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“SaaS is cringe(SaaSの連中はイタいやつら)” 次世代の起業家を生む「エル・セグンド」のスペースXマフィアたち【Off Topic Ep204】

宮武徹郎と草野美木が、アメリカを中心とした最新テクノロジーやスタートアップビジネスの情報を、広く掘り下げながら紹介するポッドキャスト『Off Topic』。このnoteでは、番組のエピソードからトピックをピックアップして再構成したものをお届けする。

今回は「#204 ハードテックのフィレンツェ「エル・セグンド」」のなかから、ロサンゼルスの小さな街「エル・セグンド」のスタートアップについて。宮武が、インターネット初期のシリコンバレーの雰囲気を感じるというエル・セグンド。ディープテック/ハードウェアの領域で「次世代のカルトリーダー/起業家を輩出する中心地」になると宮武が注目する同地域で、いま一体何が起こっているのか?


新興スタートアップがひしめくエル・セグンド

アメリカ・ロサンゼルスに降り立つ飛行機から北側に見えるのは、ハリウッドサインやビバリーヒルズだ。アメリカのエンターテインメント産業を象徴する場所でもあり、そこから北上すればサンフランシスコのシリコンバレーが存在する。しかし宮武がハードテック領域の「次世代のフィレンツェ」になる可能性があると目する地域は、南側にある。

ロサンゼルス国際空港から約10分ほどの場所に位置する、「2番目」を意味する街、エル・セグンド。街の名前は、石油企業のスタンダード・オイル(現在のシェブロン)が同地域に西海岸で2番目の製油所を建設したことに由来する。面積約14㎢、人口わずか2万人弱の小さな街に、NBAのレイカーズやNHL(北米プロアイスホッケー)のキングズの練習拠点があり、ワールド・ベースボール・クラシックでの優勝に大きく貢献した日本代表メンバー、ラーズ・ヌートバーの出身地としても知られる。また、新聞社のロサンゼルス・タイムスや化粧品会社のロレアル、世界最大規模の玩具メーカー マテルがこの地に本社を置く。

El Segundo Business

そんな街からいま次々と生まれているのがハードウェア/ディープテック領域のスタートアップだ。ドローンや防衛ソフトを手掛ける防衛テック企業の「アンドゥリル(Anduril)」や宇宙・防衛企業向けに工場を提供する「ヘイドリアン(Hadrian)」、産業用宇宙工場“スペースファクトリー”を開発する「ヴァルダ(Varda)」、ワイヤーハーネスの製造管理プラットフォームを提供する「センラ(Senra)」、小型ロケット打ち上げを行う「ABLスペースシステム」や「ロケットラボ(Rocket Lab)」、3Dプリンターによる完全再使用型ロケットを開発する「レラティビティスペース(Relativity Space)」など、数多のスタートアップが集まっている。

「スペースXマフィア」が誕生している?

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