見出し画像

ポップアップレストラン損益計算

ここ2週間ほど、イタリアからゲストシェフを招いてのコラボレーション営業をしておりました。

僕は他に仕事もあり毎日お店に出ていたわけじゃないのですが、それでもいつもは月に4回程度だったのが毎日営業ですから労力は比になりません。


日々変動する在庫数を把握しつつの仕入発注。いらっしゃるゲストの名簿やデータを見つつ、発注内容も変更。

小さなお店なのでストックできる本数にも限りがあるので、回転をあげる=発注回数が多くなるわけで、結果的には労力はかさみます。

いつもは3種類くらいの価格帯のシャンパンを置いているのですが、高価格帯を品切れさせた日があったので売り逃がしたりもしているかもしれません。在庫商売の難しいところです...


そうして実際に2週間ほどのポップアップレストランの営業をしてみて...これはもしかしたら、今後ちいさなポップアップレストランをやってみたい人の役に立つのでは?

そう思ったので、ちいさなポップアップレストランの損益計算を書き残しておきます。

ちなみのこのnoteはポップアップ出店サークル
「あわい吉祥寺クラブ」の資料を兼ねています。
気になった方はぜひサークルにどうぞ〜!


画像1

ポップアップレストランのお金まわり

まず、大きなくくりで話しましょう。

損益計算では入ってくるお金=収入と、出ていくお金=支出の2種類のお金があります。

収入:この場合はポップアップレストラン当日の売上金です。
①当日の売上金
②+αでWEB物販などへ誘導した場合の波及効果
③スポンサードなどを受けた場合の協賛金
この3種類くらいが入ってくるお金です。

支出:ポップアップレストラン開催にかかるお金すべてです。
①会場費、つまりは場所代(光熱費なども含む)
②食材費、肉や野菜や調味料や油、お酒etc...
③人件費、1番圧迫されがちな自分のとりぶん
④交通費、準備での交通費も含めて
⑤通信費、ネットメインだけど電話もしたりする
⑥機器費、調理器具などを自前で買い足す場合
⑦広告費、DMフライヤーやメニュー印刷したり
⑧備品代、必要に応じておしぼりや箸や紙皿etc...

費目についてはある程度税法を守りつつ設定すれば良いのであくまで参考ですけど、入ってくるお金のルートに対して出ていくお金の方が多岐に渡っていますね。

ポップアップレストランって、いろいろな方向にいろいろなお金が出ていきます。

そして、自分のとりぶんの人件費が一番最後に精算されるので、スタッフ人数によって頭割とかするとアルバイトの最低時給を下回る...みたいな事が多々あります。


と、まぁこんな事を書くとポップアップをやりたい人が減りそうですが、実際にポップアップ単発でガッツリと売上をあげるのはかなり難易度が高いのが現実です。

でも、ポップアップである程度の売り上げをあげられない場合、固定店舗を持っても無理でしょう。

それだけ集客や日頃のファンづくりとコミュニケーション、企画や運営オペレーション、仕入計画から原価計算と在庫管理などのお金まわり、人・物・金の3つの要素をきちんとクリアしないとポップアップは実行できないのです。


実際どれくらいお金かかるの?

それでは、実際にうちのあわい吉祥寺でポップアップレストランをやると、こんな感じの損益計算書になるよ〜!の事例です。

画像2

まずは売り上げ計算。予約制で昼夜に1回転、6席ずつのトータル12名の予約をもらう前提で、こだわったこの日限定のコース料理+ドリンクペアリングを出す場合で想定します。

アルコールとノンアルで値段は変わるでしょうが、ザックリですがおおよそ12万円くらいの売上金額です。

実際はここで天井を固めてしまうとキツイので、+αで売上の取れるように追加メニューや追加ドリンク、飲みたい方向けにシャンパンなどを用意して+αを積極的に狙っておくのが重要です。

では、ここから支出のお話。

画像3

会場費は集客のしやすい金土で吉祥寺のお店を貸す場合です。

実際は定期的に借りる場合は割引もありますし、サークル加入者は月会費を積み立てて会場費に充てられますが、一回限りで貸す場合なのでちょい割高です。

(とはいえ吉祥寺はJR+私鉄が2路線乗り入れで地価も高いので、飲食調理可能な場所貸しではお手頃な方です。)

食材費は食材+お酒などの仕入れ代。こだわった少数で1日限りのコース料理なら食材原価率30〜40%前後になることが多いです。

ここら辺は回転数や客数が上がって、食材の歩留まりが良くなれば下げることも可能です。まとめて買えば安くなるのと一緒ですね。もしくは調理技術が高ければ抑えられたりもします。

で、本当の計算書ではもっと細かく食材ごとに表計算に入れて計算したりしますが、今回は割愛。

交通費や通信費などはほぼオマケ程度で、機器費の6,000円は毎回5%程度は積み立てておかないと道具が壊れたり紛失したりの際に丸ごと損失が出ます。

広告費は広告を有料で打たずとも、フライヤー印刷したりメニューにSNSへの導線を作って...などとやっていれば印刷代だけでも数千円はかかります。

備品代は紙おしぼりや割り箸、キッチンペーパーなどの消耗品まわりですね。12人のお客様に対して、1名あたり400円ですと4,800円なので約5,000円でいれました。


ここまでで、人件費を除いて108,000円かかっています。

売上の120,000円から引いたら、残りは18,000円。

当日は6席ですが調理役とサービス役の2名で行うとすると...1人あたりのとりぶんは9,000円です。

実際に朝はやくから夜遅くまで動いて実働14時間として、他の日も準備や仕入れや仕込みや広報で動けば+10時間くらいでしょうか?

24時間で9000円なので、時給にすると...375円です。


儲からない歪みがあると、続かない

これを見ると、12万円も売上作っても手元に残るのそんだけ〜!!?となっちゃいますよね。でも、これが現実です。

ここで「でもやるの楽しいから安くても良い!」と思ったら、あなたは考えを改める必要があります。

続かない仕組み、歪みがどこかに溜まってしまう仕組みは、最終的に楽しみにしてくれるお客さんにもツケを回してしまいます。

「あのイベントもう一回行きたいな。」と思っても、二度と開催されない、という事態になりかねないからです。

その時に、もっと買ってくれたら続いたのに...というのはダメです。あなたの損益の計算が甘かったのが最大の原因なのですから。


売上に天井を作らないのがコツ

では、時給375円からどうすれば時給1,500円くらいまで...さらに+αに引き上げられるのでしょうか。

その為には、コツがあります。

ポップアップでもっと売上をつくるコツ
①+αの注文をとれるようにする
②ドネーションの仕組みを取り入れる
③太客さんを招待する
④toCからtoBへと発展させる

①+αの注文をとれるようにする
まずはメニューを固定化してしまわないことです。コース料理とペアリングドリンクセットでの明朗会計....に、+αで注文できるメニューを準備しましょう。

これだけで、もしも追加の注文が入れば売上げが増えます。

あとはオマケ物販をするのも良いですが、いずれにしてもネックは在庫が残る可能性がある点です。売れ残っても大丈夫なもので+αを準備するとリスクヘッジになります。

もしくは夜を2部制にしてもう1回転させるのも手です。仕込みも営業もハードになりますが、売上はグッとあがります。


②ドネーションの仕組みを取り入れる
ドネーションとはチップのようなもので、要するに終了後に賽銭箱を置いておいて、この価格よりももっと払って良いよ!という方が応援できるようにする方法です。

大事なのは「もっとお金で応援する仕組みを準備しておくこと」です。

お店に慣れている方はこういう時に「シャンパンやワインボトルをあける(高くてお店が儲かるドリンク)」だったり「スタッフに飲み物をごちそうする」などの飲み方をされます。

ですがこれはお店に慣れている上級者の飲み方なので、なるべくハードルを下げて1000円でもチップを渡しやすくしておくのがポイントでしょう。


③太客さんを招待する
これはドーピングのように頼りすぎると危険なのですが、会社経営者さんであったりある程度の金銭的余裕があり応援のためにお金を払うことを惜しまない人たちがいます。

そうした人たちとつながっているなら、その方をお招きして全力で楽しんでもらえるようにサービスして、気持ちよくお金を使っていただく。これは売上に直結します。

お客さんを選びたくないとか言っている場合ではなく、成長させつつ続けるためには素直に応援を受けるという姿勢も大事です。



④toCからtoBへと発展させる
これは当日の売上ではなく、もっと先での売上を狙う方法です。

そもそも論で、予算の枠が個人で楽しむときと、企業が仕事として発注する時ではぜんぜん違います。

とっておきのメニューやサービスで注目されることで、企業から仕事を受注できればポップアップ当日の薄利は全てマーケティングコストとして処理できてしまいます。

とはいえハマればデカイですが狙ってできるものでもなく、どちらかというとポップアップを何度も成功させ続けることで露出が増えて仕事がくる、というサイクルを作るのが大事です。


上記以外にも色々とできることはあります。

しかし、いちばん大事なことは「やりながら失敗した箇所を検証し、改善し、継続すること」です。

ポップアップのいいところは、カジュアルに失敗できる点。

数百万円を借金して固定店舗でチャレンジ!そして失敗!だとかなり痛いのですが、ポップアップはそのリスクを1/100くらいに切り分けてチャレンジができます。

小さな失敗を改善して小さな成功に変え、小さな成功を積み重ねて大きな成功に変えて行く、それが王道。

お店をやってみたい!と思ったら、まずは小さく始めてみるのがオススメです。


ちなみに、僕が主催しているサークルでは、月額会費を積み立ててポップアップの会場費に充てられる良心設計なので、より黒字化を目指しやすいです。(割引額の積立上限はあります)

うちも将来の場所貸しの予約を小分けして受けられるし、お店をやりたい人も会場費を抑えつつ企画や広報を参加者で練れるし、みんな嬉しいサークルです。

お店やってみたい!
と思った方はぜひサークルへ!


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
note.user.nickname || note.user.urlname

いただいたサポートでnote内のクリエーターさんを応援!毎月末イチオシの新人さんを勝手に表彰&1000円サポート中🎉 あとはサポートでお酒や甘味で妻や娘のゴキゲンをとります。 twitterは @OFFRECO1 Instagramは @offreco_designfarm

次回の話は考え中〜
125
Creative Director / Designer _ http://awai.tokyo Founder デザイン論からマーケ・フード・育児ネタまで。観察スケッチ発案者。地黒で腹黒な毒舌家ですが好物は糖分です。問い合わせ先→ info@offreco.net

こちらでもピックアップされています

店舗設計士の日常
店舗設計士の日常
  • 487本

ステキなお店作りのヒントや、コツなどをプロ目線からお伝えします。インテリアデザイナーとして過ごす日々の出来事や趣味の話も。

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。