結局、撃ち合いなのか?
どうも、おふとんです。
先日、高田馬場で開催されたRJIに参加してきました。
「note読んでます。」と何回か会場で声を掛けていただき、結構嬉しかったです。
そして優勝したBDSは強かったですね~。流れを渡さない力強さを感じました。Majorにも期待が膨らみます。
さて今回はそんなBDSも関係がある話題について書いていこうと思います。是非最後まで読んでいってください。
1.結局、撃ち合いなのか?
RJIで優勝したShaiiko, LikEfacを擁するBDS、Majorで優勝したSpoit, Kanto, Crynを擁するRogueなど直近のシージの大きな大会では撃ち合いが強いイメージのあるチームの台頭が目立っています。
特にこの2チームはランクマッチ界で異彩を放っていたLikEfac, Spoitを獲得し話題になったため、その印象が強いかもしれません。こうしたチームの台頭に伴って、撃ち合いが強いチームこそがシージで勝つというような風潮が以前と比較して強くなってきた気がします。
だからといって、シージは結局、撃ち合いなのか?というとそうではないと思っています。
もちろん撃ち合いの重要度が以前と比較して増していることは事実として、あると思います。しかしながら、現状としてシージが一定の方向性に向かっているからこそ、それに付随して撃ち合いが求められているだけであり、撃ち合い自体が全てを決定づけているわけではないというのが僕の結論です。
次の章から、その方向性となぜそれに付随して撃ち合いの重要度が増してきたのかについて書いていきたいと思います。
2.「丁寧で遅い攻め」の限界
以前の記事(ロジカル vs ギャンブル)で書いたように、少し前までのシージでは、過剰なリスクは避けながら論理的なアプローチでラウンドの展開を作っていくような攻めが主流でした。
こうした攻めを遂行するにはミスを極力減らす必要があるため、相当練度が高くない限りは丁寧で遅い攻めになりがちです。しかし時間が経つにつれてこうした攻めにも限界が来てしまいました。
限界が来てしまった理由としては、どれだけ強い攻めであっても絶対に弱点が存在するからだと思っています。
弱点が一つも存在しない攻めがあるとするならば、攻撃側5人全員のドローンフェーズ~設置~ラウンド勝利までの一挙手一投足が防衛側にバレていたとしても勝てるような攻めですが、少し想像してみればわかる通り、そんな攻めは存在しません。
攻撃側がコントロールしていないエリアからC4突き上げ等でキルを拾う、攻撃側がケアしきれないタイミングで撃ち合いを仕掛けて攻撃側が当初のプランを遂行することが難しいほどの損害を与えるといった具合に、攻めのコンセプトと攻撃側5人の動きさえ読み切れていれば、防衛側が攻めのコンセプトを崩すことは簡単なのです。
プレイヤーのレベルが上がった昨今では、どれだけ論理的で強い攻めであっても、1つのコンセプトを3分間かけて丁寧にゆっくりと遂行する攻めは防衛側に読まれてしまい、弱点を突かれてしまいます。
3.「雑で速い攻め」という解答
2章で説明した通り、どれだけ強い攻めであっても3分間かけてゆっくり丁寧にやる攻めは防衛側では対応されやすくなってしまいます。
こうした状況に対して解答になるのが、その逆の「雑で速い攻め」ということになります。
「丁寧で遅い攻め」が限界を迎えてしまった要因は他ならないその遅さにあり、この問題点を解決するには攻めを速くするしかありません。
しかしながら、(特に試合が毎週配信され、敵チームに対策が取られやすいトップレベルにおいて)丁寧さを維持したままミスのないように速い攻めをできるようにすることは非現実的です。
だからこそ、雑でもいい、多少のミスは仕方がないと割り切ってでもスピーディであることを重視した攻めを遂行する「雑で速い攻め」が解答策として選ばれたのではないかと思っています。
4.「雑で速い攻め」をするには
しかしながら雑でもいい、すなわち多少のミスを許容するには、それに準じた攻めを設計する必要があります。
それに必要な要素が以下の3個だと思っています。
・チームで統一されたリスク許容度の設定
・状況を踏まえての判断スピードの速さ
・撃ち合いの強さ
それぞれについて解説していきます。
4-1.チームで統一されたリスク許容度の設定
「雑で速い攻め」を遂行するには、一定程度のリスクを許容する必要があります。なぜならリスクを許容できなければ、ケアをする部分が多くなってしまい、必然的に時間がかかってしまうからです。
しかし、リスクも個々人の判断でやたらめったら取っていたら、連携もへったくれもなくなってしまい、チームとしての攻めをそもそもすることが難しくなってしまいます。
そこで必要になってくるのがチームで統一されたリスク許容度の設定です。
チーム全体で、「ここまでのリスクであれば取っていいよね」というラインについて共通認識を形成することで、チームとしてどういう動きをするのかの見通しが立ちやすくなります。
具体的な例を出すと「1vs1であれば積極的に勝負する」というリスク許容度の設定などが考えられます。
こうしたリスク許容度を設定することで、チームとしての動きを統一しやすくなりますし、「1vs1なら迷わず勝負していいんだ」という心理が働くことで選手個々人の判断スピードが速くなり、結果的に攻めのスピード向上にもつながります。
4-2.状況を踏まえての判断スピードの速さ
「丁寧で遅い攻め」には基本的に事前に攻撃のコンセプトと攻撃側全員の基本的な動きが決まっていることが多いです。というのも事前に決め事を細かく設定しないと、ケアの漏れやミスが発生しやすくなるからです。
一方で、「雑で速い攻め」においては「丁寧で遅い攻め」と同様のアプローチをとることは難しいです。なぜならば、「雑で速い攻め」においては一定程度リスクをとるため、カオスが発生しやすくなり、ラウンドの進み方に再現性がないことが多くなるからです。
こうした状況下で決め事を細かく設定してしまうと、リスクをとった結果その決め事を全うできない場合に混乱が生じる可能性があり、攻めがグダグダになってしまう懸念があります。
以上の点を踏まえると、「雑で速い攻め」をするには、最初こそざっくりとして攻めの方針や選手の動きを決めるものの、ラウンドが進む中で得た情報や人数の有利・不利状況等を踏まえて、その都度どういった形で攻めをするのか判断をする必要があり、また攻めのスピード感を失わないためにこの判断をスピーディに行う必要があります。
そして、このようなことからIGLを中心とした選手たちには、多少雑でもいいから素早く判断をすることが求められるのです。
4-3.撃ち合いの強さ
これまで書いてきた通り、「雑で速い攻め」をするにはスピード感を担保するためにリスクを一定程度とるということが付き物です。
しかしながら、リスクをとるということはすなわちミスが発生したり、不利状況に陥ってしまうことがあります。こうしたミスのリカバリーや不利状況の巻き返しという観点において撃ち合いの強さが重要になってきます。
いかがだったでしょうか。
最終的には撃ち合いの強さも重要であるということは書きました。
ただここで強く言っておきたいこととして、撃ち合いの強さというのは、飽くまでとったアクションが失敗した際の保険、あるいは少し無理のある動きを可能にするものであり、チームとしての攻めの根幹ではないということです。
ここまで書いてきたリスク許容度の設定や判断を速くするといった土台となる部分がしっかりとしていないまま、ただ撃ち合いの強さだけを携えても「雑で速い攻め」を機能させることはできません。
これこそが「結局、撃ち合いなのか?」という質問に対する答えがNOになる所以であり、皆さんにぜひ意識してほしいことです。
こうした観点を持つことで、撃ち合いだけではないチームの強みという部分も見えてきて、次のMajor観戦も面白くなるかもしれません。
それではまた。
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