空間にもっと手触りを取り入れたい
キャリアの中で最も長く、最も強みになっていて、一番稼いでくれている空間デザインのスキル。
もともとは高校でマシンクラフトという機械設計の学科に入ったのがスタートだったのだけれど、いわゆるプロダクト=工業製品の設計を学んでいるうちに椅子などの家具=インテリアに興味を持ち、そこから家具の置かれる空間へと興味が発展していき今に至る。
なぜかその興味は室内にとどまり、建物そのものを設計する建築へと拡がることはなかった。
今思うと、それはきっと視覚的な部分よりも、触覚や体で感じる部分としてダイナミックな建物の外側よりも自分が入り込んだ内側に興味が向いていたからだろう。
だからかもしれない。僕はデザインをする上で、身体感覚を重要視する傾向がある。
空間を擬人化したら、手はどこだ?
例え話をしよう。空間を擬人化したら、空間の手ってどこだろうか?
なんでそんなことを聞くのかというと、もしも空間と握手をしたり手をつないだり、もしくは空間が手を差し伸べて支えてくれたり、何かを運んでくれたりするとしたら...まず最初に触れるのは「手」なんじゃないかと思うからだ。
もう少し言えば、空間にとっての「手」は、デザインをする上でとても大事な所なんじゃないかと思っているからだ。
手フェチって訳ではなく、視覚的にしか見ることのない多くの情報の中で、触覚が触れる箇所の情報量って比較にならないハズ。そこにこだわることは意味があると感じている。
何を言っているのかわからないかもしれないけれど、要するにドアノブやスイッチや取ってや手すりなどの手が触れて使う場所って大事だよね!ということだ。
事務所の壁面収納の取手の話
これはうちの事務所兼自宅の壁面収納。
壁一面が棚になっていて、当初は全てフルオープンのグリット状の棚だったのだけれど、長女が2才の頃に棚の中のものを全て外に引っ張り出すので扉をつけた。
扉のついてるブロックごとにバラせて引越しにも対応していて、連結して転倒防止器具で壁と天井に固定してあるから地震で倒れる不安もない。
ちなみに全てDIYで僕が作った。
1列ごとで、開けるとこんな感じ。
棚の寸法も収納したい本の寸法から逆算して作ってある。上下についている白いのはマグネットキャッチで、磁力で扉を閉めるとパチン!と止めてくれる。
本当は中も真っ白とかに塗るべきなんだろうけど、暇ができたらやろうと思いつつ後回しにされ続けている。仕事と子供が優先なので、自分のことはなかなか進まない。
革製の取手を自作
さて、手触りの話。この棚に扉をつけるとき、取手をつけるべきかつけないべきか、つけるなら何にするか?を考えた。
扉は少しだけ白の混じった天然オイルで木目をうっすらと残して塗装している。ならば、取手にも柔らかさのある素材を使いたい。
既製品はほとんどが金属、ゴム、あっても木製がせいぜい。柔らかい取手はホームセンターにはほぼない。
しかも、できれば天然のモノがいい。手が触れる場所、そもそもの触れる手が柔らかいから、同じくらいのモノ...皮膚...つまりは、皮!
ということで、革を使うことにした。
使い込むと成長する取手
無染色のヌメ革は栃木レザーという国産革を使った。
1枚の革を丸めて留めただけの単純な構成だ。シンプルな壁面収納なので、余計なことはしたくない。
革なので、手触りはいい。そして使い込むほどだんだん馴染んで、焼けて色が濃くなっていく。
棚の位置によってぜんぜん使用頻度が違うので使い込んでいる場所はどんどん味が出てくる。
あんまり触らないところはこんな感じ。設置当初はもっとヌメ革の新品感があった。
これはこれでこなれていて、でも背筋の伸びている感じがいい。
自分にとっての空間デザインは、こういう細かいけど気になるところの集積なんだろうな...と最近感じている。
そして、やろうと思うことが既製品では存在しないことも多くあり、必然的に特注やDIYになっていく。
さて、リアル店舗の設計のお仕事は五輪前ラッシュがそろそろ終わってひと段落。
今年は小さな飲食店や宿泊施設の設計を請けたいなぁ...と思っているのだけれど、このタイミングなので出店は慎重にいった方がいいとも思う。
それでも出したい!という人がいたら、箱探しからお手伝いさせてもらえれば嬉しいです。
やっているのはお店づくりだけじゃなく、事業とお客さんとのリアルな接点をデザインするのがお仕事。
こんなときだから、未来に向けて一緒にワクワクを企みたい。ご相談お待ちしております。
今日は、今まで何を触りましたか?
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