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かぞくのこと(復職日記38)

独居の祖母のこと、大丈夫そうにみえて、わたしたちの知らないこといっぱいあった。

祖母のそばには、お父さんのお兄ちゃん、長男家族が住んでいるのだけれど、とっても仲が悪い。


長男のお嫁さんと、おばあちゃんが激烈に仲が悪い。
だから、おばあちゃんに会いに行くのは、長男だけで、誰も他は会いに行かない。


おばあちゃんも悪かった、と、うちのお母さんは言ってた。


せっかく来てくれたお嫁さんに対して、めちゃくちゃ厳しくして、それも一回だけじゃなくてずーっとしてて、そりゃ、嫌われて当然だ、って言ってた。


実は昔、わたしもおばあちゃんが好きじゃなかった。たまにおばあちゃんちに遊びに行くと、おてんばな弟はよく怒られたし、お母さんにも厳しい感じがしたから、好きじゃなかった。


弟と、こっそり、「お父さんのほうのおばあちゃん、嫌いだよね」と言い合ったこともある。



あるのだけれど。



いま、独居の祖母は、体の調子を崩している。
わたしたちが知らなかっただけで、実は、5月に手術をしていたことも、昨日わかった。


お父さんのお兄ちゃんである長男も、おばあちゃん自身も、何にも教えてくれなかった。



祖母は腎臓が悪くなっていっている。
このまま行けば透析だと言われている、らしい。



手術したときに、どうしてケアマネジャーの方々などと繋がれなかったのか、悔やまれて仕方ない。
5月にもし、福祉と繋がれていれば、今もまだ、1人で調子が悪くなったりしていなかったかもしれない。


全部お父さんのお兄ちゃんに任せっきりにしていたわたしたち家族も悪いんだよ、と、お母さんは言った。



でもわたし知ってる。
お母さんとお父さんが、できる限りおばあちゃんに会いに行ってたこと知ってる。
ゴミを溜めがちなおばあちゃんのところに行って、行くたびにおうちをキレイにしたり、車に乗せてわたしたちの家に連れてきて、1ヶ月くらいはこっちで一緒に暮らしてたのも、知ってる。


なんでこうなっちゃったんだろう。
どうしておばあちゃんは何も言ってくれなかったのか。
どうしてお父さんのお兄ちゃんは、手術のこと黙ってたのか。
最近おばあちゃんが調子が悪いことも知ってた、って、お父さんのお兄ちゃんは言ったのだと聞いた。
じゃあどうしておばあちゃんは、ひとりなの?


おばあちゃんも悪い。それは痛いほどよくわかる。でもこのままじゃ、みんなが後悔することになる気がする、と、お母さんは言った。
わたしもそう思った。


大人はバカだ。
見栄や建前なんかで、本音を隠して、事態を余計ややこしくさせる。



わたしも含めて家族みんな、バカだ。
そのツケを、おばあちゃんが1人で払ってる。



おばあちゃんがどんなに意地悪でプライド高くて厄介でも、調子が悪いのにひとりぼっちで居ていいわけがない。
家族みんなで、協力して、よりよい生活を送れるように、なるべく手助けするべきだ。


うちの実家に来てもらうのか、おばあちゃんの住んでる場所の福祉と繋がるのか、どっちにしても、どうにかしなきゃなんない。



わたしってほんとに無力だ。
わたしがしっかり働いて財力もあったら?
いまもっと何かできることあったんじゃないの。


わたしはお母さんの話を聞くことしかできない。
お父さんの話を聞くことしかできない。


お父さんは単身赴任で、お母さんは今一人暮らし。
おばあちゃんを実家で迎え入れるとしたら、お母さんがおばあちゃんと付きっきりになる。


わたしはそれがすごく心配で、お母さんが無理することになっちゃうよ、どうせお父さん帰ってこないんだよ、と言った。おばあちゃんは、お母さんの実の親じゃないんだよ、と言った。


お母さんは、


実の親もなにも、もう35年以上家族として関わってるんだから、実の親みたいなもんだよ。1人暮らしさみしいなあって思ってたから、おばあちゃんが来てくれたら、わたしは嬉しいよ。おばあちゃんも悪い。嫌われるようなことしちゃったんだから。でも、お父さんのお兄さんは、1人でずっと様子を見ててくれたんだから、それを感謝しこそすれ、様子見るのが足りなかったんだ!って怒るのは違うよ。ただ、嫌われすぎてあんなに近くにいるのに一緒には暮らせない、ってことが問題なだけで。とりあえず、お父さんが、お兄さんと話をしてくるって言ってるから、それで話をつけて、おばあちゃんがこっちに来るならそれはそれでいいよ。


と言った。



わたしはお母さんのこういうところが、大好きなんだ。でも、わたしはお母さんのこういうところが、本音なのか建前なのか、わからないんだ。



おばあちゃんに、つらい思いしてほしくない。
お母さんにも、つらい思いしてほしくない。



わたしはバカで無力だけど、手伝えることは、手伝うんだ。
後悔したくないから。
誰にも後悔してほしくない。
お父さんにも、お母さんにも、そして、おばあちゃんにも。




書き殴ったら、ちょっと落ち着いた。
今日も仕事、がんばろう。


投げ銭?みたいなことなのかな? お金をこの池になげると、わたしがちょっとおいしい牛乳を飲めます。ありがたーい