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コロナ禍で「音声コンテンツ」はどう使われたか。Voicyの2020年を振り返る

こんにちは。Voicy代表の緒方です。

本当にいろんなことが起きた2020年。Voicyにとってはどんな1年だったのか、ここで振り返ってみたいと思います。

2020年振り返り_記事内

音声は「話題になる元年」から「ビジネス元年」へ

2020年、今年1年はざっくり言うと、「音声が話題になる元年」でした。

インターネットにおける音声産業が騒がれるとともに、競合サービスもたくさん出てきました。まだすごい売上が出るわけじゃなかったけど、来年こそは「ビジネスになる元年」かなという予感はしています。

Voicyのサービスとして1つ大きかったのは、ユーザー課金の仕組みを入れられて、初めて「声がエンタメ産業になる」という大きな旗をあげられた年だったんじゃないかと思っています。

次のステップにいくために、階段に足を踏み出しました。来年は勝負の年。今年準備したものが実を結ぶ1年にしたいと思います。

いろいろと戦略を考えていると、いま取り組んでいることに加えて、そこにさらに今後やりたいプロジェクトが並んできます。

すでに手を付けていることだけでいっぱいいっぱいなのに、これからやりたいことまで全部入れたら、会社のメンバーが10倍必要なんじゃない?という感じ。

これはえらいことだと思いますが、同時にまだまだやることがたくさんあるのは幸せなことです。

2020年、Voicyのユーザー数は4倍に

では2020年がVoicyにとってどんな1年だったか。具体事例とともに振り返ってみましょう。

1月と2月はまだコロナが猛威を振るう前でした。2月1日に会社が5期目に入りました。よく「5年もつ会社は10%もない」って言います。その節目を超えられたのは良かったなとしみじみ思ったものです。

1年目の売上が9万円、2年目の売上が11万円の会社が、4期が終わって5期目に入るというタイミング。ここから一気にいくぞ、事業としてしっかりやるぞ、みたいな意気込みではいたものの、やっぱりユーザー数とかはまだまだ少なかったと思います。

いまこのタイミングから考えると、4分の1くらいのボリュームでした。つまりVoicyは今年1年で4倍くらいに伸びたわけです。これから世の中にちゃんとインパクトを与えるもっと高い目線で見ると、4倍に伸びたいまですら全然まだまだと思っています。

Voicyのような音声コンテンツにコロナの影響は?

コロナについて。

影響はそこまで大きくなかったですが、Voicyのサービスの面でも、会社組織の面でもすごく気づきがありました。

春から夏にかけてコロナ禍で世間が浮足立っていたころ、僕らのサービスの成長を示す数字は「微増」というところでした。正直、意外でした。

明確に「通勤時間」が減ったせいで、音声コンテンツを消費する時間はなくなったはずです。ただそれでも下がらなかったのは、家の中で聞く時間を見つけてもらえたから。

隙間時間を見つけ出してもらえたのか、寝る前だったりとか、お風呂だったりとか、料理をしている間とか、そういうところに浸透することができたのは、ポジティブな面かと思います。

まだデータとして明確に言えるほどではないですが、利用シーンに変化はありました。

最初は社内でも「もしかしたら通勤がなくなって聞いてもらえなくなるかもしれない…」という声はありましたね。でもコンテンツさえよければ、皆さんいろいろなところで聞いてくれるんだなと自信にはなりました。

伸びた理由のもう1つは「プレミアムリスナー」という課金機能をつけたこと。

課金機能をつけたら、聞いてくれる人を増やそうというアクションをしてくれるパーソナリティさんも増えました。Voicyに参加するみんなが、ユーザー数を伸ばそうという同じ方に向き始めたというのは大きかったと思います。

「良いサービス」になってきたという肌感覚

今年は日本経済新聞社の「私の履歴書」をはじめ、アルファロメオ、中国新聞、ニューヨークタイムズなどブランドを持った大手企業が多く参加してくれました。

そこを入口に、これまで音声メディアに興味を持っていなかったレイトマジョリティ層がどんどん入ってきてくれました。

個人のパーソナリティでも勝間和代さんやちきりんさん、茂木健一郎さんだったり、すでに多くのフォロワーを持つ方々の参入が相次ぎました。Voicyが安心して配信できる場所として徐々に認められてきたのかもしれません。

そしてVoicyの素晴らしいところとして、アプリで音声を楽しんだ人の8割以上が次の週も同じように聞いてくれるというのがあります。継続率が高いのは自慢できるところですね。

だから積み上がっていく感覚が思いのほか大きい。今年伸びた理由においても、「離脱者がめちゃくちゃ少ないサービスになった」というのはけっこうありますね。

秋にアプリをリニューアルし、UIも大きく変更しました。いろんなポイントを少しずつ改修していって、結果的にさまざまな数値が改善されました。

おかげさまでパーソナリティさんも増え、放送回数も上がっています。今年のはじめは1週間で400放送くらいだったのが、いまでは1000放送近くあります。

いいパーソナリティが増え、放送回数が増え、リピーターも増えた。そういった理由が積みあがっての成長でした。

なので年間で4倍上がるという数字以上に、「良いサービス」になってきたんじゃないかという肌感覚があります。

組織面ではとても難しく、不安だらけだった

そこから3月。リモートワークになり、社員の働き方をどうするか、みんなで考えました。でも春先のことを振り返ると、正直、めちゃくちゃ不安でした。

会社のメンバーが一緒の場所で会って、働いて、サービスや会社のことが好きになるという状況を作りたかったのが本音ですが、オフィスで会うことは難しくなりました。

その中で組織作りをしていくって、本当にできるのかな?みたいなことは思いましたね。

コロナで世の中が明らかに大きく変わっていくことが目に見えている中で、音声はそこまで不利なわけではないだろうと思うものの、事業のピボットが必要なのか?というところは、めちゃくちゃ悩んでいました。

Voicyには「カンパニークリエイター」というチームがあって、会社自体を良い状態にしていこう、会社組織も1つのプロダクトだ、という考え方は浸透していたと思うんです。

だから、コロナになったときに「これまでを維持するにはどうするか」ではなくて、「コロナのタイミングだからこそ作れるプロダクトは何だろう?」と、会社のことを考えてくれました。

毎週アンケートを取って、「本当に働きやすい環境とは何か」を考えました。皆でオンラインで飲み会を企画したりとか、会社の雰囲気を良くするための方策はいろいろ試しましたね。

そういった試行錯誤のなか、コロナのタイミングでの離職者がほとんどいなかったのは嬉しかったです。そういう意味ではVoicyはなんとか上手くいったんだろうと思っています。

前にこのnoteにも登場したみのりーと、そして勝村というリーダーが相当引っ張ってくれたという感覚があります。

いまはオフィスに来るのも、リモートで仕事をするのも基本は、社員のみんなが選べます。チームによってはオフィスに集まる日というのを決めたりしながら、一番働きやすい形を話し合っています。

「声で生きていく人」をサポートしたい

「個人が活躍する時代」。そういう言葉が当たり前のように使われています。その中で、ずっとやりたかったのがVoicyのユーザー課金「プレミアムリスナー」だったんです。

ユーザー課金、まだ音声のサービスではほぼなかったんです。その中でVoicyで課金機能が実現できるというのはすごく嬉しかった。

リリースしたら、もうすぐ流通総額が1000万円規模になるんですけど、ちゃんとお金が動いていることもわかりました。

これはすごく大きな意味を持つんじゃないかと思っています。

プレミアムリスナーに関してはとても良い結果が出ています。サービス設計はめちゃくちゃ悩みました。過去のコンテンツを購入できるようにするかどうか、月額の金額は定額にするかどうか、アプリ外で課金できるかどうか、いろいろと緻密に考えていたんです。

そこの仮説のほとんどが当たったんじゃないかと思っているので、ひとまず成功したな、という感覚は強く持っています。

僕たちは、とにかくパーソナリティさんとリスナーさんが出会って仲良くする広場をつくっています。そういう意味ではとても有意義な仕組みを1つ加えられたと思います。

#私にとってのVoicy2020 を考える

さて年末です。

#私にとってのVoicy2020 というハッシュタグをつけるとしたら、僕はどんな言葉で語るだろう。

いろんな思いが錯綜します。ひとことではとても言えなくて、サービスという自分の子どもが小さな子から中学生になったような感じもある。なんというか、全部自分だけでは面倒を見きれなくなったような。

自分の足でサービスが歩き始めたように見えるけど、それでいて、まだまだ手がかかるみたいな感じもあったりして。

でも、個人の発信のツールの1つの枠組みには入れたんじゃないかと思っています。Twitter、Instagram、Facebook、YouTube、note。そして音声ならVoicyで。そう言われるような立ち位置に仲間入りできたのではないかと。

最後発ながら、いいポジションにいくためにスタート地点には立てました。どう言うんだろう。とても「飛躍の1年だった」とは言い切れないし、挑戦、戦い…の始まりなのかな。

マネタイズに成功した。声で活躍する人をつくる第一歩は踏み出せた。声を産業にするための幕開けができた。どれも良かった。

これらはどれも大事なのが、すべては話してくれるパーソナリティさん、聞いてくれるリスナーさんがいなかったら何ともならないんですよね。

いまも本当に朝ガバっと起きたと思ったら、「誰もVoicyを使っていない…!」なんて夢を見たりします。使ってくれるみなさんへの感謝というのはとても大きいです。

もしこれを読んでる皆さんも #私にとってのVoicy2020 というハッシュタグで、今年のVoicyに対して思ったことを寄せていただけるとありがたいです。

日々、Voicyを使ってくれている皆さんに感謝し続けています。

Voicyが目指す世界は、自分たちだけで達成するものではありません。「みんなが声で活躍する場所をつくる」という目標は、みんなで喜び合うものだと思っています。

2020年、ありがとうございました。

2021年もVoicyをよろしくお願いします。 

株式会社Voicy 代表取締役社長CEO 緒方憲太郎

サポートも嬉しいですが、スキやシェア、パーソナリティさんへコメントなどVoicyの応援もらえたら嬉しいです!