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ポーカー業界がどうしてクリーンなイメージを作ろうとしてるのかの邪推

はじめに断っておきますが、本記事はあくまで筆者の知識による邪推と雑感の走り書きですのでご承知おきください。

さて、過日大阪にあるアミューズメントカジノにおいて賭博行為を行ったとして日本ポーカー協会の理事を含む逮捕者が出たというニュースがありました。

これを受けて筆者のSNS上ではポーカーは賭け事だろ、とか賭けないポーカーを流行らせることに意味があるのか等の意見がたくさん回っていますので、個人的に思ったことを書いていこうと思った次第です。

1 ポーカーは賭け事?ゲーム?

今回の話の原点にある話題として
「そもそも賭けないポーカーは面白いのか、賭けないことポーカーでもモチベーションが沸くのか」
というものがあるように感じました。
そこから派生して、ゲームとしてのポーカーとギャンブルとしてのポーカーの魅力、合法化するにはどうしたらいいのか等の話題がでていると感じます。
筆者もポーカーを楽しむ一人のユーザーであるので、周りにはポーカーを趣味としている人が多く、ポーカーというゲームの楽しさに魅力を感じている人が多いことは確かです。
古くは映画や小説など、昨今ではYoutubeなどの媒体を通してポーカーはカジノで行うゲームであり、そこには金銭的な勝ち負けがあるというパブリックイメージが定着しているのは事実だと思います。

また運要素があるため、ギャンブルとしての側面が強いという認識が持たれていることも事実です。また、それゆえ賭博と分類され日本では賭けポーカーは現状違法であるという認識も多くの人が持っていることと思います。

このポーカーの魅力と賭けることの関係性について、ポーカープロでありYoutuberとしても活動している「世界のヨコサワ」氏は動画にて、
・前提として自分はポーカーは賭けたほうが面白いと思っている派なので、海外を拠点にしてカジノでポーカーをする動画等を多数あげている。
・しかし、そもそもポーカーというゲームはとても魅力的なゲームなので日本の人たちにももっと広まってほしいし、そのうえで賭けることができればより面白いので、賭けることも合法化してほしい。
・しかし、合法化にも時間がかかる。
・合法化にはポーカーというもののイメージをギャンブルで悪というものから、クリーンなイメージにしていった方がよい。
・麻雀などのゲームも賭けることがある意味お目こぼしされている状態だが、ポーカーが同様にある種あきらめのような感じで合法化されるのは時代にそぐわずメリットが少ない。
と述べています。

一方、ポーカープロの木原直哉氏はTwitterにて、この動画を引用し
・ヨコサワ氏の動画については大枠同意だが、
「お金を賭けたほうがポーカーは面白くなる」
「ポーカーを合法化するためには業界をクリーンにする必要がある」
については違う意見を持っている。
・自分はたまたまポーカーで勝ち、その勝ち分で生活ができる才能があったのでプロとして生活している。お金が賭けられるという点が魅力だからポーカーをしているわけではない。そのため自分はサイドギャンブル(ルーレットなどのカジノにあるほかのギャンブルゲーム)をほとんどしない
・日本で賭けポーカーが合法化することによるユーザー増加はそこまで見込めず、多くのユーザーは引き続きお金を賭けないで遊ぶことを選択すると考えているので、合法化はポーカーの普及につながりづらいと思っている。
・「クリーン」の定義が分かりづらく、業界の分断を招くだけな気もしている。
・自身のブランディングも含めてクリーン側に多少の協力はしてもよいと思っているがモチベーションはそこまでない。
としています。

同じようにポーカーを通して金銭を得ている人でもこのように違う意見を持っていますが、自分としては以下のように考えています。

・大前提として、ポーカーはある程度運要素のあるゲームだからこそカジノゲームとして成立し、愛好家が多くなった側面はあると思う。
・しかし同様に、ある程度腕の要素もあるからこそ、その競技性に魅力を感じてプレーしている人も一定数いる。
・どちらの側面からも勝って快感を得ることができる競技として、都合よくとらえられていると感じる。
・金銭的な勝利は快感の成果として目に見えやすいため、賭けを行いたい気持ちも理解できる。
・賭けポーカーが合法であれば、それで小遣い稼ぎができる、あるいは生活ができると考えている人も一定数いるのも理解できる。
・合法化により、そういった勝利に夢をみる層に競技の裾野を広げることはできる。これはIRのニュースを聞いてポーカーに興味を持った層が一定数いることからそのように考える。
・様々な方向性の魅力を発信することで、どれかに魅力を感じた人が競技に入ってきて、市場が拡大する可能性は高くなる。
・その際、現金を賭けることが特定の場所以外では違法である、つまり近場では勝利しても金銭的にプラスにならないという理由だけで参入しないという人がいるのも事実としてある(それならパチンコ屋にいくという意味で)。
・よって、合法であるというイメージを与えたほうが競技人口の拡大にはつながると思うので、商業的な機会獲得は多くなるため、大阪IR以外でも合法にプレーできる場所が増えるよう活動するのはよく、そのために団体を作るのも納得できる。
・ただし、そのようにして獲得した顧客のうち競技性を求めて真剣にプレーしたりする人の割合はあまり変わらないと思う。
・またカジノで大金をかけて勝負しようと思う人間の割合は結局資金力のある人間が増えなければ変わらない。

2 合法化のためには業界がクリーンでないといけないと考える理由の推察と雑感


ではなぜ、合法化のために業界がクリーンなイメージを持たなければならないと彼らは考えているのでしょうか。
簡単な話として、大儀がそのほうが掲げやすいからです。

合法化のシナリオというのは二つあると考えており、

1つ目が「ポーカーが過激な違法賭博の温床となり、反社会的勢力等の資金源となってしまっているため、その資金源を断つ意味でも一定程度の条件をもって、合法とすることで国の財源を確保しつつ、反社会的勢力の力をそぐ」ために合法化されるパターン。
2つ目は「ポーカーが産業として有用であり、観光客からの収益も期待できる観光資源でもある」となって合法化されるパターン。

1つ目でイメージしやすいのがパチンコや近年の諸外国における大麻の合法化です。もともと、反社会的勢力の資金源となっていたものを条件を付けて合法とすることで、社会秩序の乱れを最小限にしようといういわば安全弁のような役割を期待し、また広がりすぎてしまったそれらから得られる収益の一部を国庫の財源とするために合法化されるというものです。

2つ目は少し違うかもしれませんが、特区を設けて建築基準法を緩和したりして、大型の商業施設などを誘致するのに似ています。そこから生まれる経済効果等が大きいため、それにより利益を得る団体が国に働きかけ、過去の法令で定められていた規制等を現代の情勢に合わせて改正することで合法化するということです。

この2つはどちらも合法化という結果は同じですが、イメージが全く異なりますよね。
そして、それを先導する団体においては、1つ目の方法による合法化を目指しますとはとても言えたものではありません。
もちろんそれがすでに横行していて、それにより多数の被害者がでていて、その被害者団体などが声を上げる、というのであれば、まぁわからなくもないですが、ポーカーの現状は私が知る限りそうではありません。
ですから、合法化の旗印としては2つ目のイメージを示すのがよく、そして、賭博による違法性の対義語として「クリーン」という言葉を出したのだなぁ、と推察しています。
しかし、アミューズメントカジノのトーナメントでも大型大会でもプライズが「なし」、得られるものは「名誉だけ」となれば果たして参加者はどれほどになるのでしょうか。
もちろん、金銭的にすでに満ち足りている人や、コミュニケーションが目的の人はそこに出場するでしょうが、そうでない人たちの中にはポーカーをするメリットを見失う人もいて、そうした人たちはポーカーをやめてしまうでしょう。
射幸性を煽りすぎるのは問題ですが、それで生活できることがや、一定の賞金を得られることを示すのがどれほどその競技の人口を増やすのか、我々はスポーツなどで嫌というほど見てきました。
その魅力があったうえで、その競技に触れ、魅力を感じる人が出る確率も高まるのです。
つまり、実際賭けないポーカーが流行ったとしても、それをもって増える競技人口には限界がありますし、その賭けないポーカーが流行ってきている状態だけで賭けポーカーを合法にする、ということのメリットが説明できません。
競技人口が増えることで、スポンサーやステークホルダーが増えやすくなるメリットはありますので、そこを推進するのはよい施策だと思いますが、そのために賭けなくても競技として十分魅力的ですよ、とアピールしつつも、賭けが行われることで生まれる利益もステークホルダーにアピールしていく必要も同時にあるでしょう。
パチンコや公営ギャンブルの壁は厚いですが、それらと比較してのメリットやギャンブル依存症への対策を業界としてしっかり立てたうえで、それを広報し、IR推進の活動に影響力を行使していくのが結局一番合法への近道になるのかなぁと感じた次第です。

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