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病床じゃなくお店をパンクさせる日を取り戻す為に

色々なお店の声にならない悲鳴や苦悶が聞こえてくるようで、延命措置な案ばかりでこれといった有効打を思いつけない事が不甲斐ない...

震災の時にも味わった力不足感と似ている。

日増しに悪くなる状況はジワジワと色々なところを蝕んでいて、でも即死するような方法ではなくて、ゆっくりと沈んでいくのを見ている怖さがある。


毎日の積み重ねが束になって月末にくる。家賃、融資返済、スタッフへの給与の支払い、各種業者さんへの支払い...

もうすでに、見回っている範囲でもいくつか廃業したお店が出てきた。

さいわい、僕が仕事で関わっているお店ではまだ廃業するところは出ていない。出ていないけれど、このままだと数ヶ月ともたない...という相談がチラホラ出始めた。

自分のお店はどうかというと、他の仕事もしながらなら半年はもつ気がしている。状況が状況なので実際はわからないけれど...


情報と現実の時差

SNSと現実社会には、明らかに温度差がある。だからSNSばかり見ていると見失うことも多い。

そもそもSNSはその性質上、見ている人がフォローした情報がタイムラインに流れてくる。

プラットフォームによりランダムな情報を入れ込む要素もあるけれど、恣意的に情報が集まるSNSの特性を見失うと世の中ぜんぶがSNSと同じ気がしてくるから勘違いしやすい。

ただ、こうした大きな騒動の時の特徴としては、SNSは情報発生が早い。まず最初の震源地となり、多少の時差があって現実にその状況が反映される。

買い占めしかり、炎上しかり。

ここしばらくの観測範囲の中では、この時差はだいたい数日〜数週間ほどで、長くとも1ヶ月〜2ヶ月ほどだろう。

そうなると....僕が2月中旬に「このまま感染症が蔓延したらお店にとってはマズい事態がくる」と言った時から2ヶ月近くたつ。いよいよ現実になりつつあるのは、嫌な予感が的中した後味の悪さがある。


この後に起こること

世界各国の状況を見れば、日本はだいぶ健闘している方だろう。

それは国民性とタイミングともろもろの運が重なっただけで、実際は崖っぷちギリギリなのかもしれないけれど。

連日の報道はいまだ感染者数の話だけど、これが死者数になって、パンクする病院と遺体安置所がメディア放映されるようにならない事を祈るばかりだ。

僕は感染症の専門家じゃないので詳細は語れないが、一人の小さな経営者として未来予測をするならば、ワーストケースを想定しながらポジティブに手を打たなければいけない。

おそらく、ワクチン開発に成功して状況が元に戻るには数年スパンがかかるだろう。

100年前に世界で数千万人の命を奪ったスペインかぜ、第二次世界大戦の日本の死者数が兵士230万人、民間人80万人の合計310万人と言われているので、感染症の脅威がよくわかる。

そんなスペインかぜのワクチンが開発されるまでは5-6年かかっている。

もちろん今は技術も進んでいるから早くなる可能性は高いけれど、じゃあ夏頃に収束するか?というと、その可能性はかなり低そうだ。

もはやBefore - Afterではなく、Withで考えなければ、と言われ始めている。With、つまりこの状況のまま数年すごす前提で組み替えなければいけない。


パンクさせたいのは病床じゃない

ここ15年ほど、お店を作る仕事をしている。デザイナーとしてのキャリアのほとんどはお店を作ってきた。

ロゴやCIやパンフレットやパッケージから、店舗の設計デザインと図面化して施行、商品陳列やVMDにディスプレイ、実際の販売や調理や接客オペレーションまで...15年やってもまだまだ先が長いし奥が深い仕事だ。

とはいえ、状況が変わった。リアルな対面のリスクがこれだけ高まると、お店のあり方そのもの、人の営みそのものが変わらざるおえない。

本当ならパンクさせたいのは病床じゃなくてお店なんだけれど、今はお店に人を集めて満席にすると結果的に病院も満席にすることになる。

かと言って手をこまねいているだけじゃない。

あの手この手で悪戦苦闘している人たちもたくさんいるし、実際は営業すれば常連さんや地元の人が来てくれて昨年対比で売上UPしているお店も一部ある。

それを見て自分たちは我慢して休業を選んだのに、開けたもん勝ちじゃないか!と憤っている店主さんもいて、気持ちはわかるが少し悲しくなった。

みんな、自粛で休業するにしても、覚悟を持ってお店を開けるにしても、その判断に優劣はないしどちらかが責められるべきでもない。

戦う相手は他のお店じゃない。そんなことはわかっていても、それでも言ってしまう不安な気持ちや苛立ちもわからなくはないけれど...


お店をパンクさせる日を取り戻す為に

状況は悪い。今のままだと年を越せないところがほとんどだろう。

かと言って、おおっぴらにお店に人を呼べる状況でもない。

日々、来てくださいと言いづらい空気感が醸成されつつある。

自分は大丈夫だと言ってお店に来ていた人や、その人の周りで犠牲者が出れば、責任がまったくないと言い切れない。

まだエビデンスも揃ってないからなんとも言えないけれど、感染しても発症せずに抗体ができた人には検査証を発行して普通に経済を回せるようになったり、そういう方法がひとつの希望でもある。

もしくは飛沫感染を予防しつつ飲食のできるシステムの開発。ハード面と、オペレーションと、両方しっかり練る必要はあるけれど。


打てる手はゼロじゃない。

休業して誰もいない座席を眺めながら、どうやってまた満席の日々を取り戻すかを考えている。

諦めないしつこさみたいなものが、きっと道を繋げてくれると信じながら。

考えている間にもHPが減っていく...
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