見出し画像

「新しい宗教」の課題とリスクを考える【Off Topic Ep193】

宮武徹郎と草野美木が、アメリカを中心とした最新テクノロジーやスタートアップビジネスの情報を、広く掘り下げながら紹介するPodcast『Off Topic』。このnoteでは、番組のエピソードからトピックをピックアップして再構成したものをお届けする。

2023年を総括をするテーマとして設定した「宗教OSとカルトメイキング」に関連して、3回にわたって「現代の宗教」について語るエピソードの第2弾となる「#193 進化した新宗教の課題」。今回はそのなかから、「宗教化のダウンサイド」についてのトピックをピックアップしてお届けする。


「神は死んだ」が、人は宗教を求め続ける

ダーウィンが進化論を発表した1858年から24年後の1882年、ニーチェは著書『悦ばしき知識』のなかで、「神は死んだ」という言葉を残した。科学者の発展と普及によって科学がより真実に近いものとなり、神の絶対性が揺らぐなかで、ニーチェはあることに懸念を抱いていたという。神が死ぬことで、これまで人間を束ねていた倫理や道徳の基礎をゼロからつくりはじめなければならないということだ。

神をリプレイスする、時代ごとに人々のよるべとなる新たな宗教がさまざまかたちで立ち現れては、盲信による過激化と分断という宗教化の負の側面も同時に生み出してきた。ときに国家が定めた法律や社会契約が人々の倫理や道徳を束ね、イデオロギーという宗教が、新たな対立を生み出した。お金、会社、ブランド、カルチャー、アイデンティティ、コミュニティ──。災害、紛争、パンデミック、気候危機といった噴出する社会問題、可視化される膨大な、虚実入り乱れる情報、新たな価値観が洪水のように押し寄せる現代にあって、「神は死んだ」が、人々は常に新たな宗教を求めている。しかし様々な宗教化が進むにあたって、そのダウンサイドを常に意識することも、これからの新たな宗教を考えるうえで非常に重要だと宮武は考える。

「メディア」の宗教化

ここから先は

2,231字 / 3画像

スタンダードプラン

¥500 / 月
このメンバーシップの詳細

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?