ボランティア四方山話2(スポンサーについて少々)

motto氏のご意見です。
今回はこれについて少しお話してみます。


(私の文章力では散逸するので、前の記事に書かなかったことがあります。それを取り上げるのにちょうどいいポストでした。
mottoさん、ありがとうございます)



motto氏のお考えは時代に合っていると思います。

前回の記事 ↓ で例に出したサッカーがまさにそれだからです。


わかりやすくしたいので、今回は野球とサッカーで比較検討してみます。

まず野球チーム



次にサッカーチーム


お手数ですが、リンク先を開いて、チーム名を比べてみてください。何か気づきませんか?

野球は「ソフトバンク」だの「阪神」だの、企業名が付けられています。その企業がオーナー(大スポンサー)です。

一方、サッカーは地名でチームを表し、そこにニックネームなどを入れ込んでいます。(ファンには常識な話ですみません。)


それは次のような理念からと言われています。

(下記wikiより引用)
Jリーグでは地域密着の観点の方針としてクラブ名称を原則として、「地名+愛称」としており、運営母体となった企業名等は発足当初から原則排除している。
(引用おわり)


この概念が定着するまで論争もありましたし、各チームの抱える事情もそれぞれだったと思います。

(新聞記事は消えがちなので、下に記事のコピペを置きます。)

サッカーのJリーグ発足時、有名な論争が起きた。プロスポーツは「地域密着型」か「企業型」かを巡り、サッカーとプロ野球界の“ドン”が巻き起こした「川淵・渡辺論争」である◆チームの名前から企業名を外す方針を示した川淵三郎チェアマンに対し、読売巨人軍の球団会長などを歴任した渡辺恒雄さんが「Jリーグの理念は空疎」とかみついた◆確かに、企業の広告塔としての意味合いが強かった当時のスポーツ界で、Jリーグの掲げた理想は現実離れしていると感じたものだ。だが今や、バスケットボールやバレー、ラグビーも「地域密着」で追随する◆10チームで始まったJリーグは41都道府県の60チームに増えた。チームの呼称も「地域名+愛称」と定める。香川県がホームタウンのJ3カマタマーレ讃岐は、地元名物の釜玉うどんが由来だし、ヴィッセル神戸は「勝利(ビクトリー)」と港をイメージした「船(ヴェッセル)」の造語である◆名は体を表すというが、川淵さんも「あの論争があったからJリーグの理念が世間に広まった。今は感謝の気持ちしかない」と語っている◆バブル景気の直後に始まったJリーグはきのう、発足から30年を迎えた。縮む経済のあおりで経営難のクラブも多い。今こそ本領発揮を。2023・5・16

(引用おわり)

ここで少し脱線します。

米国を見るに、野球に関しても「地名+愛称」が王道です。
ある意味、日本の野球界が特殊なのかもしれません。

全30球団 アメリカ野球チームMAP ↓
https://www.sports-his.com/baseball/pdf/map.pdf

(脱線おわり)



運営側から言わせれば、大きなスポンサーが丸ごと面倒を見てくれるのはとても助かります。ですが、それは

大スポンサーがソッポを向いたら終了


のリスクと隣り合わせです。


これは、母体企業が野球チームを売りに出すニュースを思い出せば、ご理解いただけると思います。


参考記事をご紹介しておきます。興味のある方はご覧ください。



また、野球の場合は移転が受け入れられます。

たとえば、近鉄バッファローズが楽天に買収されて仙台に拠点を移すとか、日本ハムが東京から札幌に移転とか、そういうことがあります。


でも、サッカーは違います。

サッカーは地元密着型なので、岡山のチームが清水にいく、なんてあり得ないです。


(もちろん選手の移籍は普通にあります。)
(そして、例外はあります。)


(Jリーグそのものに対するスポンサーはまた別です。二輪レースで言うなら連盟はMFJの位置づけなので、ここではそれには触れません。)



話を戻しまして。

たとえば、ファジアーノ岡山のスポンサーはこちらです。


ものすごい数ですねえ?
でも、梶原乳業とか、岡山ランドリーとか、地元以外では聞かない名前が多いです。

小口で多数のスポンサー。

motto氏のポストは、これをイメージなさっているのだと思います。
私もそれには基本賛成です。

ただ、この手法を全日本HEDに適用できるか?と言われれば、そこには少し工夫が必要です。



motto氏もご指摘のように、小口のスポンサーをたくさん!というのは、手間がかかります。

銀行でも商社でも、リテールを面倒がりますね。
(今はそんなことを言っている時代ではないですが)


スポンサーになっていただく営業の手間も同じことです。
大きなところを一つ二つ訪問して済むなら、そのほうが圧倒的に楽です。
大口取引先には色をつける・・・・営業畑の方なら誰しも経験のあることでしょう。楽させてもらうゆえのバーターです。


では、なぜサッカーがそれをしなかったか?


もちろん前述の理念が理由ではあります。

でも、(身もふたもないですが)できなかったから・・・・とも言えます。
というのも・・・・


野球は1934年にプロスポーツになったそうです。


大金を払えるのは(一般的に言って)大企業です。

大企業は全国展開しているケースが多く、津々浦々に企業名を知らせたい人達です。なので、各地で試合をするスポーツは、宣伝効果を期待できます。

ゆえに、

チームをサポートするメリットがあります。


読売新聞なんか、巨人戦のチケットで契約を集めたと言われた時代があったほどです。
 


というわけで、上記の「日本野球の歴史」いわく、(以下、引用)

1934年11月ベーブ・ルースら米大リーグ選抜チームは全日本チーム等と16戦を行い全勝。12月には、この全日本チームを中心として大日本東京野球倶楽部(現在の読売ジャイアンツ)が誕生した。 そして1936年には東京巨人、大阪タイガース、名古屋、東京セネタース、阪急、大東京、名古屋金鯱の7球団により日本職業野球連盟創立、プロ野球のリーグ戦がスタートした。
(引用おわり)


と、大手がこぞって球団を抱えました。
戦後立て直し経済のなかで企業名を轟かせることは、メリットがあったからです。
その後 高度成長期(1955~1973年)もあり、野球は、スポンサーも人気も安泰な時代を過ごしました。



そのころ、サッカーといえば実業団でした。
プロになったのは1993年


ところが、当時の日本経済は、すでにバブルが弾けた後でした。


もしかしてまた景気が良くなるかも?という期待だけで過ぎていった10年、20年、30年・・・・・そのたびに「失われた〇年」という数字だけが増えていくわけです。


そんななか、後発のサッカーは容易に大手スポンサーを獲得できたのでしょうか?

「地元密着型のクラブチーム」というと聞こえはいいですが、そうするしか生き残る道が無かった・・・・・・というのが正確なところじゃないのか?という印象は拭えません。
いえ、当時の「中の人」に伺ってみないと実のところはわかりませんが。

なぜならサッカーも「全国各地で試合をする」という点で、野球となんら変わらない形態なのです。
なのに結果(大手スポンサー)を得られないとしたら、それはもう「企業に体力がなかった」としか言えないでしょう。


(新聞記事なので引用を置きます。全文ではありませんが、資金難に触れています。)

◆読売撤退 高額年俸の選手を抱えた代償は大きく、98年シーズン終了後に読売新聞社が経営から撤退。

◆東京に移転 01年に川崎市から本拠地を東京へ移転。呼称を東京ヴェルディ1969と改称(08年から東京ヴェルディ)。

◆初のJ2降格 経営難に伴って成績も落ち込み、05年には17位に沈んで初のJ2降格。

◆再びJ2へ 一度はJ1に戻ったものの、09年に再びJ2へ。この年は胸スポンサーもなく、筆頭株主だった日本テレビが株式譲渡し、経営から撤退。

◆資金難 09年11月に新経営陣によるクラブ運営がJリーグに認められたが、10年に資金難が明らかに。
(引用おわり)


一番人気だったベルディですらこの状況でした。

とはいえ、いくら不景気でも見合う効果があるなら、スポンサーは手を挙げたはずです。

Jリーグがスタートした時点で10チームありました。そして今は、J3まで含めると全60チームです。それだけのスポンサーを見つけるのは大変なことでしょう。
小口スポンサーを多数、年棒は野球選手より少なめ。サッカーが「そういう形」になったのは自然の流れでした。


ともあれ、結果としてサッカーは「地元密着型」というキャラクターを獲得しました。
そして、小口スポンサーがOKになることで、「庶民でも応援できる」という気安さを手に入れました。

motto氏がクロスミッションに期待するのも、こうした小口スポンサーかと思います。(違っていたらすみません)



たしかに、

そこに可能性はあります。

ですが、問題もあります。


小口スポンサーは、多くの場合、母体も小さいです。
なんなら一介の個人だったりします。


つまり、

「全国的に宣伝してもらってもメリットがない」

のです。



なので、「各地でレースを開催する」に乗っかる意味が見出せません。
(それも観客がいない山の中で!


たとえば「岡山ダイハツ」とか「西工務店」(ファジアーノ岡山より引用)。
こうした地域密着ビジネスのスポンサーは、クロスミッションを応援しにくいと思います。
それでも彼らがサッカーをスポンサードしているのは、ファジアーノが彼らに対してメリット(地元ファン=自社の顧客からの好感度UP、自社製品とファジアーノのタイアップなどなど)を提示できたからでしょう。



さて、

ではクロスミッションは、開催各地の地元中小企業や個人商店にどんなメリットを示せるでしょうか。

(↑ここ、ポイントです。)


全国展開しているバイク関連(メーカーなどの大企業)ならアリでは?
と思いますが、それらの企業は他の競技やシリーズ戦をすでにスポンサードしています。
(もちろん、MOTULやBetaなど、すでにクロミのスポンサーになってくださっている企業もあります。)


そこに食い込んでもお互い食い合いになるだけですし、中小のバイク関連企業も、資金が潤沢なところがどれだけあるか?と思えば、あまり期待もできないでしょう。
(もちろん、前田制作やボンサイモトなど、すでにクロミのスポンサーになってくださっている企業もあります。)


加えて別の問題もあります
(が、話がまとまらなくなるので、これは最後のほうに書きます。)





では、どこに可能性を見出すか?

「小さなスポンサーは地域密着型」という点を思い出してください。



つまり、motto氏がスタッフをなさっているシコクベルグで言うなら、愛媛県の企業や商店を一軒一軒訪ねて営業するしかありません。それが小口スポンサーを獲得する常道です。

これは「夏祭りで花火を上げるので、一口1万円でお願いします」と回ってくる商店街の営業と同じ話です。


さて、ではその「営業」を関東在住の石戸谷氏ができるでしょうか?
    なかなか難しい問題です。


仮に実現しても、それこそ費用対効果が見込めません(交通費が莫大になる)


では誰がやるか?


地元スタッフがやるしかありません。

(仕事が増えますね)



ですが。

もう一つ、この営業を「地元スタッフがやるべき理由」があります。


Jリーグの例で言うなら、クロスミッションは連盟であり、地元スタッフがサッカーチームの位置づけになるからです(←これは、あくまで組織表のポジションの話です。)



地方の企業や商店街は、目の前のお客様が第一です。

石戸谷氏が年に数回訪問したからといって、彼らの売上にはなりません。説得力に欠けてしまうのです。
ここで力を発揮できるのは、地元に住んでいるスタッフしかいません。

地元民なら地元企業や商店に信用してもらえる

のです。




だからといって、上納金を作るために

ボランティアの仕事をさらに増やすのは

本末転倒

です。
なので、たとえばこういう形はいかがでしょう?

シコクベルグの名前を拝借し、大会をサポートしてもらう名目で集金。資金は自分たちで切り盛りする権限を委譲してもらう。

これなら、スタッフの交通費補助とか、多少の日当とか、出せるようになるかもしれません。

目的が「レース継続のためのスタッフ引き留め」なら、石戸谷氏も快く委譲してくださるのではないでしょうか。

そしてなにより、直接自分たちの収入になるなら、やりがいもあろうと言うものです(もちろん大変な作業になりますが。)


乗り掛かった舟なので手法も考えてみますと・・・

たとえば、四国エンデューロスペシャルで作ってらしたようなポスターを作成。「〇〇杯全日本HED」と大きくスポンサー名を入れて町のあちこちに貼りだす」とか?

JECだと「〇〇杯」の名は100万とか200万円で獲得するはずですが、そこは駆け出しのイベントですし、地方の相場もありますからグッとお安くして・・・とにかく「スタッフの経済的負担が軽くなるレベル」を目指したいですね。


そういえば昔、鈴鹿8時間に出るプライベートライダーがスポンサーを募集した時、マシンに一人一人の名前を刻んだことがありました。
耳なし芳一のようなマシンに仕立て上げたわけですが、当時けっこうおもしろがられて、それなりのスポンサーを集めていましたっけ。

数を集めたいのですから、なんらかの形でそういう表現をしてもいいですね。花火大会に倣って、スポンサー名をズラズラ並べたチラシを地元新聞に出すとか。


とはいえ、企画書を作り、地元商店街やら商工会やらを巡る・・・という作業は地道で大変です。もし営業職のスタッフさんがいらしたら、取引先に相談してもらうとか、なにかツテを活用しないとつらいと思います。


そして、誤解してほしくないのは、

これは単なるアイディアであって、要請でも強制でもありません。


「そこまでスタッフがやらなきゃいけないの?!」と思われるのなら、なにも苦しむ必要はありません。先の記事に書いたように、ボランティアを止めればいいだけです。

趣味のバイクは楽しく乗りたいですし、人生は愉快に過ごしたいですからね。



ボランティアを強制するのもされるのも、誰にとってもいいことはありません。これは私自身も経験があるので、強く主張しておきます。

(以下、下の記事より一部抜粋。)

(1)やりたくてやる人
(2)やりたいわけではないのにやらされる人
(3)やりたいのにできない人

そして、「やりたいわけでもないのにやらされる人」。
これ、日本ではありがちだと、記事内でもはっきり書かれていますね。
私もそういう事例を多々見てきました。
この先、ここらの改革は必要です。

(引用おわり)





とはいえ、これで終わりもアレですので、こちらのサイトをご紹介しておきます。
氏は、すでにサッカー方式で小口スポンサーを募集しています。とても積極的に。
なので、氏を応援したい方は、こちらに送金すればOKです(ステマ)

2024CROSS MISSION&石戸谷蓮Erzberg rodeo協賛受付フォーム




ただ「CROSS MISSION&石戸谷蓮Erzberg rodeo協賛」とあるので、ここに送金すると包括的にサポートすることになります。

つまり、「HEDだけ応援したい」みたいなサポートは難しそうです。
ここらへん、ふるさと納税のように希望の使い道を指定できたら、協賛者が増えるかもしれませんね。
(その場合、使途を監査する必要も出てきますが。)


なぜなら、motto氏の仰るこれ ↓

サポート側は多くの場合、「会社としての実績と基盤」に対してスポンサーするつもりだと思います。

でも、募集サイトは
「2024CROSS MISSION&石戸谷蓮Erzberg rodeo協賛受付フォーム」
という併記です。


さてこれは、
「会社としてのクロスミッション」を応援する送金か?
「石戸谷蓮というライダー個人」を応援する送金か?

そこを明確にできない寄付は、応援する企業や商店にとって、ちょっと困る点だと思います。


「加えて別の問題もあります。
(が、話がまとまらなくなるので、これは最後のほうに書きます。)」

と書いたのは、このことです。




少し強い言葉になりますが、

「全日本格式」と謳ったイベントと個人的な参戦へのサポートを同じ枠内で募集することは、公私混同と捉えられかねない、という懸念があります。



こう言ってはなんですが、世界で3本の指に入る下田丈選手を引き合いに出しても「誰ソレ?」な日本の現状の下、クロスミッションという会社ならまだしも、地元住民でもない石戸谷蓮氏個人を応援する・・・・それは、大企業なら株主に、商工会議所なら会員に、説明責任を果たせるか?という問題が残ります。

(個人商店が厚意でサポートしているだけなら、ワンマン経営なので無問題でしょう)。

(とはいえ、クロスミッションの始まりが「エルツベルグ資金調達のため」だったのは石戸谷氏が公表されている事実なので、「歴史的経緯から全日本との仕分けが難しい」点も理解はできます。)

(しかし、公的イメージの強い「全日本」という単語を使う以上、これから先は個人的事情を越えた対処を求められる気がします)



それと、サポートしたなら決算報告書もほしくなるのが人の性でしょう。そのあたりもどうなっているのか気になります。

が、あまり多くを求めるのもアレなので、ここらで止めておきます。私の目的は氏の揚げ足取りではありませんから。


お節介ながらそのへんの解決方法を書いておきますと、「黙ってやれ」でしょうか。

石戸谷氏の生真面目な性格が「石戸谷蓮Erzberg rodeo協賛受付フォーム」と表記させたのでしょうが、氏の売上を何に使おうと氏の自由です。
協賛は「会社としてのクロスミッションに対して」していただき、個人的な支出は総収入から自分で仕分ければいいだけでは?(と私なんかは考えるんですが、どうですかね?)

会社員は自分のサラリーをバイクに使おうが酒に使おうが、雇い主にも取引先にも報告する必要はありませんし、文句を言われる筋合いもありません。
クロスミッションという組織に協賛された資金も、組織が「必要だ」と思う目的に使えばいいはずです。それが「会場のトイレをよくしたい」でも、「石戸谷氏の遠征費」でも、組織がそう判断したのなら是なのではないでしょうか?



さて。
こちらにはスポンサーリンク先が紹介されているので、すでにそれなりにスポンサーは集まっていると思います。


もっとたくさんスポンサーが集まって、地元スタッフが営業活動までしなくとも、motto氏の活動に援助金が出るようになるといいですね!










最後に、この先「イベントを長続きさせる方法」を少々書きます。

ですが、皆さんの望む方向ではないので、有料で隠します。
読みたい方だけお進みください。

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