見出し画像

翌る



余裕を持って生きるというのはしんどいものだ。

毎日張り詰めている緊張感と吐き気がしそうなほど苦死く、狭い世界に生きている。その中に救いとなるのはなんだろう。毎日霧がかかっているこの世の中を晴らせるもの。

私の場合必ず「音楽」と答えるのだが、最近はそれが本心なのか分からなくなっていた。毎日サハラ砂漠のような広大な土地に足を踏み入れ、時々見つける小さなオアシスで休息をとる生活。その中に音楽という存在がいて何になるのか。様々な意見が欲しいところだ。しかし最近、音楽が人々の癒し(ちょっとしたオアシス)になるということがわかった気がした。

敷かれたレールに沿って生活する人生に少しの調味料を加えてみよう。その調味料が音楽という調味料。例えば通勤・通学時間。狭く寒いのか暑いのかわからないトンネルに沢山生えている薔薇。様々な思いが込められて一心不乱に咲き乱れる、いや枯れているという表現の方が好きだ。その狭い空間に癒しを求める。イヤホンから流れる好きな曲、まさしく大自然の中から聞こえてくるであろう猛々しく華奢な清流の音。この表現は決して誇張などしていない、本当のことだ。歌詞ひとつひとつにいろんな想いが込められていて、背中を優しくさする。音楽にはそんな力があると思っている。上京して一人暮らしをするようになってようやくわかった気がした。

私は毎日電車の中で本を読むという癖をつけている。元々読書はあまりしないタイプであり、非常に飽き性という腫瘍を抱えている。しかし、村上春樹の作品をふとしたきっかけで読むようになり、読書の楽しさを知った。読み終わった後にネットで色んな人の考察、解説を見るのがすごく好きだ。最後は風になった、この物語自体夢の中だ。など、様々な解説にしっかりと理由がありどれも納得してしまうのだ。すごく面白いと思った。電車の中で本を読む際、すごく小さな音量で「青葉市子」を流すのが日課になっている。私の好きな青葉市子の曲は「機械仕掛乃宇宙」だ。優しく儚いクラシックギターの音色の中に秘められている力強く何かを訴えるようなあの音。電車で揺られながら聴くと1日が始まる、そんな気がする。

翌る日も毎日優しさに包まれていたい

この記事が参加している募集

#自己紹介

231,067件

大好きなお茶漬けやドライいちじく食べます!