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オフィス移転から1年、物理の「社長室」が意外とアリかも、という話

こんにちは。Voicy代表の緒方です。

この「声の履歴書」という連載は、Voicyがこれまで歩んできた道のりや、いま考えていることについて創業者の私があれこれ語っていこうというシリーズです。よかったらマガジンをフォローしてくれると嬉しいです。

いまのオフィスに移って1年くらいたちます。昨年はまだまだコロナ禍という状況でしたが、ぼちぼちオフィスを訪ねてくださる人も増えてきましたので、あらためてVoicyの新オフィスをご紹介したいと思います。

オフィス=社員が楽しむ場所

移転したのは2022年9月半ばです。

27.3億円の資金調達を発表したのが7月なので、調達とほぼ同じ時期に動いていました。

前のオフィスが手狭になってきたので、ずっと移転したかったのですが、「お金もないのに、調達前に移転するのはいかがなものか」と株主に止められていて、なかなか動けなかったのもありまして(あとになって考えると調達前に移転しなくて本当によかったです)。

まあオフィスってお金がかかりますからね。敷金が10ヶ月〜12ヶ月分かかることに加えて、内装にもこだわると数千万円はすぐに飛んでいきます。

400万の家賃だと、5000万くらいの敷金と数千万円の内装費ですぐに億単位にいってしまいます。だから、オフィスはけっこう大変。

そしてコロナのタイミングでもありますし、「スタートアップにとってのオフィスとはなんぞや」という話もありました。

たとえば、「オフィスなんて業務をやるだけの場所でしょう?」みたいな会社もあります。みんながリモートで仕事ができるんだったら全員リモートワークでいいじゃん、という考え方です。一方で、いやいやスタートアップのオフィスはみんなの「ホーム」であり、大事な「居場所」でしょう、という考え方もありますね。

Voicyはどうなのかというと、僕らとしては「オフィスはみんなの居場所だ」という思いがあって、社員にとって「うれしい場所」であってほしいと思っていました。そういう意味ではオフィスという空間はすごく大事にしているんです。

仕事って人生の中でも比較的大きい部分を占めていると思います。だったら、できるだけ楽しいものにしたい。少しおおげさですが、「オフィス=社員が人生を楽しむ場所だ」という思いがあったわけです。

オフィスはこんな感じです。

Voicyはこのタイミングでわざわざオフィスを2倍以上の大きさにしました。

しかも、エントランスには広々としたロビーがあって、その奥にはちょっとしたバーカウンターもあります。ぱっと見ではかなり贅沢なオフィスに見えるかもしれません。

コロナ以前のIT企業という感じがしますよね。そう、このオフィスは居抜きなんです。

もともとは「助太刀」さんというベンチャー企業が入っていたんですけれど、建築系の会社なので、自分たちで設計して、建築会社で扱う資材を使っているんです。なので設えが本当によくできています。

実際に社内のみんなもワクワクしているし、オフィスに来ることがすごく楽しくなったという声もあります。

そしてVoicyのオフィスならではの部分としては、晴れて「収録室」をつくることができました。

通常の収録室をいくつか用意したほか、僕がどうしてもやりたかったこととして、「茶室のような和室の収録室をつくりたい」というのがあって。

たとえばラジオ局の収録室に行くと収録機材がいっぱいあって、機械に囲まれているんですけれど、うーん、これはちょっと味気ないな、という気持ちもありました。

メカメカしている空間でしゃべっても気持ちが乗らない人もいるだろうな、と。それで「没入感がある雰囲気で、自分の心をひらいて喋ることができる場って何だろう?」と考えました。

その結果、「千利休のお茶だろう」と。

茶室をモチーフにして、薄暗い掘り炬燵の部屋をつくったんです。

外のバーカウンター周辺とロビーには、茶室で話した音声が流れるようになっています。

公開生収録をして、バーカウンターで一緒に交流するという懇親会もできるので、パーソナリティさんとのイベントや対談イベントも開けます。

このスペースはパーソナリティさんにどんどん使ってもらいたいです。

実際、僕が出演しているラジオ番組「道に迷えばオモロい方へ!」の収録は茶室でやっています。ここで録って編集してラジオ局に送っているんです。

Voicyフェスのすべての収録もここでやり切りましたし、実績はすでに十分です。

「調子に乗った環境になるのはちょっと…」

Voicyらしさは追求しましたが、今回の移転のコンセプトは、基本的には「できるだけ低コストにしよう」というものでした。

社内のメンバーに「どういうオフィスにしたい?」と聞いたところ、「あれを入れたい」「これを入れたい」と言う人よりも、「あまり調子に乗った環境になるのは嫌だ」という意見を言ってくれる人がいっぱいいました。

だから、執務室はわりとシンプルです。

ちなみに今は社員が50人くらい。キャパシティはこの執務フロアだけでも80人くらい入りますし、リモート勤務も並行していますから、100人くらいになってもいけるかな、と思っています。

会議室はリモート会議に対応できるように、大きさを分けた部屋をたくさん用意しています。使う人数のイメージによって名前を変えていて、「がやがや」「ざわざわ」という大きめの部屋、「ひそひそ」「こそこそ」という個小さめの部屋をつくりました。

こちらが、「ひそひと」と「こそこそ」
ここはオープン席のカフェブースです

あとはリモート会議用の電話ブース。「もしもし」のルームA、B、C、Dがあって。

結局、オフィスに来ても、ミーティングの相手がリモートの場合はオンラインで会議をすることが増えるわけです。

大きな会議室よりも、小さなところをたくさんつくったほうがいい、というのはコロナ禍を通じた学びかもしれません。

スタートアップで社長室ってどうなの?

ほかに珍しいのは「社長室」ができたところです。

前の居抜きの会社が社長室をつくっていて、そこをそのまま社長室として使っています。

最初は「そんなものいるかあ?」って思っていました。

スタートアップで社長室って、あまり聞かないです。ただ、前にここを使っていた会社の社長に「緒方さんも1回やってみな」と言われて、試してみるとおもしろいこともありました。

自分が参加する会議がすべて社長室で行われるのがめちゃくちゃ楽なんです。カレンダーを見なくてもどんどん人がやって来るから、「次はこの会議ね」みたいな感じで進んでいくわけです。

カレンダーを見て「次の会議室はどこだっけ?」とか、「次のZoomのURLはどこだ?」みたいなことを確認せずに人が来てくれる。おかげで脳のリソースがめちゃくちゃ空きました。

気をつけないといけないことは、社員から見たときに、話しかける敷居が上がってしまったり、距離を感じてしまう、などが起きないようにすることです。一応はガラス張りになっているので、その中でワイワイしていたり、社長が中で仕事をしていたりするのもわかるんですけど。

一方で、「緒方がだいたいここにいるとわかるのは便利」と言われます。たとえば僕はけっこう会議が詰まっていて、次の会議が迫っているのに目の前の会議で社員が逃がしてくれない、みたいなこともあります。「お客さん来てるけど緒方さんはいまどこにいるんだ?」というケースもあって。

そんなときに探し回る必要がなく、ほぼ部屋にいるというのは意外と便利なんです。

スタートアップの一番のリソースは社長の時間とも言われます。そこを有効活用できるのなら、ありといえばありだといまは思っています。

オフィスから3キロ圏内に在住で住宅補助

渋谷という場所には以前からこだわりがありました。渋谷って東京のなかでもいろいろな人が集まる場所。歩いていると、いろんな広告を目にするし、かなりごみごみしている。でも、だからこそ刺激を受けられるんです。

「渋谷からちょっと外にいったほうが安いよ」と言われましたけど、ロケーションにもある程度お金をかける必要があると思います。

一方で渋谷は、私鉄が充実しているので周囲で住むところはけっこうあります。Voicyはオフィスから3キロ圏内に在住していれば住宅補助が出ますのでみんな近くに住んでいます。そういう意味では意外と良い場所なのかな、と思っています。

住宅補助は3万円です。1人暮らしの子が、たとえば、10万円くらいの家を借りてもそれが7万円になるのなら大きいですよね。


というわけで、今回はVoicyのオフィス紹介と社長室の意外なメリットについてでした。

オフィスについてはこちらもご覧ください。


声の編集後記

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