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家族の危機(日記79)

今日は、昨日起きたできごとを、書き留めておこうと思う。
同居人氏1がたおれて、救急車を呼んだ。
今はもう元気になっているので、大丈夫なんだけれども、忘れないために、書いておく。



ここのところ、同居人氏1は、頭を痛がっていた。
もともと偏頭痛もちではなかったはずなのだけれど、最近の症状は、聞くと偏頭痛そのもので、その都度痛み止めを飲んで、やり過ごしていた。


一度、ものすごく痛がったことがあって、痛みが数時間にわたって続いたものの、あるときぴたりと止んで、けろっとしていた日があった。



ものすごく激痛だったらしいのだけど、ぴたりと止んだものだから、同居人氏1も、わたしも、同居人氏2も、油断していた。


昨日の昼下がり、自室でのミーティングを終えて、部屋からでてきた同居人氏1は、顔が真っ青だった。
真っ青なのに、尋常じゃないほど汗をかいている。


足取りはふらついて、意識はもうろうとしている。

しきりに、頭が痛い、頭が痛い、と言う。


わたしは実習の昼休み中で、お昼ごはんを食べているところだった。


大慌てで同居人氏1に駆け寄り、体を支えるも、そのまま寝転んでしまった。


頭を抱えて、唸り声をあげる同居人氏1をみて、すぐに、「#7119」のことが頭に浮かんだ。


救急車を呼ぶかどうか迷ったら、ここに相談してください、というものだ。


わたしはすぐに、#7119に電話して、事情を説明した。
対応してくれた看護師さんは当たり前だけどとても冷静で、こちらも少し冷静になることができた。


このまま救急車を呼ぶことができます、と言われたのだけど、同居人氏1が、救急車を呼ぶことにうんと言わない。
こんなに痛がっているのに、まだ、救急車を呼ぶことにためらいがあるようだった。


本人の同意がないと救急車を呼べない、とのことだったので(これはわたしが血の繋がった家族じゃないからだと思う)、いったん電話を切って、もう一度同居人氏1を説得する。


なんとか説得して、救急車を呼ぶと、ものの3分で来てくれた。


でも、ここからが長かった。
受け入れ先の病院が決まるまで、とても時間がかかった。


1番最寄の病院に断られ、2番目の病院にも断られ、3番目の病院でなんとか受け入れてくれることになり、救急車は出発した。


救急隊員の方は、とても親切だった。
受け入れ先の病院から、同居人氏1のご家族に、念のため連絡をとってほしいと言われて、救急隊員の方が連絡するも、繋がらず、わたしが代わりにずっと電話をかけ続けた。


これもわたしが、「同居の家族」ではなくて、あくまでも戸籍上は何の繋がりもない「他人」だから、ほんとうのご家族の同意が必要だとのことだった。


このときに、ほんとうに、「ああ、わたしたちが戸籍上のつながりのある家族だったなら」と、思った。



病院に搬送されて、救急センターに同居人氏1が運ばれてゆく。


そのタイミングで、やっと同居人氏1のご家族と連絡がとれて、事情を説明した。


同居人氏1のご家族は、医療関係者なので、事態を冷静に受け止めてくれて、電話を切った。


待合室で待ちながら、同居人氏2にも連絡をとる。
このとき、わたし1人じゃなくてよかったな、と思った。


2時間くらいすると、同居人氏1が、救急センターから歩いて出てきた。


CT検査をして、脳に異常はなかったということだった。
その結果を聞いて、とてもほっとした。


偏頭痛の大きな発作かもしれない、頭痛外来に行ってください、との指示で、自宅に帰ることになった。


帰り道のタクシーでも、同居人氏1はぐったりしている。
まだまだ頭が痛いようで、痛みの度合いは変わらないみたいだ。



なんとか同居人氏1を支えながら自宅に戻り、布団に寝かせる。


ほどなくして同居人氏2が帰ってきてくれて、2人で様子を見守った。


夜6時を過ぎたころ、同居人氏1が泣き出した。



痛くて痛くて耐えられない、このままじゃ夜眠ることもできない。


痛みにとても強い同居人氏1がこんなにも弱音を吐くというのは、相当なことだ。
急いで、夜間もやっている頭痛外来を探した。


運良く、タクシーで行ける距離に頭痛外来があり、夜8時半までやっていたので、事情を説明して、診ていただくことになった。


同居人氏2に家を任せて、タクシーで同居人氏1を病院に連れて行く。


同居人氏1は、昼間から続く激痛で、もはやぐったりしていた。


病院に着くと、親切な受付の方が迎えてくださり、次々と検査や処置を受けていく、同居人氏1。



医療用酸素や注射、MRI検査を行って、検査にはやはり異常はなく、やはり偏頭痛のものすごく大きな発作か、もしくは「群発頭痛」とのことだった。


専門の先生に診てもらって、幾分表情が和らいだ同居人氏1が、診察室から出てきた。
偏頭痛用のお薬をたくさん出してもらって、ひとまず安心した。


受付の方にお礼を行って、もう一度タクシーで、自宅に戻った。


帰ると、同居人氏2が心配そうな面持ちで待っていてくれて、検査に異常はなかったことを伝えると、ほっとした様子だった。



もらった薬を飲んだものの、なかなか薬が効かず、夜中も苦しんでいた同居人氏1。


同居人氏1が起きだすたびに、同居人氏2が寄り添ってくれていた。


朝方、ようやくぐっすりと眠れている同居人氏1の寝顔を見て、ようやくほっとする。


今日も1日、まだ痛がっていたけれども、昨日よりは落ち着いていて、夜8時の今、痛みはほとんどないようだ。



今回の一連のできごとを振り返って思ったのは、やっぱり、いくら自分たちが家族だと思っていても、制度の壁は厚いなと思った。


わたしたちは法的に家族ではないから、いざという、昨日みたいなときに、わたしは、付き添うことはできても、まったくの無力だった。


こうした思いをするひとが、世の中にはたくさんいるのだろうな、と思った。


けれども一方で、法的な家族ではないけれども、わたしにとっては同居人氏1も同居人氏2も家族なので、倒れたときにそばにいれて対処できたことは、ほんとうに不幸中の幸いだったな、とも思った。


痛みにつよいからと言って、我慢を重ねてしまうと、ほんとうに大変なことななってしまうということもわかったので、これからは、2人が何かを我慢している様子だったら、しつこく早めの受診を進めようと思う。


みなさんも、偏頭痛だからと甘く見ずに、できれば病院にかかってくださると、うれしいです。


ひとまず今夜は、同居人氏1が、痛みなくおだやかに眠れますように、と、願っている。

投げ銭?みたいなことなのかな? お金をこの池になげると、わたしがちょっとおいしい牛乳を飲めます。ありがたーい