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Voicyの「最初の新卒社員」は意外な形でやってきた【声の履歴書 Vol.38】

こんにちは。Voicy代表の緒方憲太郎です。

この「声の履歴書」という連載は、Voicyがこれまで歩んできた道のりについて創業者の私があれこれ語っていこうというシリーズです。よかったらマガジンをフォローしてくれると嬉しいです。

今回はVoicyが初めて新卒社員を迎えたときのことを振り返ってみます。サービスローンチから1年が過ぎたころ、突然、おっさん2人のスタートアップに女の子2人がやってきたのです。

みのりー

大企業から「派遣」されてきた新卒社員

「みのりー」の話をします。

みのりーはもともと「とある大企業」の新卒社員でした。その大企業がエンジニア候補としてほぼ未経験の大学生7人を新卒で採用したんですけど、育てる余裕がない。

「他の会社で半年ほど研修をしてくれないか」となったんですね。もちろん人件費はその大企業が払うわけです。

そこに偶然のつながりでVoicyも参加することになりました。「猫の手も借りたいくらいだからぜひやろう」と。なにより面白そうでした。このワクワクする冒険の日々を若い子に楽しんでもらえるんじゃないか。

その新卒の7人がそれぞれ3つぐらい受け入れ候補の会社をまわって、その会社がどういうことをやっているかというプレゼンを聞くわけです。

僕もプレゼンしました。「うちはこういうことを目指してるんだよ」っていう話をしたんですけど、まあうちの会社、何をやっているかもよくわからないんです。

アプリはリリースしたばかり。しかも当時はあまり使われていなかったですから。

ましてや40手前のおっさんが2人でやっているような会社です。そこに22〜23歳の大学を出たばかりの新卒社員が来てくれるのかと…。よく考えたら無理がある話です。

でも僕のプレゼンのときに一生懸命メモって、話を聞いてくれる子がいまして。真面目にメモをするところに隣の窪田さんがすごく感銘を受けていました(笑)

結局、「みのりー」と「あかよ」という女の子2人がVoicyに来ることになりました。大企業での半年間の研修を終えて、2017年9月から翌年2月までの約5ヶ月間です。

このときまだこの二人がVoicyを支えてくれる大事なメンバーになるなんて思ってもなかった。

部下を持ったことがない経営者

でも考えてみたら、僕も窪田も部下なんて持ったこともなくて、新卒社員の扱いなんてまったくわからないんです。

はじめはそれはそれは大変で、まずは歓迎会だとウェルカムパーティーやらウェルカム鍋会やら、いろいろやってみました。

この連載でたまに登場する三吉とか、当時からちょいちょい顔を出してくれていた京ちゃん(デザイナー)とかにも面倒を見てもらいましたね。

なぜか週末にみんなでマラソン大会に出たりとかもしましたね。

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自分たちでも放送してみよう!とか、パーソナリティさんのイベントをやろう!とか、グッズ作ろう!とか、そんな企画をたくさんこなしながら、窪田さんに教わってコーディングもしていました。

もちろん窪田さんはゴリゴリ書く人だしやることも山盛りで、新人に教えてる場合ではないんですが(笑

みのりーがプログラミングわからなくて、窪田さんに声をかけるんだけど、声をかけすぎて窪田さんの仕事が進まなくなるのが申し訳ないと。

それでみのりーの机の上に、「困ってる」か、「いま順調」かっていう、クルクルって回せる札を作ったんです。「困ってる」を出したら、窪田さんが気になった時に声をかけると。

そんなふうに僕と窪田と新卒2人でVoicyをまわしてる時期があったんですよね、ちょっと信じられないですけど。

端から見たら、おっさんの両サイドに女の子が2人という…「完全にこいつら間違った方向に行ってるな」っていうベンチャーになっているわけですよ。

だけど、その2人がものすごい頑張ってくれて、イベント運営だったり、パーソナリティサクセスだったり、本当にいろんなことをやってくれました。

1日でスポンサー募集を作り、売り上げる

実際どんなことやっていたんだろう。

自社のホームページを作ったり、アプリを一部作ったり、あとはパーソナリティの田端信太郎さんが突然、「自分の放送にスポンサー付ける」って言いだして、そのビジネスモデルを作らなきゃってなりました。

その日のうちに、Voicyで「スポンサー募集の告知出すぞ」って話になって、みのりーとあかよが価格を決めて、スポンサー募集のバナーとペライチのサイトを作って、Twitterで拡散して、すぐに広告主が付いて売上30万が決まるっていうのを1日でやってました。


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いま考えたら、よくあんなの1日でできたなっていう感じなんですけど、そのペライチのサイトには、「田端砲もつく!」とかいろいろなことが書いてあって、最後のほうには「詳細なルールが決まってない今がチャンス」ってあるんですよ。めちゃくちゃベンチャー(笑)

そんなことをしつつ、2月になると新卒2人は元の場所へ帰っていくわけですよね。

そしてお別れのときがやってくる

もともと2月で終わるって決まっていたんですけど、「1か月ぐらいなら延ばせます」って大企業のほうから言ってもらえました。

僕らは常に猫の手も借りたい状態で、実際ほとんどのことを猫の手2人で回していましたから、「1か月延長してください!」ってお願いして3月末に卒業ということになりました。

せっかくなので3月にみんなで合宿に行きました。お手伝いをしてくれたいろんな関係者をみんな呼んで9人くらいだったかな。合宿後にオフィスに戻って、最後にみのりーとあかよのお別れ会をやったら、みんな大号泣。

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みんなでオイオイ泣いていて、京ちゃんと「週1回ぐらい来てもらう?」とか言ってたんですけど、いやいやそこはダメだと、もうここはびしっとお別れしましょうと。

もともとすごいちゃんとした大企業の新卒社員なんだから、僕らみたいなこんな場末のベンチャーに置いておけるような人材じゃないからって追い出したわけです。寂しかったですね。

寂しくなったみのりーは…

4月1日になってVoicyの業務用アカウントが失効すると、まったくVoicyのメールやら連絡が来なくなる。特にみのりーはめちゃくちゃ寂しかったみたいですね。

そこからしばらく連絡はしていなかったんですが、数カ月後、とある有名な方がVoicyの放送を始めることになりました。みのりーがその人のことすごく好きで会いたがっていたのを知っていたので、Voicyアプリのオンボーディングをお願いすることにしました。

休日にVoicyオフィスに来てもらって、アプリの使い方や収録のコツなどを説明してもらいました。

ひととおり終わったあと、みのりーに会議室に呼び出されました。

みのりーは「やっぱりVoicyのことしゃべってたら戻りたいです」と言って泣きだして、まるで「安西先生…バスケがしたいです」みたいになってました(笑)

そのとき来ていた京ちゃんに「みのりー、戻ってきたいって言ってるよ」って言ったら、京ちゃんがダーッて泣いて、ウワーンみたいな(笑)

結局、みのりーは退職して、転職して帰ってきました。

その大企業の方にはちゃんと説明をして、「みのりーが採用を受けに来ました」と。「採らせてもらってもいいでしょうか」って。

向こうの人も「本人の意思なので仕方ないですね」「それはVoicyさんのせいじゃないです」とは言っていたけど、この他社への留学制度は次の年からなくなりましたね。

物心がつく最初のところで他の会社を見ちゃったら、こういうこともあるでしょうね。


ちなみに、もう1人の「あかよ」はいまも真面目に大企業で優秀なエンジニアとして頑張っています。ファンフェスタのときに手伝いに来てくれたりします。それもすごく嬉しいです。

「いつか自分たちが新卒採るときが来るのかなー」とか窪田さんと話してたのが、まさかのすごい早い時期に来て、いつのまにか、この社員たちがいてよかったって言う会社に、いつまでもいられる会社にしなきゃってかなり初期の頃から思うきっかけにもなりました。

そんな新卒のみのりーは、カンパニークリエイターという仕事をしています。カンパニークリエイターの仕事はまたいつか紹介しますが、このチームがいるおかげで会社はとっても素敵になっています。彼女がいなかったら今のVoicyはないのは間違いないです。

ワンピースのような仲間の集まり方ですが、これも起業の醍醐味だなと思いながら一緒に日々爆走してます。

ーー次回もよろしくお願いします。

声の編集後記



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