジオ番組を1年間やってみてどうだったのか?」について書いていきます。
ラジオパーソナリティのネタ探し力はすごい
人生で初めてラジオ番組のパーソナリティというものを1年間やってみて、得たものや気づいたことはいろいろあります。その中で一番大きな驚きは、「ラジオパーソナリティって本当にすごい」ということです。
毎週おもしろい放送内容を考えようとすると、ネタ探しがやっぱり大変なんです。伊集院さんは、いつも自転車でいろんなところを走り回ってネタを探しに行っているらしくて、佐久間さんも1週間ずっと考えてネタを持ってきている、と仰っていました。ネタ探しのために、ちゃんと時間を確保してエンタメ作品を消費しているそうです。
おもしろい番組を自分のしゃべりでしっかりとつくろうと思うと、本当に見えない苦労があるんだなぁと思いました。
みなさん、「週1回だからいけるけど、週2回放送だったらちょっとネタがないわ…」みたいなことを言っていて、それがラジオの世界なのかと感じましたね。
Voicyのパーソナリティでも毎日放送してる人もたくさんいるんですが、多くの人にわかってもらう必要はなく自分の専門や意識してることを話すので毎日でも思ったことを話せばいいので、ちゃんとしたネタを仕込むというよりも、日常でふと思ったことをしゃべっていることが多い。ラジオのように多くの雑多なターゲットに話す場合、むしろ自分が普段触れないことに対しての話をする必要があり、そう考えると同じ音声コンテツでもだいぶ世界観が違うんだな、と感じました。
番組をビジネスとして成り立たせることは課題
それから、何よりも難しいと思ったのは、企業スポンサーをつけることです。ビジネスとして成り立たせるのがすごく難しかった。
個人でスポンサーを集めるのも一苦労ですし、これはけっこう大変です。ラジオ番組というものは「緒方さんがあの枠にスポンサーを見つけてこないと、局としてはやれませんよ」という世界です。今回は「一緒に見つけましょう!」と言ってもらって、探してもらったんだけれど、結局見つからなくて。
毎回ちゃんとしたゲストを呼んで、良い番組をつくっているつもりなんです。それでもラジオにお金を出してくれるという企業を探すのは本当に大変なことでした。
そもそも最初の仮説といいますか、番組を始めるときの目的は何だったのか。それを振り返ってみましょう。
まず1つは、ラジオ番組という枠組みの中での成功例をつくること。その成功例とはつまり、企業スポンサーも個人スポンサーもついて、事業がペイすることです。それでいて「今までにないラジオだね」みたいな感じで喜んでもらえるような、新しい取り組みをしたいなと、当時の私はこのように思っていました。
できたこともあれば、できなかったこともありますね。
人気番組をつくるには時間も必要
できたこととしては、ラジオ放送とVoicyとのサイマル放送は新しかったと思います。ITとの掛け算は当然やりたいと思っていて、いろんな改善を繰り返しながらサイマル放送をやっていった結果、ネットでもそれなりに聞かれることはわかりました。さらに短尺動画に切り分けたりすると5万再生とか行くものも出てきました。
ただこれも、ゲストの顔ぶれ次第ということもあります。ラジオは、当たり前ですが、パーソナリティなどの「人」に依存しているとも感じました。
また、たったの1年くらいで人気番組になれるかというと、それもちょっと難しい。ラジオの場合、かなり長く続く番組が、長い時間をかけて人気になっていきます。だから、「ラジオは足が長いですよ」ということは言われるけれど、IT企業の時間軸だと、そこはちょっとつらいところです。
Voicyだって常に生放送の枠があってもいい
難しい! つらい!と泣き言が続いていますが、今回、ラジオをやって良かったこと。それはやっぱり、「ちゃんとした番組をつくること」はサービスの魅力の1つになり得る、とあらためて気づけたことです。そしてみんなで一緒にコンテンツをつくりあげるのはやっぱり楽しいんです。
いまVoicyでは、オリジナル番組として制作しているニュースチャンネルが複数あります。他にももっと違うオリジナルコンテンツをつくっていきたいと思っています。たとえばVoicyのトップページに常に生放送で聞けるラジオ番組みたいなものを用意して、そこの枠を各パーソナリティの活躍の場にする、とかね。そういう取り組みはちょっとありかな、と思っています。
毎週土曜日放送なので、「緒方憲太郎の道に迷えばオモロい方へ」もまもなく50回です。大物ゲストにもたくさん来ていただきましたが、たとえば山田邦子さんはラジオだからこそ呼べた人だと思います。Voicyで番組をつくって、「そこのゲストに出てください」と言っても来てくれなかったでしょうね。
そこはやはり4マス媒体のすごさを実感しました。まだまだ学ぶことは多いです。この番組は2年目も続きます。4月からは30分番組になりゲストトークを中心にお届けします。よかったら聞いてください。
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ーー最後まで読んでいただきありがとうございました。
声の編集後記
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