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マレーシア移住を考えていたけどやめた話in2023


老後はマレーシアに移住しようと人生計画を練っていた。

だが2023年になってその計画を白紙に戻した。
そのへんの葛藤を記してみる。


マレーシアに移住しようと思った理由

1.費用に対する総合的満足度が高いから(最大の理由)

いわゆるコスパというやつだ。費用対効果。
マレーシアより物価の安い国はまだまだある。
ただ、マレーシアの場合は住居や医療、
食事や交通など、まあまあ安い費用で
まあまあ満足できるリターンがある(自社比)。

日本よりも不便さや不都合は多いだろうけど、
リビングコストが安いんだから仕方がないと納得できる範囲内。
むしろ限りある資産の減少スピードがゆっくりになることは
老後の安心材料になると思う。

2.ローカルフードとの親和性

海外で生活して、その地の物を食べずに
日本食だけで生活する。
ということは不可能ではないが非現実的だ。
日本食の自炊が結果的に高くつくこともある。

そこでローカルフードのお世話になるのだが、
マレーシアは他民族国家である。
マレー系、中華系、インド系などが生活していて
それぞれの料理に気軽にアクセスできる環境がある。

この中だと私は中華系の味付けが好きなのだが、
残り2つが嫌いというわけではない。
だから適度にローテーションをすることによって、
ローカルフードが続くことになっても飽きにくい。

3.人と人との距離感

多民族国家のマレーシアは、民族間の紛争が起きないよう
他民族に対し干渉しすぎない風潮があるように感じる。
美しい言葉で言うと異文化の尊重。

イスラムのマレー系が断食をしてお祈りをしている隣で
中華系がお茶を飲んでくつろいでいたりする。
マレー系は中華系に断食やお祈りを強制しないし、
中華系はマレー系の行動を邪魔しない。

異文化の尊重というか、むしろ異文化に無関心なだけじゃね?
という雰囲気なのだが(個人の感想です)、
まあそれで民族間がうまく治まるのであれば御の字。

そして外国人である私に対して、カモ扱いするわけでもなく、
不審者扱いするわけでもなく、好奇の対象にするわけでもなく、
特定の宗教への入信を強要するわけでもなく、
ほどよい距離感で接するマレーシア人が多い印象。
そんな田舎と都会の中間のような社会が私は気楽。

ちなみに首都クアラルンプールも、
隣国の首都バンコクやシンガポールと同じく大都会
というわけでもなく、かといって田舎でもない。
マレーシアに住むなら私はクアラルンプール推し。

自分の育った環境が都会でも田舎でもない土地なので
それぐらいの環境がちょうど身の丈に合っているのだ。

4.日本とのつながり

海外移住をするにあたって、
何かあったときに日本にぱっと帰れる距離だと心強いし、
日本の食材が入手しやすいと暮らしやすいと思う。
東京(大阪とかも)-KL間にはLCCが飛んでいてお財布に優しいし、
マレーシアにはイオン様が進出しているのでいろいろ大助かり。
(トップ画像 マレーシアのユニクロには現地仕様の
マレー服まで売っているので大助かり?かも)

マハティールがルックイースト政策をしていたこともあり
基本的に親日の人が多いようにも感じる。

5.言語の問題

マレーシアは英語が通じやすい国だ。
幸い私はとりあえずの英語はできるので
生活をするにあたってスタートがすごく楽になる。

いちいち翻訳アプリを立ち上げなくても
日常の意思疎通がストレスなくできるのは大事なことだ。
相手も英語ネイティブではないので
細かい文法など気にせず適当に臆せず話せるのがよき。

特に移住となると、当初はいろいろ手続きだ契約だと
日常会話では済まないレベルの会話が必要になるが
その辺を英語で直にやり取りできるのは、
プロ通訳のお世話にならなくて済むので気楽だ。

補助的に使えばいいマレーシア語は
文字はアルファベットだから新たに覚える必要もないし
発音も比較的容易、初級なら文法も簡易なので
外国人にとっては敷居が低くてありがたい。

6.温暖な気候

赤道に近いので一年中暖かい。というか暑い。
ただ東京の真夏よりは少しマイルドな感じがするので
耐え難い暑さというわけではない。

年を重ねて寒さに弱くなってきてると自覚があるので
デフォルトが暖かい(暑い)というのは
体に負担が少なくて大助かり。
服も少なくて済む。フランス人の服の数以下でOK。

マレーシアへの移住をやめようと思った理由

1.物価の上昇(最大の理由)

2023年、7-8年ぶりにマレーシアに行ったら物価が上がっていた。
わかる。日本の物価も上がっている。
だがそれにしても値上がりすぎじゃないかい、
お前さん(マレーシア)よ。

例えば、クアラルンプール空港から中央駅までの特急列車。
以前はRM35(感覚的には1000円)だった。
2023年はRM55(1700円)になっていた。

例えば、キンキンのパンミー。
クアラルンプールのチョウキットchow kitという下町エリアにある
「キンキン」という名前の庶民的な中華料理屋で、
そこの名物麺料理がパンミー。
ポーションが小さめなので個人的にはもの足りない量。

私の記憶だとRM7とか(感覚的に200円程度)だったのに
2023年はRM10.5(320円)になっていた。
他の庶民的料理店もだいたい同じ感じだった。
食べ物も飲み物もデザートも全部私の記憶より値上がり。
あくまで肌感覚だが、いろいろな物価が円換算して
10年前の1.5倍~2倍弱。

食費がこんな感じなら、きっと光熱費とか住居費も
それなりに上がっていることが予想される。
そうすると、費用に対する満足度というものが下がるわけで。。

マレーシア移住の最大のメリットないじゃん。
だったら日本でいいじゃん。
という思考になってしまいがち。

2.ビザ条件厳格化による心理的抵抗感

日本国パスポートは世界最強レベルなので
事前にビザを取得する必要なく多数の国に短期間滞在できる。
しかし、その国で就労したり長期に滞在するとなると話は別。
目的に応じたビザを取得しなければならない。

マレーシアはMM2Hという長期滞在者向けのビザを
以前から発行している。
老後は暖かで物価の安いマレーシアで過ごしませんか?
(そしてマレーシアに金を落としていってくれ)的なビザ。

このビザを取得するには収入(資産)証明など
いくつかの条件があるのだが、その条件が厳しくなった。
以前は確か2000万円ぐらいをマレーシアの定期預金に入れれば
MM2Hビザの申請はできたはずだと思ったが、
2023年に確認したら、4500万円ぐらいにハードルが上がっていた。

まあそれだけの資金をぽんとマレーシアの定期預金に
移動できる人はいいんでしょうけど
個人的には心理的抵抗感が上がった感じ。

以前は2000万円あればマレーシアでは楽勝で生活できるYO
でも今は4500万円ないとここでは満足な生活はできねぇYO
とマレーシア政府に警告されているようで……

隣国タイの長期滞在ビザ(タイランドエリート)だと
ビザ代そのものが高額→最安で60万バーツ(240万円)で5年有効。
しかも2023年10月よりがっつり値上げ予定とのこと。
MM2Hはビザ申請費は5年有効で費用が確か30万円ほど。
タイと比較してビザ代そのものは安いのだが
人質?の定期預金の条件が高いのがMM2H。

ちなみに。
東マレーシアのサバ州やサラワク州は近年独自のビザ条件を発表。
同じ国内移動でも西マレーシア(半島)にあるKLから
東マレーシア(ボルネオ島)に移動する際には
パスポートが必要で入州スタンプ?を押された記憶。
マレーシアは連邦制ということもあり、東マレーシアには
高度な自治が認められてるってことなんだろうか。

東マレーシア独自のビザ(SMM2H)の条件だと
定期預金に500-650万円ほど預ければいいのだが
年間30日以上サバ州やサラワク州に滞在する義務が出てくる。
移住するなら私はKL一択なので、東マレーシアは興味なし。

3.定期的な通院の必要性

超個人的な問題なのだが、年を重ねて不本意ながら定期的に
通院して体の検査をしなければならなくなってしまった。
それでもって薬を処方してもらっている。

マレーシアの医療を信用していないわけではないので
マレーシアでの通院も可能だと思われるのだが、
医療保険がどこまでカバーするのかが不明(調べてない)。
少なくともクレジットカードに自動付帯の海外旅行保険だと
旅行開始前からの持病扱いになるから当然カバー外。

日本の病院に行くために数か月に1回一時帰国。
ということもできないわけではない。
ただ、問題は医薬品の携行だ。

健康な人は関係のない話なのだが、
個人使用であっても大量の医薬品の持ち込みを
認めない国は少なくない(国ごとにルールが違う)。
厚生労働省のページを参照↓

マレーシアの場合、1か月分以上の医薬品の持ち込みは禁止。
1か月分は携行して、残りは別途郵送というのはグレーゾーン。
税関検査とかで怪しまれていろいろ面倒なことになりそう。

インドは薬が安価なので、経済的なメリットを考えて
インドから薬を個人輸入することもできると思われるが
なんかほらインドの薬って、その、いまいちちょっと…
(バイアグラ系の偽物が出回っている話をよく聞くし)

という自分の体調の問題からの移住計画白紙。
海外でも適切な医療サービスを受けられると思うが
日本だと安価かつ高度な医療が身近に提供されているし
何より医療の場での言語面の不安がゼロ。

日本の医療サービスが優れたものであればあるほど
その恵まれた環境をわざわざ放棄して
海外移住するのはどうだろうか、という思いが
海外移住計画を阻むようになっているのが実情。




ま、物価の上昇は世界的なことだよ、という話です。
2023年は昨年から引き続き円安傾向。
経済的弱者の味方トップバリュのポテトチップが
68円→78円(税別)に値上げされ憤慨しているのだが
海外に行くとそんなポテチの値上げ幅での憤慨など
井の中の蛙だったと思い知ることになり……

そりゃ外人がこぞって日本に来たがるわけだ。
そりゃ日本の若者がパスポートを取得しないわけだ。
日本のコスパが世界最強。治安がよくて安くてうまくて高品質。

私のマレーシアを含めた海外移住計画は白紙となった2023年。
円高になったら再考すればいいだけの話だ。

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