森のようちえん卒園式、娘を4年間通わせてみて
森のようちえん、という活動を知っていますか?
もともとは北欧発祥の、園舎がなく森で過ごす保育をする活動です。
人工的な遊具をあまり使わずに自然の中のもので工夫して遊んだり、雨の日も雪の日も屋外ですごしたり、基本になる思想はあるものの他の幼児教育よりもゆるいのが特徴です。
幼児教育というと、世界三大幼児教育が有名です。モンテッソーリ、シュタイナー、レッジョ・エミリア。都内なら「まちの保育園」さんなどが有名です。
それぞれ特徴がありますし、教育熱心な方は育児に関わる段階で調べて、私立の園に入園させたりしますよね。
でも、うちではあえて三大幼児教育ではなく、少しズレたところにある森のようちえんに惹かれたので、娘2人は森のようちえんへ通わせています。
森のようちえんでよかったこと、つらかったこと
で、森のようちえん2歳児クラスから通わせてみて早くも4年...今年の春、ついに長女が卒園です。長かったような短かったような。
ほんと思い返すとそれなりに大変だったんですけど、いい時間だった。お金も時間もかかったけど、後悔はしてないです。
【森のようちえんでよかったこと】
・少人数での屋外保育で手厚い
・四季や天候による自然環境を体験できる
・保育の質が高い(これは園と担当次第)
・体力と想像力と観察力が伸びる
・親同士のつながりが濃い
・キャンプや登山や遠足など豊富
メリットは少人数保育+専門性の高いスタッフによるケア、これに尽きます。
そしてこんな園を調べて選んでくるくらいだから、親の教育リテラシー高め。もっと自然派ママのスピリチュアルな集まりかと思いきや、同じ学年のママ友さんパパ友さんは意外とみんなバランスよくクレバー。
全体的に世帯収入は高めな印象で、今時ちゃんと専業主婦をやれちゃう家庭が多い。ぶっちゃけると2人同時に通わせて保育料ダブルになった1年間はちょっとしんどくもありました...
親も参加するイベントも豊富で、キャンプや登山や遠足などが数ヶ月ごとにある。仲良くなった家族同士で旅行に行ったり、家族ぐるみの付き合いが増えたのは嬉しかったです。
川遊びなんかもあります。ザリガニや川エビを捕まえたり、木の実を食べたり。都会でありながら自然で思いっきり遊ばせられるのはとてもいい。
キャンプファイヤーも。本物の火を扱うのはヒヤヒヤなのだけれど、教育として本物に触れることはとてもいいこと。
【森のようちえんでつらかったこと】
・保育料がちょっと高い
(私立、地域により補助差あり)
・保育時間が短い(9:00-13:30/14:30)
・まいにちがお弁当
・装備品に少しお金がかかる
・送り迎えがそこそこ大変
・洗濯物が地獄
・親も結構コミットする時間が必要
まず、保育料は公立の園と比較にならないです。高い。そして保育時間が短い。毎日がお弁当。昼寝もない。
さらに屋外保育なのでレインウェアの上下に長靴などの装備品が2セットは必要。しかもどんどん成長してサイズアウトしていく、毎シーズンずっとモンベルに通うことになりました。
雨の日も雪の日も屋外保育なので、送り迎えも天候問わずママチャリ。親も全身レインウェアのフル装備。真冬もね。車で送迎してもいいけど、後述の泥まみれを乗せるのが許せる場合に限りますね。
さらに...泥まみれのレインウェアや全身の着替えを洗濯しなければいけない。靴から帽子や手袋まで。週4で泥洗濯...うちの妻が発狂してました...
こういう状況が日常茶飯事。これでも、この日は水が多かったのでかなりクリーンな方。
この泥団子をこねまくった手でわざと抱きついてきたりする。リュックの中からセミの抜け殻が大量に出てくる、カナヘビの死骸がポケットから出てくるetc...サプライズにはこと欠かないです。
保育と教育の狭間で悩む
なんだかんだで、4年間通わせてみて、僕は良かったと思っています。
お金はかかったし、時間もだいぶかかりました。
公立の園であれば8:30-17:00で昼食+おやつにお昼寝もついてくる。送って、迎にいくだけでいい。仕事をしながら育児をするならこれくらい時間をもらわないと厳しい。
9:00-13:30なので、早起きして毎日お弁当をつくり、送って帰ってくると10:00頃。そこから仕事をするとすぐに昼ごはんになり、13:00過ぎにはお迎えに行かねばならない。実働枠は2時間で、しかも週3の時もある。
そしてお迎えに行っても、すぐには帰ってくれない。
なんとか遊び疲れて帰る頃には16時〜17時。
そこから夕食、お風呂、寝かしつけ...疲れて一緒に寝落ちすることもしばしば。もちろん洗濯と弁当箱洗ったり水筒洗ったりもある。毎日が遠足、それが森暮らし。
お迎えの帰り道で2人同時に爆睡パターン。通称:詰み。この状態になるとどちらかが起きてくれるまで待つしかない。
駐輪場からエレベーターで部屋まで娘2人+リュック2個+親の荷物をピンでは運べません。真冬にやられると寒くて泣きたくなるヤツ。
もうね...大変なことばっかりじゃーん!!!と思うのですが、そのデメリットを引き受けてでも幼児教育で森のようちえんに通わせてあげられたのは良かったなと。
保育と教育ってね、違うと思うんですよ。
子供はほっておいてもある程度育ちます。ごはん食べて遊ばせて昼寝させて、その繰り返しで体は勝手に成長していく。
言葉だってある程度自然と覚えていくし、子供同士の関わり合いの中でいろいろな知恵や知識もつけていきます。
正直、見守っているだけでもいいのかなって、そう思うときも多いです。余計なことはしなくていいんじゃないかな、と。
でも、見守るパッシブな保育に対して、関わるアクティブな教育って環境や教材をどう用意してあげられるのか、子供たちに向けて問いをどう置いてあげられるかが大事なんじゃないかと感じたんです。
できるならば、義務教育前のこの数年間、少人数で手厚くケアされながらいろいろなものに触れて欲しい。
毎日移り変わる大自然の中で過ごす日々は、きっとたくさんの気づきと工夫を子供達に与えてくれたんじゃないかと思っています。
これらはレイチェル・カーソンの名著「センス・オブ・ワンダー」にも通じる思想です。
とても良い本なので、子育てにかかわらずデザインに興味のある人や物書きの人などにもオススメします。自然とのふれあい、関わり合いを見直すきっかけになるはず。著者は「沈黙の春」を書いた人です。
すべては親の自己満足かもしれない
4年間通わせてみて、良かったと思っています。でも、こういうのって親の自己満足もだいぶあるな...とも感じるんです。
うちはカツカツでなんとか通わせたんですけど、とは言え共働きならまず無理な保育時間ですから通わせられる家庭もそう多くないでしょう。
さらに少人数保育なので、長女の世代では入園面接で何人もお断りせざるおえなかったそうです。4ー6人に1人の先生ですから、幼保無償化のこども20人に先生1人などの配置基準とはキャパが違います。
やってあげたほうがいい事がわかっていても、そうした教育の機会をそもそも用意することが難しい家庭だってたくさんある...それこそ幼児教育って上を見たらキリがないんです。
英会話や体操教室、プールにくもんなど習い事は豊富にあります。インターナショナルスクール等なら年間150-200万円の学費とかザラですから。主な顧客層は経営層や外資幹部や芸能人とか、そんな世界もあるみたいです。
やったほうがいい、と言われることはたくさんあるんです。どれもお金も時間もかかるんだけど。親として、そりゃできればやらせてあげたい、と思ってしまう。
でも、全部は無理でしょう。
それぞれの家庭で考えて、与えられるものが何かを悩んで、お財布やら時短勤務なんかと相談して、それで決まってくる。
はたして何が正解なのかはこどもが育ってみなきゃわからない、育児って壮大なギャンブル感がありますね。
そんな長女も4年間ちゃんと森に通って、今日が最後の卒園式の日。これから森に一緒に行って、卒園の手紙を読んできます。
娘よ、卒園おめでとう!
そして妻よ、送り迎えと洗濯をがんばってくれてありがとう!(次女のがあと3年あるけどね...)
4月からは長女も小学生!?
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