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スタートアップとベンチャーの違いってなんだろう? 【声の履歴書 Vol.36】

こんにちは。Voicy代表の緒方憲太郎です。

この「声の履歴書」という連載は、Voicyがこれまで歩んできた道のりについて創業者の私があれこれ語っていこうというシリーズです。よかったらマガジンをフォローしてくれると嬉しいです。

今回はそもそもスタートアップってなんだっけ?という話をします。当たり前のように使っている言葉ですが、その定義はなんでしょう。

「ベンチャー企業」と同じ意味? ふつうの会社との違いは? 考えてみると謎だらけですね。

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スタートアップ、ベンチャー、スモールビジネスの違い


「スタートアップ」とか「ベンチャー」とか、いわゆる一般的な会社の差っていうのは何だと思いますか。

まず上に挙げたスタートアップとベンチャーと一般企業の3つはそれぞれ別物。まったく違う存在とされています(スタートアップとベンチャーは一緒ですって言う人もいます)。

例えば一番わかりやすいのが、一般企業です。世の中のマーケットニーズを見つけて、それに対して商品やサービスを提供してお金に変えていきます。

次にベンチャーは、より急成長をしていく姿勢を持っています。既存の事業をより効率化させたり、より革新的な商品・サービスを提供します。

そしてスタートアップは、世界に何らかのイノベーションを起こして、事業を完璧に違うゲームルールに持っていくことを目指します。それを実現させるために出資を受けることが多いのです。

ベンチャーは延長線上にいるが、スタートアップはゲームルールを変える

なので厳密に区分すると、海外ではFacebookやTwitterなどのまったく新しいプラットフォームをつくる会社がスタートアップと言われていて、既存ビジネスをSaaSに置き換える会社なんかはベンチャーだろうみたいな感じで言われることがあります。

だから基本的に既存のゲームの中で急成長していく会社、例えば人材や金融関係の新興企業はスタートアップというよりもベンチャーと呼ばれることが多いですね。「人材系スタートアップ」というのはあまり聞かない言葉だったりします。

ただそこの区分けははっきりいって曖昧です。既存ビジネスに明らかにイノベーションを生んでるのであればそれはスタートアップである、という見方もあります。要は言葉の使い方の話です。

一方で一般企業とベンチャーの差は、実はあまりないわけです。一般の会社でも急成長を目指している組織はありますし、「俺たちは『万年ベンチャー』をキャッチフレーズにめっちゃ頑張ってる」という会社はたくさんあります。

資金調達で時間を買い、リスクを投資家と分け合う

そんな中でスタートアップやベンチャーの特徴として見られるのが「資金調達」です。

投資家やベンチャーキャピタル(VC)からお金を出資してもらうというのは簡単に言うと、株を差し出すことで時間を買っているのです。

真の意味でのスタートアップには売上や利益を出すために使う時間なんてありません。最速でイノベーションを生み出さないといけません

そしてリスクを投資家と一緒に分け合っています。つまり、将来的に1億円、3億円、10億円って稼いでいくけど、ここから3年間はずっと赤字で3億円使っちゃいます、みたいな赤字先行型ビジネスというのはスタートアップじゃないとできないわけです。

一般企業だと、常に売上を立てて、利益を出して、その利益の中でしか挑戦できないですが、スタートアップは最初にどかんとお金もらって、赤字覚悟でいろいろ挑戦できる。

リスクを他の人に一緒に肩代わりしてもらいながら、赤字垂れ流しで突き進めるわけです。未来に稼ぐお金を前に持ってこれるから急成長できるんですね。

「スタートアップ」できることの幸せとは

例えば僕がラーメン屋を作るとします。借金をしてお店をつくって、ラーメンが売れて、儲かったお金の4割の税金を払って借金を返して、残ったお金で次の投資ができます。ここでやっと1人雇えるわけですよね。

スタートアップは将来大きくなると信じてもらって、先にお金を出してもらう。それですぐに人を増やすことができるんです。だから成長が圧倒的に早くなるわけだし、利益が出ない状況でも事業を作っていけます。

これができるのって、ビジョンに共感してもらえて、その未来に期待してくれる人が出資してくれないと絶対できないことなので、そういう点ではすごく恵まれていると思うんですよね。

スタートアップとしてVCや投資家から出資してもらうことは誰でもできるわけじゃないので、そういうありがたみというのはとてもあります。

だからやっぱり、「出資を受けました」っていう記事がTechCrunchみたいなニュースサイトに載ると、「おめでとうございます」となるわけですね。

でもそれは同時に始まりでもあります。

だから「おめでとうじゃなくてここからスタートだ」「おめでとうって言うのはよくない」「起業家はそんなところで調子に乗らずにちゃんと気を引き締めんか!」なんて言う人もたくさんいます。

おめでたいことであり、始まりでもあるんです。

たぶんどっちも正しいんだと僕は思います。


ーー次回もよろしくお願いします。

声の編集後記


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