Voicyがライブアワーをローンチするにあたって考えたこと
こんにちは。Voicy代表の緒方です。7月14日、Voicyにライブ配信機能である「生放送」をローンチしました。その上で「Voicyライブアワー」という新しい体験を提供することにしました。
昨年のプレミアムリスナーに続く、大型アップデートです。Voicyがライブ配信をやる意義、そしてVoicyならではのライブ配信とはどのようなものか、ここでご説明します。
生放送はVoicyパーソナリティが文字通り、リアルタイムで収録・配信するものです。リスナーはより臨場感のある配信を楽しめます。Twitterなどでみんなで盛り上がりながら聴くという楽しみ方もあると思います。
さらにパーソナリティが招待すればリスナーも生放送に参加して話すことができます。そうです。これはあのClubhouse的な仕掛けです。
Voicyパーソナリティ同士、またはパーソナリティと常連リスナーによるコラボ収録ができるようになります。もしかしたら新しいパーソナリティが生まれるきっかけになるかもしれないですよね。
とはいえ、生放送の導入に踏み切るには勇気も入りました。
Voicyはこれまでライブ配信の魅力自体は認めつつ、新サービスとして採用することには慎重な立場だったのです。
生配信ができるのは「Voicyライブアワー」のみ
懸念としてはやっぱり生放送が中心になってしまうと、これまでのVoicyの良さが消えてしまう可能性もあります。なので、めちゃくちゃ考えた結果、生放送を使えるのは夜の20時から24時までだけです。
新機能として出しておきながら、なんと時間制限をします。
そこを「Voicyライブアワー」と呼び、その時間はVoicyでみんなが生放送をやってるよ!とプッシュします。平日は20時から24時、土日はそれに朝の8時から12時も加えます。
Voicyって基本的にグロースするときに何かを制限させることが多いですよね。誰でもいつでも自由にスマホからインターネットを楽しめる時代に、なぜか時間制限がある。
パーソナリティの審査もするし、チャプターごとに10分の制限もあるし、生放送を使える時間も制限する。制限しながらグロースさせるというのはちょっと面白いですよね。
今回のリリースに関して言うと、生放送と普通の収録ではやっぱり話すときの気持ちが違うから、制限がまた新しい文化を生むと思ってます。ライフフィットメディアを目指すVoicyとして新しい音声のある生活の時間帯を提案しようと思っています。
ライブ配信は良くも悪くもしゃべる側のハードルが低い
ライブ配信は誰でも簡単に話せるんです。濃く繋がっているリスナーさんだけが集まってくるので話しやすい。リアクションに反応していくだけでいいんです。
聞いているほうも、同じ時間を共有していることで内容に対するハードルが低くなって、要は「何でも楽しくなる」感じがあるんです。
そこに一定の甘えみたいなものが生まれてしまい、ここにハマりすぎると長い目で見るとお互いにとって良い結果にならないと思っています。
ライブ配信で話しているとき、パーソナリティは意外とリアクションに敏感です。いまどういう人が聞いているのか、どんな反応があるのか、かなり気にしています。それによって話し方を変えることもあります。
いま目の前にいる人だけに向けたコンテンツだけが残っても、バランスが悪いというのもありますし、しっかりとアーカイブされて歴史に残るような良いコンテンツも増やしていかなければと思っています。
そこはちゃんと、今だけじゃなく届くようにしたいですし、パーソナリティさんにも今だけ消費される存在になってほしくないと思っています。
じゃあなんで「生放送」を始めるのか。もちろん良い面もたくさんあるからです。
ライブ配信は後発だからこその工夫を
ラジオ番組を聞いても、やっぱりライブならではのリスナーの盛り上がりはすごいものがあります。やっぱり同じ時間を共有しているという体験は全然違う。ライブという新しいコンテンツをつくるのはいつかやりたかったんです。
でも、従来の音声収録とどうやって上手くバランスをとるかは考えなければいけなかった。ライブって始まったら「皆さん、どうもこんにちは。あ、〇〇さんも来ましたね。そろそろ始めましょうか」みたいになるんですけど、そういう部分は切りたいと思ったんです。
すでにライブ機能自体はたくさん先行サービスが出ていて、ことライブに関してはVoicyは後発なんです。後発だからこそ、見せ場をつくらなくてはいけない。
その中でライブ配信自体がちゃんとアーカイブされるコンテンツになること。そして、同じ時間に同期していることの魅力は失わないこと。そういうところをしっかりと考えてつくりました。
それから意外とVoicyには対談系のコンテンツが少ないんです。1人で話すパワーのある人が多い。けれど対談コンテンツってパーソナリティの新たな魅力を引き出せるはずなので、それを促す仕組みというものがほしかったんです。
そうしたときにコラボ放送はぜひやりたくて、最大4人まで喋れるようにしました。ここはClubhouseに近いかもしれません。Voicyではさらにアーカイブもできます。
Clubhouseの影響は大きかった
それから、よくわからない話題について誰かがしゃべっている自体には皆も興味がないだろうと思っていました。だからルームができたところに人が入るのではなく、パーソナリティ自体がルームをつくって、リスナーをゲストに呼べる。そういう「〇〇の部屋」という形にしました。
結局、誰と誰がしゃべっているということが見えるだけで人が寄ってくる。Clubhouseのルームの選び方ってその中身よりも人だと思ったんです。
どうせ長くしゃべっていたら話も変わってくるし、人にちゃんとフォーカスできていればいい。ここはむしろVoicyと相性がいいなと思いました。Voicyはずっとパーソナリティという人を推してきました。
やっぱりいろいろなところで今年初めのClubhouseの影響というものはありました。もともとライブ配信はやろうと思っていたけれど、1回ブレーキを引いて、Clubhouseがどういうふうになっていくのか、じっと見ていたんです。
その結果、かなりの方向転換をしました。配信できる時間を分けるのも僕らとしては大きな方向転換でした。
フローとアーカイブの両立を目指した生放送機能
ライブをやろうと決めたのはもう1年以上前です。ライブ配信とコラボ収録のパンチ力は相当あるということは明確に感じていたんです。ライブは1つの武器になる、と。
ただ、もともとのアーカイブされるVoicyの世界観を壊さないで、それでいてClubhouseのように一時のフロー的な盛り上がりにとどめないように。そこを両立できる状態は何か?ということを、考えに考えました。
リスナーさんはVoicyでフォローしているパーソナリティがライブ配信を開始するときに通知がくるようになります。
そして聴きながら「こんな話をしてほしい」みたいにお題や質問を投げることができます。お便りに近いですね。そのメッセージはパーソナリティだけが見えます。
ライブ配信というと、リスナーのコメントがダーッと流れるようなUIをイメージすると思いますが、Voicyの生放送ではパーソナリティだけに届きます。お便りです。どちらかというとラジオ放送をIT化した感じでしょうか。
リアルタイムな盛り上がりを楽しむにはたとえばTwitterでハッシュタグを使うといいでしょうね。
発信者のクリエイティブを邪魔しないバランス感
これもいろいろなパターンを考えましたが、放送画面の中でコメントが流れると、たしかにリスナーとしてはコメントを打ちやすいし、達成感もあるんです。
ただ、パーソナリティとしてはしゃべっているときにリアルタイムでリスナーからどんどんコメントがきたら、すごく気になりますよね。実際は全部に目を通すことも、拾うこともできないですし。
発信者のクリエイティブを邪魔しないことも大事だと思っています。邪魔はしないけれどお助けはする、それくらいのバランスはどこにあるのかを考えました。
そう、結局いろんなバランスが大事なんですよね。「こうしたいけれど、こうはしないように」みたいなことの連続の機能です。今回は特に、便利なものを入れたらいいというものではなくて、いかにバランスを考えるかにこだわりました。
攻撃力の高い武器を突っ込むので、相当上手くやらないと暴れそうな感じです。
もちろんこの生放送機能は完成形ではなくて、ここからもさらに、実はあと2、3段階先のステージまで考えています。そこは楽しみにしておいてください。
新しい話し手が登場することにも期待
Voicyに生放送が加わることで、これまでになかった新しい話し手が登場したり、コアで面白いリスナーがしゃべったりすることができるようになる。そうすると、コンテンツの幅が一気に広がると思うんです。そこにはすごく期待しています。
僕も毎晩ライブをやって、Voicyパーソナリティの皆さんと話してみたい。もちろんリスナーさんにも参加してほしいです。
Voicyのパーソナリティ同士も一緒に配信しやすくなる。毎日20時〜24時はちょっとVoicyを立ち上げて、ウロウロと聞いて回って、呼ばれたらしゃべってみる、みたいな楽しみ方が生まれるといいですね。
いまは久しぶりの大型アップデートにわくわくしています。みなさんよかったら使ってみてください。
ワクワクを声でもお届けしてます。ぜひ聞いてもらえたら嬉しいです!
サポートも嬉しいですが、スキやシェア、パーソナリティさんへコメントなどVoicyの応援もらえたら嬉しいです!