わたしのたからもの(日記97)
おだやかな毎日を送ることができるなんて、夢にも思っていなかった。
同居人氏1と同居人氏2におはよう、おはようと言って、リビングに集まる。
実習が始まって、家を出る時間が早くなったわたしは、まず朝、シャワーを浴びる。
シャワーを浴びたら着替えて、お昼ごはん用のおにぎりを、2個つくる。
同居人氏2はおにぎりに目がないので、横取りされないように、注意が必要だ。
このおにぎりはわたしの!と言いながら、せっせと水筒も準備する。
お水と、アイスコーヒー、2つの水筒を持っていってる。
それらの準備が終わったら、しっかり鞄にしまって、今度は朝ごはん。
同居人氏1が目玉焼きを作ってくれる日は、豪華な朝ごはん。
だいたいは、ひとりでもぐもぐ、なっとうごはんを食べる。
食べたら歯を磨いて、お化粧の時間。
最低限の、でも自分が好きだなと思える、お化粧をする。
それが終わったら、10分、ゆっくりする。
アイスカフェラテをちびちび飲みながら、同居人氏たちと他愛ない話をする。
7時35分になったら、出発だ。
いってくるよー!と大きな声で言うと、2人は必ず玄関まで来て、見送ってくれる。
いってらっしゃいの声に背中を押されて、駅までてくてく歩く。
履き慣れないパンプスも、実習が始まって、だいぶ板についてきた。
帰る頃には足がむくんでゾウさんみたいになっちゃうのも、ご愛嬌。
今日は、行きの電車が、いつもよりちょっと混んでいた。
車内の人も多いし、たびたび駅と駅の間で停車する。
これは、わたしの苦手なパターン。
パニック発作の気配を感じたから、すぐにお薬を飲んで、目を閉じた。
すぅ、はぁ、すぅ、はぁ、呼吸に意識を向ける。
就労移行支援で教えてもらったこと。
呼吸に意識を向けて、今、ここだけを考える。
呼吸の音だけを、聞く。
すぅ、はぁ、すぅ、はぁ、としているうちに、ふと目を開けたらすこし車内は空いていて、パニック発作の気配も去った。
工夫して対処できたぞ、よしよし、と、思った。
実習先では、いろんなお仕事を経験させてもらっている。
日替わりで担当の方が変わるけれども、みなさん親切で、とても安心して実習できている。
どんなことに配慮したらいいですか?と、必ず聞いてくださる。
だから、自分の性質を伝えて、このように対処しているけれども、こういうふうにしていただけるとより安心して業務に取り組めます、と、お伝えする。
それだけで、気持ちが全然ちがう。
あくまで実習だけれども、いま、生まれて初めて「自分の70%くらいの力で仕事に取り組む」ということが、できている。
だから、疲れすぎない。家に帰っても、ぐったりして、動けないってことにならない。かと言って、過活動でもない。
お家に帰ったら、ほっと休憩して、それから、同居人氏たちと協力しながら、おうちのことに取り掛かる。
笑うことが、多くなった。
ここちよいと感じることが、多くなった。
何かが劇的に、ある日突然変わったわけじゃない。
気がついたら、ゆっくりゆっくり、今の場所に辿り着いていた。
思い描いてもみなかった、おだやかな毎日に、辿り着いていた。
また波は必ず来るのだけれども、それを不安に思うことも、少なくなった。
いつか来ることは絶対なのだけれど、それよりもいま、この目の前にあるおだやかな毎日が、なによりもうれしい。
このおだやかな毎日は、わたしの手の中に見つけた、わたしのたからものだ。
大事にしよう。
ぎゅっと両手でつつんで、胸にしまおう。
こんな毎日をくれる2人と、こんなふうに過ごすことができるようになった自分に、ありがとうって言いたい。
たからものを、ありがとう。
だいじにするよ。ぜったい。
ありがとう、ありがとう。
投げ銭?みたいなことなのかな? お金をこの池になげると、わたしがちょっとおいしい牛乳を飲めます。ありがたーい