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MetaがVR・AR領域で求められる、Android化戦略【Off Topic Ep176】

宮武徹郎と草野美木が、アメリカを中心とした最新テクノロジーやスタートアップビジネスの情報を、広く掘り下げながら紹介するPodcast『Off Topic』。このnoteでは、番組のエピソードからトピックをピックアップして再構成したものをお届けする。

Off Topic「#176 Vision Pro登場でメタはどう出る?ヘッドセット市場のゆくえ」は、#174から続く「Metaシリーズ」の第3回目。今秋「Meta Quest 3」の発売も控える、MetaのVR・AR戦略について。マーク・ザッカーバーグが社内でこぼしたAppleとの「哲学の違い」とは? 同社のAI戦略とも地続きな、AR・VR事業のAndroid化戦略とは? Apple依存を抜け出し、超えていくためのステップを、ザッカーバーグのかつての教訓とともに考えていく。


VR・ARはほんとに普及している?

VR・ARヘッドセットのはじまりは、アメリカの科学者、アイバン・サザランドが1968年に開発した「ダモクレスの剣」である。天井からつり下げた、ブラウン管を用いたヘッドマウントである。そこから、セガが1993年に発表した「Sega VR」や任天堂の「バーチャルボーイ」など、ゲームをユースケースとしたヘッドセットが登場した。現代のVRヘッドセットの起点になったのは、2012年にKickstarterで登場した「Oculus」である。そのOculusを2014年にFacebookが約20億ドル(約2800億円)で買収したのはよく知られるところであろう。以降、MicrosoftのHoloLens(2015年)、SonyのPlayStation VR(2016年)、そして今年発表されたAppleのVisionProと、次々とVR・ARヘッドセットが登場している。

Research Gate

そうしたなかで、VR・ARヘッドセットはどの程度普及しているのか。これについては各論者によっても意見が分かれるところで、その実態は掴めていないというのが実情だ。アメリカの調査会社モーニング・コンサルトによれば、アメリカのα世代の11%が自身のVR・ARヘッドセットを所有しており、そのうち17%が1日平均7時間以上VRヘッドセットを使っているという調査結果が出ている。

Morning Consult

一方、「YPulse」が2018年から毎年行っている調査では、アメリカの13〜39歳でのVR・ARヘッドセットの所有率は9〜13%を行き来しており、ユーザーは伸びていないという結果もある。またパイパーサンドラーの調査は、10代の26%がVR・ARデバイスを所有しているものの、毎日使用しているのはそのうちの5%程度であるとしている。

YPulse

VR・ARは、何をリプレイスしていくのか

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