飛行機の座席無償アップグレード(インボラ)の話
割とよく聞かれるのが飛行機の座席アップグレードのこと。
アップグレードとは、本来座る予定の座席よりも
上位クラスの広い座席に座ること。
大きく分けて、有償のアップグレードと無償のがある。
以下の話は、国際線の無償アップグレードのことに限定する。
Involuntary upgrade(航空会社が不本意に乗客の座席をアップする)
ということで、通称インボラ。
なぜこんな乗客にとってラッキーが起こるかと言うと、
航空会社が当日ドタキャンを見越して、実際の座席数より
多く販売したにもかかわらず、当日になったら
予想よりドタキャンが少なかった。
というのが主な原因となる。
エコノミークラス200席の機材に210人がチェックインしたのなら、
10人をビジネスクラスにアップグレードさせなくてはならないのだ。
(アップ先のビジネスも満席の場合は、他社便や経由便に振り替えたり
翌日の便に振り替えたりすることもある)
インボラアップグレードはいつ起こるのか?
当然繁忙期、エコノミーが満席になるときに起こりやすい。
例えばトップ画像は私が夏の繁忙期にルフトハンザ航空で
フランクフルトからキエフに行くときアップグレードされたもの。
当時はキーウではなくキエフ。
チェックインをして搭乗券をもらい、ゲートに行っていざ搭乗。
搭乗ゲートで搭乗券のバーコードをかざしたときに
ピンポーン
なんだなんだ?と思ったらレシートみたいな紙を係員から渡された。
「座席の変更があるYO」と係員に言われ、紙を見たら
New SeatとのことでBusiness classの文字が見えた。
もともとは8000円ほどの格安エコノミーチケットだったのだが。
ダンケシェーン。
インボラアップグレードは誰が選ばれるのか?
20年ほど前は都市伝説があった。
時間ギリギリにチェックインする人が選ばれるとか、
身なりのいい人が選ばれるとか、一人旅が選ばれやすいとか。
しかし2024年現在、私は単純にこう思う。
「VIPや関係者、マイレージプログラム上級会員の一人旅」が
優先的にアップグレード対象として選ばれやすい。
上記のルフトハンザ搭乗時も、私は格安チケットの一人旅だったが
スターアライアンスゴールドというマイレージプログラムの
ステータスを持っていたため優先的に選ばれたのだと思う。
以前私がロサンゼルスでANA便のチェックインをするとき、
隣のカウンターから「〇〇(大手コンビニ名)の〇〇(人名)です」
といって自己紹介?をしてチェックインする声が聞こえてきた。
飛行機に乗るのになんで会社名を自ら名乗るんだろうか?
と不思議には思ったものの、もしかしたらそれは
「御社と取引もありますので、ここはひとつ頼みますよ」と
インボラアップを要求する暗号だったのかもしれない。
入店時のチャイム音が耳に残る、あなたとコンビニ。
一人旅がアップされやすいと思うのは、
2人以上のグループで飛行機乗るのに、
そのうち1人だけアップという事態になった場合
不公平感があっていろいろまずいからだ。
もしグループ全員アップしたとしても
アップ先はもうすでに乗客がある程度埋まっているので
グループ全員がまとまって座りたいという要求を
満たすことは航空会社として面倒案件だ。
だったら一人旅の人を数人アップして、
残っているアップ先にバラバラに入れていく方が
いろいろ面倒がなくて三方よし。三方?
インボラアップグレードは狙えるのか?
マイレージ猛者の中には、ネットで航空券の予約状況を細かく調べあげ、
この日のこの便のエコノミーは満席になりそうで、
かつビジネスクラスはスカスカ、という状況を見つけ
わざわざその日その便のエコノミークラスを予約し、
インボラアップグレードを狙うといった凄腕もいるらしい。
私はそんな変態ではないので、以下は経験則。
別に狙っているわけではないのに、
高確率(といっても肌感覚で10%ぐらい?)で
アップグレードされる路線がある。
それは東京-ソウル線
コロナ前まで私はよく週末を利用してソウルに行った。
土曜の朝に東京を出て日曜の夜にソウルから戻る。
(満席のときは昼便を使うときもある)
貯まったマイレージでこの区間を発券する。
もちろんエコノミークラス。2時間半だし。
ソウルの観光旅行に関してはみんな同じ考えなのだろう。
・土曜日の朝に日本を出発したい
・日曜日の夜に日本に帰国したい
・2時間半ならエコノミークラスで構わない
・できれば言葉の通じる日系航空会社に乗りたい
つまり、土曜朝の東京発ソウル行きと、
日曜夜のソウル発東京行きのエコノミークラスに
日本人の予約が日系航空会社に集中するのだ。
その結果のインボラアップグレード。
ちなみに私はJALとANAそれぞれ
マイレージプログラムの上級会員になっている。
一度上級会員になってしまうと、あとは
両社のクレジットカード(年会費1.1万円ほど)を
作ってしまえば、ずっと会員資格を維持できるのでお勧め。
なお、アップされた後の座席は指定することができない。
私はJAL便でこの区間をビジネスクラスにアップされたとき、
前の座席の人がやたら大きいので視界が悪い席だった。
ビジネスクラスのシートは大きいはずなのだが、
前の韓国人の男は冗談みたいに座高が高かった。
チェホンマン。
そりゃあの体じゃエコノミーは狭くて無理だな。
インボラアップグレード履歴
私の記憶にあるインボラアップ履歴(時系列バラバラ)。
東京⇔ソウル(JAL・ANA 1人)
東京-北京(ANA 夏 1人)
大連-東京(ANA 夏 1人)
バンコク-シンガポール(スカンジナビア 夏 2人)
ジャカルタ-東京(JAL 正月 1人)
シンガポール-デンパサール(KLM 年末 2人)
東京-パリ(JAL 夏 1人)
東京-ロサンゼルス(ANA 正月 2人)
トロント-グラスゴー(エアカナダ 夏 2人)
フランクフルト-キエフ(ルフトハンザ 夏 1人)
日系航空会社が多めなのは、単純に搭乗の機会が多いから。
なお、もともとビジネスクラスの予約を持っていて、
搭乗する機材がファーストクラスの席も設置されている機材で
座席だけファーストクラスにアサインされた
(サービスはビジネスクラスと同等。座席だけが違う)
というような状況は含んでいない。
インボラアップグレードの今後の見通し
インボラは今後確実に減ると思う。
AIの発達に伴い航空会社はより正確に
ビジネス(ファースト)クラスの残席数を予想できるだろう。
その余りそうな座席を搭乗日数日前に
オークション形式でエコノミー乗客に販売するのが潮流。
上位クラスにアップグレードしたければ金を払えと。
ですよねー。反論の余地なし。
ま、インボラはガリガリ君の当たりのようなもの、という話です。
私の場合、上記ルフトのゲートでピンポーン形式は滅多になく、
空港チェックイン時にカウンターでアップを告げられ
ビジネスクラスの搭乗券をもらう形式がほとんど。
忘れたころに突然やってくるのがインボラ。
と思ったら、2024年夏にもインボラされたよ↓